2015年春に見つかった未破裂脳動脈瘤を、2016年春に『開頭クリッピング手術』を受けて治療した私自身の闘病記録です。
前回の記事は「手術後初めての排泄(大)」についてまとめました。怖がりの私は「力むと痛みがどうなるのか?」が手術前からきになっていたためです。
未破裂脳動脈瘤と闘う ~入院5日目。痛みに怯えながら力む、手術後初めての大便!!~ - lands_end’s blog
今回の記事は「手術後の合併症・癲癇(てんかん)」についてまとめます。
車を運転するのが趣味である私にとって、術後にてんかんが起きるか起きないかは重要な問題でした。
- 医師から手術後にてんかんが起きると言われたはいつか?
- なぜ起きるのか?
- 発症した際にどうなるのか?
- 術後実際にてんかんは起きたのか?
諸々、自分が疑問に思ったことと自分の体験をまとめてみます。
- 手術2ヶ月前に術後の合併症の一つとして「てんかん」の話を聞く
- 手術後の「てんかん」は何故起きるのか?
- 手術後の「てんかん」の発症率は?
- 手術後「てんかん」はどのタイミングで起きるのか?
- 手術後「てんかん」が起きたらどうなるのか?
- 手術後「てんかん」を起さないための投薬!
手術2ヶ月前に術後の合併症の一つとして「てんかん」の話を聞く
4月に手術を控え、その2ヶ月前に家族を交えて執刀医と最終の打合せを行う場がありました。
- 打合せではまず初めに、私の脳動脈瘤の位置や形、大きさの再確認を行いました。
- 続いて、開頭クリッピング手術を行う際に、どのように頭蓋骨を切開するのか説明がありました。
- 3つ目に、起きる可能性のある後遺症について説明がありました。
- 最後に、合併症の一つとして「術後てんかん」が起きる可能性について話を受けました。
手術後数日間は要注意の時期になります
その時期を過ぎればおそらく問題はない
といった説明がありました。
この時、自分としては知識もなく、またそれほど深刻に捉えていなかったのでスルーしてしまいました。帰宅してからサイトを調べるうちに、結構深刻だということに気付きました。
手術後の「てんかん」は何故起きるのか?
具体的には、以下の病院のHPのQ&Aがとても判りやすくまとめてあります。
サイトの真ん中あたりの2つの質問です。
簡単に引用させて頂きます。
Q:脳の手術後は日常生活で何か気をつけることはありますか?
~前略~
また特に「術後てんかん」が生じる可能性のある手術を受けられた方では「車の運転や危険を伴う機械の操作、または高所での作業等は許可が出るまで控えて頂く」、「階段、電車のホーム、横断歩道周辺では注意して頂く」、「浴槽につかる場合には浅めにして頂く」等があります。
Q:術後てんかんとはどういったものですか?
~前略~
「術後てんかん」とは手術によって脳にダメージが生じた際、また脳腫瘍等を脳の神経細胞から切除した際等に、術前にはみられなかった「てんかん発作」が手術を契機にみられるようになることをいいます。いかなる開頭術においても術後てんかんが生じる可能性があり、手術合併症の一つといえます。
手術後の「てんかん」の発症率は?
発症率についてはネット上に色々な数字が出ていますが、未破裂脳動脈瘤の開頭クリッピング手術に対する発症率をピンポイントで調べることは出来ませんでした。
そこで、後日、医師に確認しました。
その回答は以下の通りでした。
未破裂脳動脈瘤の開頭クリッピング手術に対する統計はありません。
ただ、開頭手術を行う時点で10%程度の発症と言われています。
開頭クリッピング手術は「てんかん」が起きる手術でした
開頭クリッピング手術はその名前の通り「開頭」するので、「てんかん」が起きる可能性のある手術でした。
頭蓋骨を開け、動脈瘤にアプローチしてクリップするので、脳内に刺激が加わるためです。
しかし、医師は先の発症率10%発言のあとに続けて重要な発言をしました。
開頭クリッピング手術が無事に成功すれば、発症率はかなり低いです。
開頭クリッピング手術が「てんかん」発症率が低いのはなぜ?
「てんかん」が起きると言ったり・・・
「てんかん」が起き難いと言ったり・・・
一体どっち何ですか?
