心はあなたのもとに（著：村上龍）を読んだ！
村上龍の本は色々と読んでいますが、本書は読んだことがありませんでした。
なんとなく、内容が重そうな気がして手を出していませんでした。
GWで時間が取れたので、思い切って読んでみました。
予想通り、重い内容でしたが、なんとか最後まで読みきりました。
読後の感想をまとめます。
『心はあなたのもとに』のあらすじ2パターン
あらすじを2パターンでまとめてみました。
ザッと内容を知りたい方用と、
多少ネタバレでもいいからしっかり知りたい方用です。
2分で読める『心はあなたのもとに』のあらすじ
投資信託会社を経営する西崎は、順風満帆な人生を送っていました。
妻と娘と過ごす家庭を大事にしつつ、仕事用に都内のホテルに構えている定宿の部屋に、高級風俗嬢を呼んで楽しんでいました。
部屋に呼んだ「サクラ」と知り合ったことで、全てを論理的に解釈して過ごしてきた彼の人生が揺れ動き始めます。
サクラは難病といわれる、1型糖尿病を患っていました。
計算どおりにはならない人生、愛する人への思い、そして生と死・・・。
2年半に及ぶ、彼女と過ごした日々の最後は・・・。
結構長い『心はあなたのもとに』のあらすじ
香奈子と連絡が取れなくなって1ヶ月近くが過ぎたころ、メールが来た。
送信日時：04/3/18 16：44 件名：しじょうです
ニシザキさまでしょうか。
しじょうと申します。
姉が亡くなりました。
物語はこの機械的なメールから始まります。
主人公・西崎は、大学卒業後に外資系ファンドで腕を磨き、その後独立して投資会社を経営していた。最初の結婚は若さゆえの失敗で離婚したが、二度目の結婚はその失敗を活かし、妻と二人の娘との生活を大切にして仕事に支障を及ぼさないようにしていた。
いわゆる富裕層である西崎の暮らしは、見事なまでのブルジョワ的な暮らしである。
- 娘をインターナショナルスクールへ入学させ
- 休みにはハワイのコンドミニアムに家族で滞在
- 仕事の合間にホテルに高級風俗嬢を呼んでシャンパンを振る舞い快楽を楽しみ
- 海外への出張にはお気に入りの女性を連れて行き打ち合わせにも同席させる
彼にとって、論理的に考えれば解決の出来ない事はないと思うのが人生であった。
その彼の人生が揺さぶられるのは、彼が部屋に呼んだ風俗嬢「サクラ」との出会いであった。
彼女の事が気になった西崎は何度か彼女を指名し、やがて、店を通さずに合うようになる。
そして彼女を本名・香奈子で呼ぶようになると、彼女の抱えている秘密も知ることになります。
その秘密とは、20歳を過ぎてから、1型糖尿病を発症し何度も生と死の狭間を彷徨っていたのでした。
西崎は、国内や海外旅行に彼女を何度も伴い、何度も彼女と逢瀬を重ねるうちに、彼女の人生に「何か」を感じた西崎は、やがて彼女の人生に大きく関わっていくことになります。
- 栄養士の資格を取るための学校への資金を援助
- 更に夜の仕事を止めて必要になる生活費も彼のポケットマネーから出し
- 彼女が体調を崩すたびに通院または入院で掛かった費用を支払う
言うならばパトロンのように関わっていくのです。
このようにして、2年半に渡って続けられた西崎と香奈子の関係は、やがて終焉に向かいます。
西崎の心変わりではなく、香奈子の体調の悪化でした・・・。
香奈子からの634通目のメールが届いてから、気付くと2週間が過ぎていた。
忘れていたわけではない、ただ、仕事が忙しい時期に重なり、ふと気付くと2週間たっていたのである。
何度か、自分からメールをするのであるが、返信はない。
自分から家を訪ねることもせず、ただ、時が過ぎていく。
そしてメールが途絶えて約1ヶ月後に、冒頭のメールが届くのであった。
『心はあなたのもとに』のオススメ度はいくつ？
オススメ度は60点です！
自分にとってはとても難しい本でした。
理解できる部分もありましたが、
書かれている殆どが自分的には納得できないことばかりで・・・。
『心はあなたのもとに』をオススメする人
この本、どんな人に薦めれば良いのでしょうか？
悩んでいます。強いて上げるなら次の人でしょうか？
- 今までの人生において生や死に直面したことのある人
- 主人公・西崎と同じ境遇「富裕層」な人
- 人生に恐れを感じない10代後半から20代の人
『心はあなたのもとに』をオススメしない人
オススメしない人は多すぎます。
箇条書きにしたら何十にもなりそうです。
なので、厳選して3つ選びます。
- 不倫や倫理に反する行為がどうしても許せない人
- 女性を商品として見ることに抵抗がある人
- 読んでいて、西崎に吐き気を感じた人は→即止めましょう
『心はあなたのもとに』を読んで気になったこと
読み終えて、面白いか？それとも面白くないか？
と聞かれたら、面白いことは面白かったと答えます。
ただ、自分としては100％、西崎の生き方には賛同できません。
もしも、友人として近くに居たら、たぶん喧嘩になると思います。
それ位、この本に書かれている西崎の生き方全てが受け入れられませんでした。
多分、西崎の・・・と言うよりも、
仕事や人間関係を論理だけで進める人が自分は嫌いです。
だから仕事で失敗することが多いのかもしれません。感情が優先してしまうから。
それゆえ、西崎の良く言えば「クール」、悪く言えば「人でなし」な香奈子への対応に、正直、読んでいて吐き気を感じるほどでした。
読み手にそこまで感じさせるほどに、徹底して書かれた作者の腕が凄いと思います。
なので、点数は60点としていますが、人によっては80点、90点となるのでしょう。
あくまでも、今の自分の生き方には合わなかった本でした。
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