いつかの少年 吉祥寺探偵物語(著:五十嵐 貴久)を読んだ!
吉祥寺探偵物語はシリーズ化されており、この本は第5弾にあたります。
過去4作の紹介記事はこちらから。
第1弾 消えた少女-吉祥寺探偵物語
第2弾 最後の嘘-吉祥寺探偵物語
第3弾 六つの希望-吉祥寺探偵物語
第4弾 盗まれた視線-吉祥寺探偵物語
現在、当シリーズは5冊目まで発表されています。
吉祥寺探偵物語第5弾、「いつかの少年」を読み終えたので感想をまとめます。
『いつかの少年 吉祥寺探偵物語』のあらすじ
(シリーズの背景)
この吉祥寺探偵物語シリーズは、バツイチ・子持ち、元銀行員の川庄が主人公である。
妻は、若い男と暮らすと言って家を出て行ってしまったが、一人息子の養育費として十分な金を貰っているため、川庄はあくせく働く必要はなく、自宅近くのコンビニでアルバイトするだけで、十分に生計を立てることが可能である。
そんな彼の1日は・・・
昼過ぎから18時までコンビニで働き、一旦自宅へ戻って息子と夕飯を共にする。その後は夜の街へ繰り出して、朝まではしご酒で飲み歩く。ただし、どんなに飲んでも、朝は必ず自宅へ戻って息子に朝ご飯を食べさせ、学校へ送り出す。しばし休息した後、再びコンビニへ向う・・・。
これが、主人公・川庄の日々の暮らしである。
この、怠惰というか、優雅というか、変哲の無い平和だった彼の暮らしに変化が訪れるのは、川庄が行きつけの飲み屋で知り合った知人から、「猫探しをしないか?」と持ちかけられたのがきっかけであった。
「猫探し」をきっかけに、吉祥寺の街で私立探偵まがいの事をするようになるのである。
(いつかの少年のあらすじ)
前作のストーカー騒ぎの中で知り合ったダサオ(彼もある意味ストーカー)の恋わずらいから物語は始まる。
前作において、工藤の姪である芽衣に、アッサリと振られたダサオであったが、すぐに次のターゲットを見つけるのであった。
そのターゲットは、川庄の伝手でダサオも働くことになったコンビニで、夜間にアルバイトで働いているギャルママであった。
どう足掻いても、ダサオがそのギャルママと付き合えるとは思えない川庄であったが、ダサオの求めに応じてダイエットのための特訓(ランイング)をさせるのであった。
その特訓に、何故か息子の建人も参加すると言う。その理由は太ったから・・・。しかし、彼の息子はどうみても余計な肉がついているようには思えない。その彼の言動の不振さから、川庄は「息子の悩みも女絡みだ」と感じ、父親として動揺するのであった。
ダサオの恋は、今回もあっけなく潰えます。
ギャルママが子育てと生活を両立させるため、田舎へ引っ込むことにしたからであった。
別れの日、川庄はダサオを連れてギャルママの見送りに行きます。そこで・・・。
数日後、ダサオの姿は吉祥寺から消えるのでした。
ダサオの恋は潰えますが、健人の恋はジワジワと燃え上がります。
息子の悩みの種を知りたくなった父親が追及すると、健人はアッサリと白状するのでした。
息子が年上の女に惚れたと聞いて喜ぶ川庄でしたが、彼らが知り合ったきっかけであるフットサルチームの見学に行き、その相手を一目見るや、悟るのでした。
「息子よ、高嶺の花過ぎる・・・」と。
英国人のクオーターである彼女・深雪ちゃんは、日本人離れしたスタイルをしており、しかも、アイドルとしても通用する綺麗な顔立ちをしていました。
子供というものは、自分たちの周りに居る異質な存在を苛める傾向があるため、日本人離れした彼女は友達がおらず、寂しい思いをしていました。
その隙間に、上手いこと健人は潜り込んだ訳ですが、いずれ、男どもは彼女の美しさに気付き、ライバルが増えるに連れて健人が太刀打ち出来なくなると考えたのでした。
息子には無理だろうと思いつつも、可愛い息子の悲しむ姿は見たくない訳であり、川庄は、息子の恋の行方でヤキモキする毎日を暮らしていました。
そんな川庄の元を、1人の老人が訪ねます。
その人物とは、以前、川庄の働くコンビニをジャックした主犯・宮田でした。
正直言って、彼とは金輪際関わりあいたくない川庄でしたが、彼から吉祥寺界隈で頻発している老人を狙った「振込み詐欺」を解決して欲しい!と頼まれ、日々の生活費欲しさから手を貸すことにするのでした。
