lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『2005年のロケットボーイズ』を読んだ!



2005年のロケットボーイズ(著:五十嵐貴久)を読んだ!

この作者の作品は、ギャグが満載の笑える楽しい作品か、
『リカ』見たいに半端ない怖さを秘めた作品か、どちらかだと勝手に思っている。
本書は、2005年と年号があることから、最高に面白かった『1985年の奇跡』に似て、おそらく前者であるだろうと予想しながら読み始めました。

 

2005年のロケットボーイズのあらすじ

大切な高校受験の前日に、交通事故に遭った主人公・梶谷信介(通称カジシンが意識を取り戻したのは、受験予定であった公立文系高校の入試が終わってからであった。

やむなく、理科系の私立王島電気大学付属王島工業高校に進学するとこになるのだが、理科系の頭脳は当然ゼロであり、授業にはまともに出ず、パチコンと屋上でのサボリに日々の時間を費やしていた。

そんなある日、カジシンはひょんなことから教師に弱味を握られてしまい、
『キューブサット』なる物体の図面コンテストに強制参加させられることになった。

CubeSat - Wikipedia


理数系能力ゼロの彼は独りではどうにも出来ないため、数少ない友人の大崎(通称ゴタンダを仲間に引き込み、彼の人脈を利用することにした。
そして、人付き合い能力ゼロの理数系能力抜群の成田(通称大先生に図面を引かせることに成功する。

なんとか設計図を提出して、事なきを得たと思ったのも束の間、なんと、素人の書いた設計図が賞を取ってしまったことから彼と彼の仲間の人生は動き出す!

棚ボタ的に得た賞金を3人で分け、ゴタンダと飲めや歌えの日々を過ごしていた彼の元に、突如、学校から呼び出しがかかる。
呼び出しの理由は、カジシン達にとってまさに寝耳に水であった。
『先日の受賞者は、キューブサットの実技コンテストに参加しないといけない。』
『参加を辞退することも出来るが、その場合、賞金は返さなくてはいけない。』

つまり、豪遊して既に賞金を使い果たした彼らにとって、実技コンテストに出ることは避けられない事態であった。

参加を渋る大先生を多額の賞金で釣り、再び作業の陣頭指揮を取らせることに成功した彼らは、さらに、学校内で規格外扱いになっている牧野龍(通称ドラゴン愛川(通称翔さん、そしてカジシンの元彼女・彩子と彩子を慕うオタク大学生・オーチャンを加え、急ピッチでキューブサットを完成させて、実技コンテスト開催日を迎えたのであった。

テレビ中継もあり、学校側としても学校の知名度アップに期待を寄せていたのであるが、カジシン達の作ったキューブサットは敢えなく不具合が発生し、無様な最後を遂げてしまうのであった。

ふたたび、遊びほうける怠惰な日常に戻ったカジシンの元に、キューブサット製作メンバーの一人・ドラゴンがやって来て疑問を投げ掛けるのであった?
『このままでいいのか?』と。
『今度はキューブサットを宇宙に飛ばしてみないか?』と。

製作メンバーを集めて話し合った結果、やってみようと言う雰囲気が高まってきた所で、大先生がとんでもない白状をする。
『キューブサットの設計図を書いたのは、僕じゃない』と。

書いたのは、同じ学校の引きこもりの数学の天才であった。
その引きこもりを翔さん誘拐し連れ出し、製作費用はカジシンのじじいの生命保険を使わせてもらう算段がつき、彼らは本格的に動き始めます。

しかし、ロケットにキューブサットを乗せるまで猶予は僅か2ヶ月余り
完成までに横たわる様々な苦労を、
彼らはどうやって乗り越え、
どうやって宇宙にキューブサットを飛ばすのか?

とある高校生達による(若干それ以外も)、
前例のない宇宙進出プロジェクトの行く末や如何に!

 

一頁に一回はギャグを放り込んできた!