と私が疑問で不満そうな顔をしていたのでしょう。
医師は「術後てんかん」について更に補足してくれました。
- 術後てんかんは、脳自体に何らかの影響を加えなければ起きません。
- そして脳の中でも主に「大脳」が発症に影響します。
- ●●さんの場合には、脳には直接触れることはありません。
- 頭蓋内の動脈に出来た瘤をクリップで止める手術なので、経験上、そして理論上は殆ど起きないと考えています。
上記の話を聞いて、とてもスッキリとしたことを覚えています。
血管内治療(コイル塞栓術)では「てんかん」の心配なし
医師の話を聞いて私は一つ思い当たりました。
脳に影響が及ばない手術なら「てんかん」は起きないのか?
もしそうだとすれば、血管内治療(コイル塞栓術)で脳動脈瘤を治療すれば「てんかん」を心配する必要はないのか?
上記の質問に対する医師の答えは・・・「イエス」でした。
その上で、「例外もあります」と付け加えられました。
血管内治療(コイル塞栓術)でも破裂等が起きれば可能性あり
血管内治療(コイル塞栓術)を、未破裂脳動脈瘤の治療法として選択しなかった理由の1つに「術中の動脈瘤破裂」があります。
万一、この術中の破裂が起きた場合には最終的に開頭手術を行うことになるので、「術後てんかん」の可能性が発生するそうです。
手術後「てんかん」はどのタイミングで起きるのか?
「てんかん」が起きる可能性があることは判りましたが、具体的にはいつ、どのタイミングで発症するのか謎だったの医師に確認しました。
その質問に対する回答は・・・
手術直後から数日間がもっとも可能性が高い
と言われました。
(未破裂脳動脈瘤の手術の場合と注釈されましたが・・・)
手術後「てんかん」が起きたらどうなるのか?
「術後てんかん」が発症したらどうなるのか?
痛いのか?
苦しいのか?
まったく知識がなかったので医師に聞いてみました。
その質問の答えは・・・
- 個人差はあるが、突如意識を失い倒れるのが一般的。
- 頭部を打つと再手術も必要になる。
- そうならないように対策はする。
と言われました。
万一、手術後に「てんかん」が発症すると車の運転が出来ない
「術後てんかん」が起きて再手術は勘弁してもらいたいと思いましたが、それとは別に、発症したら日常生活に大きな影響を及ぼすことも判りました。
それは・・・
「術後てんかん」を発症したら2年間は車の運転が出来ない。
発症後は医師の管理の元で投薬を行い、その後一定期間に再発が起きなければ、運転を再開出来るそうです。
私の仕事は運転手ではありませんが、「2年間運転禁止」はかなり日常生活に影響が出ます。
「起きたら困る!大変ですよ!!」
と叫ぶと、「それゆえちゃんと対策をしますよ」と言われました。
手術後「てんかん」を起さないための投薬!
手術後に「てんかん」を起さないようにするために、手術直後から「抗てんかん薬」を投薬するそうです。
数日間、腕に挿入した点滴から注入すると言われました。
この「抗てんかん薬」を使用することで、脳自体に触ることの無い「脳動脈瘤のクリッピング手術」では殆ど発症する可能性はなくなります。
だから安心してください。
と言われました。
手術後4日目、医師から「てんかん」の心配は無いと言われる
まず心配がない!
そう言われた事もあり、手術後の自分は「術後てんかん」の意識はありませんでした。
まあ、各種痛みや吐き気に悩まされていたから、起こるかどうか判らない合併症まで気が回らなかったと言えばそれまでですが・・・。
手術4日目の午前中にCTを撮影し、その日の夕方に医師から画像診断の説明を受けていた時に言われて思い出しました。
「●●さん、術後てんかんは起きませんでした。安心してください。」
「抗てんかん薬の投与は既に終了しています。」
「退院まであと1週間程度あります。その間、引き続き注意しましょう。」
手術前はあれほど心配して騒いだのに、すっかり忘れていて、ちょっと恥かしかったです。
今回の記事は「手術の合併症」である「術後てんかん」についてまとめました。
幸い、私は発症しないまま手術から1年数ヶ月が経とうとしています。
未破裂脳動脈瘤の開頭クリッピング手術は、「術後てんかんは起き難い」そうですが、それでも可能性は0%ではありませんので、手術前にしっかり医師と話をしておくことをおススメします。
次回『未破裂脳動脈瘤と闘う ~入院5日目。後遺症発覚!何の臭いも感じません!!~』です。
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