解決に当たり川庄は、天敵である刑事の工藤や、仲の良い夏川刑事にも相談します。すると警察も、この詐欺グループには目を付けていましたが、確証がなければ警察は動けません。
そこで川庄は、宮田の人脈を駆使し、元自衛官である彼の作戦を元にして、少しずつ詐欺グループに近づいていくのでした。
一方、少しずつ関係を深めていく作戦であった健人の恋愛作戦は、突如、大きな方向転換を迫られることになります。
なぜなら、深雪ちゃんが、祖父母のいるイギリスへ行くことになったからである。
彼女が渡英してしまう前に、「何か」しておきたい健人、その健人の想いを助けるために、川庄は深雪ちゃんの父親に接近するのであった。
深雪ちゃんの父親は、吉祥寺界隈ではそれなりに名の知れた経営者であった。
彼は、川庄とは生きる世界が違うにも関わらず、その言動が鼻につくことはなく、川庄は馬が合い、すぐに一緒に飲み歩く仲になるのでした。
実は、それが川庄の作戦でした。
『父親同士が飲んでいる間、子供たちも一緒に居ることが出来る。』それが、学も無く、金も無い、ダメ父親が健人にして上げられる精一杯の協力だったのです。
詐欺グループの件は、宮田の作戦が功を奏し、振り込め詐欺グループの実態が徐々に明らかになっていきます。
実態が明らかになるにつれ、川庄は苦悩を深めることになります。
なぜなら、黒幕の1人は、川庄も良く知る人物であったからです。
- 健人の恋の行方はどうなるのか?
- 振り込め詐欺グループの知人とは?
- 川庄はどうするのか?
物語の行方は本書を読んでお確かめください!
『いつかの少年 吉祥寺探偵物語』のおススメ度はいくつ
おススメ度は75点です。
第4弾の70点よりは若干上がりました。
今回もテンポの良い台詞回しが健在で楽しめます。
この第5弾で回収していない、投げっぱなしの伏線もあるけど、いずれきちんと回収するのだろうと期待しています。
今回の第5弾ですが、読み手の状況(環境)によって感想が異なると思います。
まあ、当たり前でしょうが、学生と健人や深雪と同年代の子供を持つ父親だと、大きく印象が違うと思います。
『いつかの少年 吉祥寺探偵物語』をおススメする人は?
- 吉祥寺探偵物語を読んだことがある人
- 五十嵐作品が好きな人
- テンポの良い小説を読みたい人
- 長編小説が苦手な人
短いのでおススメです。 - 頭がグチャグチャになって煮詰まってる人
スッキリします。
『いつかの少年 吉祥寺探偵物語』をおススメしない人は?
- 長編小説が好きな人
- ギャグ連発の小説が嫌いな人
- 読む本を厳選する必要がある忙しい人
『いつかの少年 吉祥寺探偵物語』の読後の感想
読み終えて特に印象に感じていることをまとめます。
どうしてもネタバレ的になりますので、未読の方は見ない方が良いかもしれません。
この先ネタバレ注意です!
ダサオ・・・これで終わりじゃないよね?
第4弾の感想で、ダサオが準レギュラー格になるかもしれない!
と書いただけに、第5弾もダサオの話で始まって嬉しかったです。
なのに・・・
突然の退場!
退場後は、最後の最後まで、ダサオのダの字も出て来ません。
気になります。
彼の思いは成就するのでしょうか?
夏川・・・このタイミングでその台詞?
振り込め詐欺も、健人の初恋も、全てが解決した後でよもやの展開がありました。
「夏川さん・・・告った?あれ告ったよね??」
思わず、何度も何度も彼女の台詞を読み返しました。
正直、意表を付くタイミングでの告白に、読んでいるこっちまで焦りました。
おい!
どーすんだ、これ??
どーなんだよ、これ??
と呟いてしまいました。
五十嵐さん・・・書けよ、続編を!
ダサオの件、そして夏川と川庄の件、きちんとケリをつけて欲しいです。
しかし・・・
2014年4月の第1弾から2015年4月の第5弾まで、コンスタントに発表されていた作品が、第5弾以降は約3年近く続編が発表されていません。
五十嵐先生!
ちゃんと書いて!!
せめてあと1冊、ダサオと夏川の件にはケリをつけてください。
気になって仕方ありません。
書いた責任は取ってくれ~
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