盗まれた視線 吉祥寺探偵物語(著:五十嵐 貴久)を読んだ!
吉祥寺探偵物語はシリーズ化されており、この本は第4弾にあたります。
第3弾までの記事はこちら
第1弾 消えた少女-吉祥寺探偵物語
第2弾 最後の嘘-吉祥寺探偵物語
第3弾 六つの希望-吉祥寺探偵物語
現在、吉祥寺探偵シリーズは第5弾まで発表されています。
ちなみに第4弾と5弾は、本の厚さがかなり薄いので、内容が伴うのかちょっと心配しています。
吉祥寺探偵物語第4弾、『盗まれた視線』を読み終えたので感想をまとめます。
『盗まれた視線 吉祥寺探偵物語』のあらすじ
(シリーズの背景)
このシリーズは、バツイチ・子持ち、元銀行員の川庄が主人公である。
妻は、若い男と暮らすと言って家を出て行ってしまったが、一人息子の養育費として十分な金を貰っているため、川庄は自宅近くのコンビニでアルバイトをするだけで十分生計を立てることが可能でした。
昼過ぎから18時まで働き、一旦自宅へ戻って息子と夕飯を共にする。その後は1人、夜の街へ繰り出して、朝まではしご酒で飲み歩く。どんなに飲んでも、朝は必ず自宅へ戻って息子に朝ご飯を食べさせ、学校へ送り出す。しばし休息したら、昼前には起床して、コンビニへ向う・・・。
これが、主人公・川庄の日々の暮らしである。
この、彼の平凡だけど平和な日々に変化が訪れたのは、川庄が飲み歩いていた店の1つで知り合った人から、「猫探しをしないか?」と持ちかけられたのがきっかけでした。
猫探しをきっかけに、川庄は私立探偵まがいの事をするようになるのであった。
(盗まれた視線のあらすじ)
コンビニへ出勤しようとしていたら、家に天敵がやって来ます。
天敵とは、川庄が私立探偵稼業をする中で馴染みとなった、警視庁の女刑事・夏川の上司・工藤である。
工藤は、非合法で探偵ごっこをしている川庄の事が気に食わず、事あるごとに非難していました。そのため、川庄も工藤をメンドクサイ奴だとみなし嫌っていました。
その工藤が、突然、川庄の自宅を訪れたのです。
コンビニへの出勤時間だと言う川庄の言い分は意にも介せず、工藤は可愛い少女を連れて家に上がりこんできます。
そして、今まで散々川庄の探偵ごっこを非難していたくせに、川庄に対して「彼女の身辺警護をしろ」と言うのでした。
工藤の話が見えないので、川庄が何が起きているのか問いただすと、その美少女は工藤の姪(名前は芽衣)であり、大学に合格して田舎から上京した際に、工藤が親代わりに身辺に気を配っていたのでした。
その、大切にしている姪が、どうやら「誰かにストーカーされている」ようだと告げるのでした。
それは、素人の川庄が対応するのではなく、刑事である工藤か所属先の警察が対応すればよいと突っぱねるのですが、工藤は現在別の捜査で手一杯なこと、さらに、芽衣が「誰かに見られているような気がする」と言っているだけで、まだ何も実害が無いため、警察も動けないと言うのであった。
天敵・工藤の頼みなど聞きたくも無く、悩む川庄でったが、美少女が困っているのは見捨てられないと結局引き受けるのであった。
川庄は、彼女の身の安全を守るため、芽衣が大学に居る時以外と自分がコンビニでアルバイトをしている時以外は、常に一緒に行動するようになります。
一見、大変そうに見える仕事であったが、そこは抜け目のない川庄。次々と芽衣の友人(もちろん女子大生)と連絡先を交換していくのでした。
もちろん、工藤から依頼された身辺警護の依頼もしっかりと行います。
芽衣の住むマンションのエントランスに設置された防犯カメラの映像を確認したり、知り合いの電気屋を呼んで芽衣の部屋から盗聴器を見つけたり、さらに、特殊技術を持つ知り合いに芽衣の部屋をピッキングさせたり、様々な角度から芽衣の身辺を洗っていくと、確かに誰かが芽衣をストーカーしていることがハッキリしてきます。
その事実を掴んだ川庄は、夏川刑事を呼び出し、一緒に芽衣の家を張り込み、ついに1人の男を捕まえるのでした。
その男は醜く太り、ファッション性の欠片も感じられませんでした(川庄はダサオと呼ぶ)。ダサオは、街で偶然見掛けた芽衣に一目惚れして、密かに芽衣を見張っていたのでした。見ているだけならまだ良かったのに、彼女が高嶺の花で自分にはどうにもならないと知った彼は、芽衣がベランダに干していたハンカチを盗んでいたのでした。
芽衣を付け狙うストーカーを逮捕し、一件落着・・・と思ったのですが、川庄はどうしてもしっくりきません。
どう考えても、このダサオが盗聴器を仕掛けたり、ましてや特殊技術を駆使して傷跡一つ付けずにピッキングをしているとは思えないのでした。
そこで、改めて、芽衣の身辺の調査を行ったところ、川庄はとある点に気付くのでした。
- 川庄が気になった点とは何か?
