最後の嘘 -吉祥寺探偵物語-(著:五十嵐貴久)を読んだ!
前作の『消えた少女』が面白かったので、続編を古本屋で探していたところ漸く入手できました。
『消えた少女―吉祥寺探偵物語―』を読んだ! - lands_end’s blog
ハードボイルドな話と思わせつつ、実際の主人公は冴えない38歳のバツイチ・中年が主人公のミステリー小説第2弾。
今回はどんな展開を見せてくれるのか期待しながら手にしました。
読み終えたので感想をまとめてみます。
- 2分で読める『最後の嘘 -吉祥寺探偵物語-』のあらすじ
- 10分は掛かる『最後の嘘 -吉祥寺探偵物語-』のあらすじ
- 『最後の嘘 -吉祥寺探偵物語-』のオススメ度はいくつ?
- 『最後の嘘 (吉祥寺探偵物語)』の読後感
- その他の五十嵐作品の紹介記事
2分で読める『最後の嘘 -吉祥寺探偵物語-』のあらすじ
バツイチ・子持ち、元銀行員の川庄(38歳)が主人公である。
仕事はコンビニバイト。仕事は昼限定。夜は息子の食事を作り終えると吉祥寺の街に飲みに繰り出し、締めはゲイバー・チャチャハウスで一杯、といった日々を過ごしていた。
そんな彼のゆる~い生活が、バイト先にやってきた男たちによって一変します。
彼らにホテルの一室へ連れて行かれた川庄は、そこで元参議院議員・榊原から依頼を受ける事になります。
「娘を探して欲しい」
榊原は学生時代に訳あって別れた女性の娘(榊原の実の娘)を、彼女が亡くなったあとに遠縁のおじさんとして援助し、良い関係を築いていた。
しかしある日、亜美は榊原の前から忽然と姿を消してしまうのでした。
しかも、榊原が実の父親だと知って・・・。
吉祥寺市長選に出馬する榊原にとって、好ましくない状況を打開するために、警視庁から口の固い便利屋として推薦を受けた・川庄に依頼をしたのであった。
榊原の前から姿を消した亜美は何処に居るのか?
吉祥寺の街をふらふらと、探偵・川庄の探索が始まります。
物語の結末は本書を読んでお楽しみください。
10分は掛かる『最後の嘘 -吉祥寺探偵物語-』のあらすじ
バツイチ・子持ち、元銀行員の川庄(38歳)が主人公である。
銀行を辞めてからは正社員として働かず、昼にコンビニでバイトし、夜は息子の食事を作り終えると夜の街に飲みに繰り出していた。そして、一日の締めはゲイバー・チャチャハウスで一杯!自分の時間を謳歌する日々を過ごしていました。
そんな彼のゆる~い生活が、バイト先にやってきた男たちによって一変します。
連れて行かれたホテルの一室で出会ったのは、元参議院議員の榊原でした。次の吉祥寺市長選挙に出馬予定であり、間違いなく当選するだろうと噂されている彼を、川庄も当然知っていました。
それゆえ、その彼から依頼された内容は川庄としても慎重にならざるをえませんでした。
「私の娘を探して欲しい」
榊原は学生時に一人の女性を愛しました。しかし彼女は在日韓国人であったため、家業の政治家を継ぐには別れるしか道はありませんでした。
その後、大企業の娘と結婚し、政治家としての道を順調に歩んでいた彼に、別れた彼女から連絡が入ります。
彼女曰く、「あなたの娘を育てている」と。彼女は榊原と別れてから一人で子供を生み育てていたのでした。今になって真相を伝えにきた彼女の狙いは、有名になった榊原を強請るためではありませんでした。唯一つ、万が一、彼女が亡くなった時に「娘を支えてやって欲しい」と願い彼の元を訪れたのでした。
その後、彼女が病で亡くなると、榊原は約束を果たすために「足長おじさん」として残された娘・亜美の世話をするようになったのでした。
遠縁のおじさんとして、亜美との間に良好な関係が築けていた・・・そう誰もが思ってた矢先に事件が起きます。
亜美が自宅から姿を消し、高校にも行かなくなってしまいます。
しかも、榊原が実の父親であることを知り、更に仕事のために韓国人である母親を捨てたと誤解した状態で消えてしまうのでした。
市長選を間近に控えた榊原は「色んな意味」で困り果て、警視庁から口の固い吉祥寺の便利屋・川庄を紹介してもらい、「娘の捜索」を託したのでした。
女子高生の捜索を依頼された川庄は、亜美が通っている高校を訪ねて亜美の友人達を紹介してもらうなどして亜美の痕跡を辿ろうとします。しかし、38歳である中年を警戒する亜美の友人達は本音を中々話してはくれません。
そこで川庄は、チャチャハウスでの人脈を駆使して亜美を探すことにします。
バーに出入りしている女子大生の泉ちゃんに協力を仰ぎ、ようやく亜美が出没している場所を幾つか突き止めます。
その内の1つであるとあるクラブに泉ちゃんと乗り込むのですが・・・、場にそぐわないオッサンとして強面のお兄さん達に排除され掛けた時に、助けてくれたのが同じくチャチャハウスの常連であるヤクサの佐久間でした。
佐久間の協力も得て、ようやく亜美を探し出した川庄でしたが、彼女を強引に榊原の元へ連れて行こうとはしませんでした。
自宅へ連れて行き、1人息子・健人の家庭教師をしてもらう事を交換条件として、亜美の生活の面倒を見ることにするのでした。
最初のうちはギクシャクしていた建人と亜美ですが、徐々に本当の姉弟のように仲良くなっていき、しばし平穏な日々を過ごします。
しかし、建人が企画した友人の誕生会のために、2人で買出しに出掛けたところで事件は再び動き出します。
突然現れた男に亜美が浚われます。
榊原議員関係の人間に浚われたと思った川庄は議員を呼び出して問い詰めるのですが、それは完全な勘違いでした。
そこで川庄は、亜美を探している時にヤクザの佐久間から聞いた噂を思い出し、家出した亜美を騙してヤクの販売に手を染めさせていたと思われる男を捜すのでした。
必死に探してその男に辿りつき、いざ対決!と思った矢先に健人から電話が入ります。「亜美が家に帰った」と。
誕生日会のあと、川庄は亜美に一度でいいから父親と合うように話します。しかし、亜美は父親と合うことは拒否し、条件を聞くことだけに同意するのでした。
その後、再び姿を消した亜美を巡り「事件」が起きます。
ある人物による、
ある人物のための、
殺人事件が・・・。
この先に触れてしまうと、本当につまらなくなるので止めておきます。
真相は本書を読んでお楽しみください。
『最後の嘘 -吉祥寺探偵物語-』のオススメ度はいくつ?