予想にたがわず、軽妙な語り口とギャグが満載の一冊であった。

この本は、カジシンのモノローグで作られていると言っても過言ではありません。
このカジシンのモノローグで使われる表現が面白い!

  • 誰かの発言への同意や皮肉にしても
  • 誰かの行動を表現するにしても

必ず何かに例えて表現(ギャグに)しています。

しかも、その例えが多種多彩!

文系理系何でもあり、そして一昔前から最新のネタまで、ありとあらゆる表現を用意して作者は執筆に望んだようです。

よくぞこんなことまで思い付くものだ!
と感心し過ぎて思わず笑えなくなるほどでした。

多分作者は、本書の中の全てのギャグが、万人に受けなくても構わない!…と言う風に考えているのではないかと思います。

『判る人に笑ってもらえばいい』

そのかわり

『必ず、どんな人でも一度は笑わせてやる』

そんな意気込みが感じられます。

私的な一番のギャグは、翔さんのある行動を喩えるために使われた独白です。

『あんたは頭文字Sか』

私は吹きましたよ。でも、万人には受けないですよね。

 

本書の構成は?

本書の構成は次のようになっています。

  1. カジシンの現在
  2. カジシンの高校時代
  3. カジシンの現在

まあ、よくある構成の仕方ですが、なかなか良くできていると思います。
特に、最初の話の入り部分である『1の現在』が必要以上に長くない点と、その導入部に仕掛けられた伏線が、キッチリと最後の『3の現在』部分で回収されているところが気に入りました。

 

本書のテーマは何か?

『人間諦めなければ何とかなる!』
が根底にあると思います。
それと、
『結果が全てではない!』
と言った事も含まれています。

また、カジシンが実技コンテスト参加時に、まだ何も成し得ていないのにつぶやく
『お前らとやってよかった!』
そして、仲間たちが時々つぶやく
『やって楽しかった!』
という台詞にも、本書のテーマが隠されていると思います。

とても臭い台詞だけど、言葉にすればこんな感じでしょうか。
『仲間と真剣に打ち込んだことは、人生において無駄になることはない!』

 

本書のテーマだけ見れば、学校の道徳用の教材で使えますね。
でも、間違いなく採用はされません…
だって、喫煙、飲酒、パチンコ、サボリ、の描写が満載過ぎです。

 

2005年のロケットボーイズのオススメ度はいくつ?

オススメ度は75点❗

大変に面白いです。

読みながら、思わず『クスッ』となる場面も多く、
ギュウギュウで苦痛を伴う通勤の合間に読むにはもってこいです。
学生には…ちょっと悪影響もあるかも知れませんが。

ただ、点数がそれほど高くない理由はあります。
それは読後に・・・

  • この本は深いなぁ…
  • 語ろうとしている真意は何だろうなぁ…

といった読後に心に強く残るものは、自分にはなかったからです。
もちろん、読む人の状況によって、感想も変わると思います。

 

まとめ

読み始めて直ぐに思ったのは、
『まずい!自分の苦手な理系的な話が満載か?』
と読み進む手が遅れがちになったのですが、その心配は杞憂に終わりました。

あとがきで作者も触れてますが、
理系的な頭でない作者が、
理系的な頭がゼロの主人公を使って、
理系的なテーマに悪態を付きながらトライする話でした。
理系的な事をカジシン同様に全力で逃げ回ってきた私にとって、
『うってつけの内容だった』と言えます。

しかしながら、
この××●●年と年号が付いているシリーズ(青春三部作と言うらしい)の中では、
本書の前の『1985年の奇跡』の方が私は気に入りました。

もっとも、読んだのは10年以上前になるので、
感想を記事にまとめるには、また読まないといけません!

 

とにかく、この『2005年のロケットボーイズ』は、
通勤の苦痛を『スカッ』としてくれるので、是非お試しあれ!

 

2005年のロケットボーイズ (双葉文庫)

2005年のロケットボーイズ (双葉文庫)

 

 

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