消えた少女(著:五十嵐貴久)を読んだ!
五十嵐さんは、重厚な作りの作品と、軽いノリの作品の両方を作っています。
軽いノリの作品の場合、五十嵐さんが飛ばしに飛ばすギャグの数々が自分の感性には合わず、ガッカリすることもしばしばあります。
今回の作品は、タイトル的にはハードボイルド系のミステリー小説のようだが、
「裏表紙の本の紹介」を読むと軽いノリも漂ってきます。
今回の作品は果たしてどちらに転ぶのか、ドキドキしながら読みました。
無事に読み終えたので、感想をまとめてみます。
『消えた少女』のあらすじ
バツイチ・子持ち、元銀行員の川庄(38歳)が主人公である。
妻は若い男を選び、旦那と子供を置いて家を出て行ってしまいます。
川庄は、一人息子の養育費として十分な金を貰っているため、正社員として働かずに自宅近くのコンビニでアルバイトをして生計の足しにしていました。
昼過ぎから18時まで働き、
自宅へ戻って息子に夕飯を食べさせ、
その後は夜の街へ繰り出して飲む。
一日の締めは多種多様な人が集うバーへ行って異文化交流を楽しみ、
明け方自宅へ戻る。
そして息子に朝飯を食べさせ、
学校へ送り出すとしばし休憩。
昼・・・再びコンビニへ。
これが川庄の日々の暮らしでした。
そんなおり、バーで知り合った人から、ネコを探して欲しいと依頼が舞い込みます。
見事に迷子のネコを探し出してヒーローとなった川庄は、吉祥寺界隈ではペット専門の探偵として知られるようになり、続けざまにもたらされる依頼を解決していきます。
するとある日、川庄に惚れているゲイバーのママ・京子ちゃんが、彼の元に1人の美女・柳沼純菜を連れてきます。
彼女もまた、川庄に捜索の依頼をしに来たのでした。
ただし、探すのはペットではなく、1年前に忽然と姿を消した彼女の娘でした。
ペットを探すのとは訳が違うし、なにより警察が1年掛けて見つけられない少女を、素人の自分が探せるわけがないので断ろうと考えていた川庄でしたが、純菜の雰囲気に惑わされ、次第に少女の捜索に足を踏み入れて行く事になります。
地元の警察に話を聞き
担当している警視庁の女刑事に話を聞き
父親が勤めている会社を訪ね
当時取材していた新聞記者にも会いに行き
聞き込みを始めます。
すると、携帯に不審な無言電話が掛かるようになります。
電話の主は、川庄が不明少女探しをしていると知り、川庄が何者なのか探りを入れてきたようでした。
それゆえ、この無言電話の主を探すことが純菜の娘を探し出す鍵になると考えた川庄は、ある行動に出るのでした。
結末は、是非、本書を読んで楽しんでください!
『消えた少女』のおススメ度はいくつ?
おススメ度は75点です!
面白いです!
続きが読みたいと思いました・・・
そう思って、ネットで調べてみたら、既にシリーズ化されてましたね。
『吉祥寺探偵物語』として!
早速、古本屋を物色することにします。
『消えた少女』をおススメする人
- 重苦しい本は読みたくない人
- 軽いミステリーで楽しめる人
- ちょっと暗くなる結末でも大丈夫な人
- 軽いハードボイルドで満足できる人
難しく考えず、小説を楽しむ気持ちで読んだら面白いですよ。
『消えた少女』をおススメしない人
- 軽いハードボイルドでは満足できない人
- 緻密な計算がなされたミステリーでないと許せない人
- アリガチな落ちでも、「俺はわかってたよ~つまらん本だ」と言わない人
- 設定に多少無理があっても、本筋に関係ないなら流せる人
堅苦しく考える人は、止めたほうがいいでしょうね。
『消えた少女』を気に入った理由
読み始めて直ぐにこの本は気に入る!思いました。
まず、テンポがいいのです。
早く先を読みたくなる軽妙なテンポ。
それから、悪ノリし過ぎでない点もよかったです。
過去に読んだ幾つかの作品は、ギャグが強烈過ぎる作品もありました。
そして、それぞれのキャラクターの個性がしっかり描かれていること。
ゲイバーのママ、女刑事とそのお守り役の様な男の刑事、出来すぎくんの息子。
きちんと書き分けられていました。
最初から、シリーズ化を念頭にしてしっかり書き込んだのかなぁ?
もちろん、細かいことを言えば色々あります。
純菜の娘を探し出す動機付けが弱かったり、
自分の息子をほぼ放置にしていたり、
人によっては突っ込みどころが多い作品でもあるでしょう。
ですが、断言できます。
読んで損はありません!
難しいことを考えず、心を楽にして読んでください!!