おススメ度は75点です!
↓kindle版はこちら
前作の『消えた少女』も75点でした。
前作と比べると・・・本作の評価はちょっと低いのですが、それでも楽しくテンポ良く読めましたので同じ点数にしました。
『最後の嘘 (吉祥寺探偵物語)』をオススメする人
この本をおススメする人は次の人たちです。
- 前作の「消えた少女」が面白かった人
- 笑いありの探偵モノを読みたい人
基本的には誰でも楽しめる一冊だと思います。
『最後の嘘 (吉祥寺探偵物語)』をオススメしない人
この本をおススメしないしないのは次の人たちです。
- 前作を読んでいない人
- ハードボイルドにギャグは不要だと考える人
- 他愛無い小説を読む時間がないと思っている人
楽しい時間を過ごせる一冊ですが、無駄な時間を過ごしたくないと考えるような人には受け入れて貰えないかも知れません。
『最後の嘘 (吉祥寺探偵物語)』の読後感
前作が自分には合いましたので、続編も是非読みたいと思っていました。
読み始めて思ったのは、
- やっぱりこのテンポが好き
- ギャグも引くほどではない
- 楽しい数時間が過ごせそう
前作と変わらぬ楽しき内容に安心しました。
時々、期待しながら読み始めた続編が酷い内容で、ガッカリしてしまうことがありますが、この「吉祥寺探偵物語」は期待を裏切らないでくれました。
作者に感謝です。
ただ、2点気になったことがありましたので、その点を記しておきます。
主人公・川庄の破天荒さが薄まり常識人に・・・?
前作の『消えた少女』の川庄は、読んでいてワクワクさせられました。
悪く言えば、非常識かつ型破りなバツイチ・子持ちの38歳で、同年代の自分からすると川庄の生き方や考え方に「憧れ」を感じるところもありました。
中学生の頃に「ちょっと不良に憧れる」みたいな感情です。
(最近の人はそういう思い出が無いのかも知れませんが・・・)
「自分もやってみたいけど絶対に出来ない川庄の生き方」に憧れていたのに、続編ではその非常識で型破りな生き方が薄まっていたように思います。
初回の川庄だったら、きっと亜美を探す段階でもっと危険な場所にも足を踏み入れていた思います。佐久間のヤクザ事務所とか・・・。
でも、決してある一定の枠からははみ出さないし、亜美に言い寄られても常識を振りかざすし、小説の世界だからこそ「現実からのはみ出し」を見せて欲しかったです。
吉祥寺探偵物語シリーズは5巻まで出ているそうなので、引き続き読みたいと思うのですが、川庄の言動だけがちょっと心配です。
型破りのママで居てほしいです。
川庄と夏川の関係を匂わせる伏線は・・・?
最初のほうに描かれていた川庄と女刑事の夏川が食事に行くシーンに疑問ありです。別れ際に、夏川がそれとなく川庄にモーションを掛けるのですが、オッサンは気付かずにスルーしてしまいます。
川庄と夏川が付き合おうが、別れようがどちらでも構いません。
ただ、それとなく2人の関係の発展を匂わせつつ、2巻ではその伏線を1ミリたりとも回収しないのはどうかと思います。
せめて、最後にもう一度思わせぶりな台詞かシーンでも挟んでくれれば、シリーズ物の雰囲気が盛り上がるのですがねぇ。
- 結局、何のために川庄と夏川が食事したのか?
- 何のために夏川がモーション掛けたのか?
完全に最後までスルーなのは読者として不完全燃焼です。
作者がまさか忘れた訳ではないと思いますが・・・。
まあ、それでも楽しい読書の時間を過ごせましたので良かったです!
その他の五十嵐作品の紹介記事
今回記事にした吉祥寺探偵物語シリーズの第一弾の他に、3作品を記事にしています。
もしもお時間ありましたら、よろしくお願いします。
↓おすすめの本と漫画のブログランキングはこちらへ!
↓応援ありがとうございます!