- ダサオは本当に真犯人ではないのか?
- 川庄は真犯人にどうやって辿り着くのか?
- 芽衣は最後まで無事なのか?
結末は本書を読んでお確かめください。
『盗まれた視線 吉祥寺探偵物語』のおススメ度はいくつ?
おススメ度は70点です。
第1・2弾は75点、第3弾は80点でしたが、下がってしまいました。
もっとも、点が下がってしまった理由ですが、面白くないからではありません!
川庄の活躍は今作品でも楽しめます。
テンポの良い台詞回しも健在です。
ただ、何となくですが、メインとなるストーカー事件のあらましに、意外性が感じられなかったのが原因です。
ほ~・・・そうきたかぁ~
という驚きが小さかったです。
『盗まれた視線 吉祥寺探偵物語』をおススメする人
- 吉祥寺探偵物語を読んだことがある人
- 五十嵐作品が好きな人
- テンポの良い小説を読みたい人
- 長編小説が苦手な人
時間が余り無い時に、サッと読んで楽しめる一冊だと思います。
『盗まれた視線 吉祥寺探偵物語』をおススメしない人
- 長編小説が好きな人
- ギャグ連発の小説が嫌いな人
- 読む本を厳選する必要がある忙しい人
こういう言い方は失礼だと思いますが、話に深みはないですかね。
娯楽として楽しむ一冊です。
『盗まれた視線 吉祥寺探偵物語』の読後の感想
シリーズ第4弾でも川庄の活躍は健在でした。
ただ、今回は川庄以外のレギュラー登場人物たちの活躍が、あまり見られなかったのが残念です。
おかまの京子ちゃんとか、夏川刑事もそれほど活躍の場はなく・・・
私的には、五十嵐作品の良さの一つは、登場する複数のキャラクターがしっかり描かれていることだと思っているのですが、それが物足りなく感じました。
上記以外に、この本を気になった点を3つ上げておきます。
少々、ネタバレ気味だと思うので、未読の方はお気をつけ下さい。
結末に関して
ちょっと意外性が無さ過ぎると言うか、犯人が捕まっても「あぁ、そうか、この人か・・・」という程度の印象しか無かったです。
もう少し、「そんなことあるのかよっ!」って突っ込みたくなるような結末にしてくれたら良かったのになぁ。
第3弾の『六つの希望』の内容が「いや、ありえんだろ、これは・・・」と呟きたくなる位の、非現実的な話で面白かっただけに、ちょっと拍子抜けしました。
結局、顔で決まるのかよっ!
工藤の姪である芽衣は美人だし、芽衣の恋人も、顔は!良いみたいです。
そして、今回の話を要約すると、顔が良ければ得する・・みたいに捉えることも可能な内容です。
正直、読みながら「やっぱり顔ですか?」と呟いてました。
新しいレギュラーか?
ダサオ・・・
ストーカーとして川庄に逮捕された後の、川庄との関わりを見ていますと、このままレギュラー登場人物になりそうな雰囲気があります。
いじりやすいキャラクターだと思うので、今後の彼の描かれ方が楽しみです。
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