分身(著:東野圭吾)を読んだ!
東野作品が好きで未読だったらこの本を読んだら良いですよ~
とブログを見てくださった方から紹介して貰ったので、早速購入してみました。
文庫の初版は1996年(単行本は1993年)、世に出てから20年以上経つ作品なので、ちょっと不安を感じつつも、せっかく推薦してもらったので読み始めました。
その結果は・・・
『分身』を読み終えたのでまとめます。
『分身』の2分で読めるあらすじ
氏家鞠子には悲しい記憶があった。
親元を離れ生活していた中学時代、年末に自宅へ戻った夜に火事が起き、母親が焼死してしまうのであった。
子供の頃から、母親に似ていないと言われ、やがてと、母親が自分を避けるようになった記憶。
大学生になった鞠子は、死を前にした母親が東京へ行っていたことを知り、同時に自分の出生に何か秘密を感じるようになる。
父親に聞いても答えを得る事が出来ないため、鞠子は東京へ向かい、真実を探す旅を始めるのであった。
もう一人の主人公である小林双葉は、母子家庭で育ちました。
高校時代からバンド活動をしていた双葉は、大学に入っても続けていたのですが、その才能を認められてテレビ出演することになります。そのことを母親に告げると、激しい反対を受けてしまうのであった。それでも、反対を押し切ってテレビ出演をしたその直ぐあとで、母親が轢き逃げに遭って亡くなってしまいます。
母の死をきっかけに、自分の出生に謎を感じた双葉は、北海道へ謎解きの旅に出るのでした。
鞠子と双葉、二人の出生に隠された謎とは一体何なのか?
本書を読んでお確かめください。
『分身』の10分は掛かるあらすじ
函館で大学教授の娘として裕福な家庭で育った氏家鞠子は、子供の頃から悩みがありました。「母親に愛されていない・・・」
何故なのか?と考えても、自分が母親に似ていないのが原因以外に思いつくことはありませんでした。
中学に上がるとき、親から勧められた全寮制の学校へ入り、実家を出ます。
母親に疎まれているからだ・・・そう想い、学校の先輩などにもその悩みを伝えるのですが、皆、そんな筈がないと真剣には取り合ってくれませんでした。
年末に自宅へ帰ったとき、鞠子の人生が狂い始めます。
家族で食事をしたあと直ぐに睡魔に襲われた鞠子が、次に目を覚ましたときには自宅の庭に居て、自宅が燃えているのを眺めていたのでした。
前夜の母の様子を思い出すと、母は自殺を図ったように思う鞠子でしたが、父はあくまでも事故だったと言うのでした。
大学に入った鞠子は、自分の出生に関わる「何か」が母を苦しめたのではないかと思い、父に尋ねるが父は「何も語ろうとはしません」。そればかりか、海外留学を勧める様になるなど、鞠子を遠ざけようとするようになるのでした。
そんなある日、預けられていた叔父の家で若き日の父の写真を見つけます。その横には母ではなく、顔を黒く塗りつぶされた女性が写っていました。
また、死を前にした母が、何度も東京のある場所を訪れていたことを知り、鞠子は東京へ行くことを決断するのでした。
小林双葉は、父は幼き頃に亡くなったと聞かされ母子家庭で育ちました。
高校時代にバンドを始める際に、母からはデビューなどテレビに出てはいけないと。とだけ言われました。大学に入っても活動を続けていると、彼女の才能を見出したテレビ局にテレビ出演を勧められます。
母との約束があったので、テレビ出演の件を母にその旨を伝えると、何故か強行に反対されてしまうのでした。
母に反対されつつもテレビ出演を果たした娘に対し、母は何も言いませんでした。
数日後、一人の男が自宅を訪ね、母と何か言い争う場面を目撃します。
その件を母に尋ねても、「昔、大学で助手をしていて頃の知り合いだ・・・」としか答えてくれませんでした。
その翌日、母は仕事帰りに盗難車に轢き逃げされ亡くなってしまいます。
天涯孤独となった双葉の元に駆けつけてくれたのは、母の兄である叔父でした。
叔父に助けられながら母の葬儀を済ませた双葉は、叔父との会話の中で「自分の出生に疑問を感じる」ようになります。
さらに、母の遺品を整理している時に、伊原駿策という大物政治家のスクラップがあることに気付きます。
その直後、母が亡くなる前に尋ねてきた男・藤村から電話が着ます。彼から「色々と話したいことがあるので、(母が昔いた大学のある)旭川に来てくれないか?」と誘われると、双葉は、母の死の真相や自分の出生の真相を知りたいと思い、北海道へ向かうのでした。
東京へ向かった鞠子は、見ず知らずの人から双葉にそっくりだとあちこちで声を掛けられ、自分には生き別れた双子が居るのではないかと疑い始めます。
やがて、東京で自分探しを手伝ってくれる下條さんの活躍もあり、少しずつ母の謎と父の謎、そして自分の出生に近づいていくのでした。
一方、北海道へ向かった双葉の前に、生前の母(看護婦)に入院した際に世話になったという脇坂講介が現れ、彼女の自分探しの旅を助けるのでした。
藤村と言う男の行動は怪しく、彼女を病院へ入院させようと画策していました。
その動きが怪しいと指摘された双葉は、脇坂講介と逃げ出し難を逃れるのでした。
やがて、双葉も自分と瓜二つの存在の女性が居ることに気付き、その女性(鞠子)の存在を追い求めることで、事件の真相に近づいていくのでした。
双子以上に瓜二つの鞠子と双葉の関係はいかに?
母親にも、そして父親にも似ていない理由は何なのか?
事件は複雑なストーリー展開の果てに結末を迎えます。
結末は、ぜひ、本書を読んでお確かめください!
『分身』のオススメ度はいくつ?
オススメ度は75点です!
勧めてくださった方に感謝です。
ストーリー展開が見事で、あっという間に読みきってしまいました。
1990年代の前半の作品なので、多少、古臭さが出るのではないかと思っていました。
ですが、ネットや携帯が無い事を、最後まで違和感を感じず読めたのは凄いと思います。
『分身』をオススメする人
- 東野作品が好きな人はぜひ読んでください!
- ミステリーが苦手な人こそトライして欲しい!
『分身』をオススメしない人
正直、思いつきません。
強いて上げるなら・・・
- 長編小説が苦手な方
ですかね・・・。
『分身』読後の感想
鞠子の章と双葉の章が交互に描かれているのですが、この二人の距離がなかなか縮まらないことにイライラしたり、ハラハラしたり、疑問を感じたりしながら読みました。
東野さんは、このあたりの引っ張り具合が絶妙ですね。
また、450ページを超える長編小説ですが、作者があちこちに仕込んだ伏線が回収されていて見事でした。
例えば、鞠子が中学時に寄宿していた学校で親との悩みについて触れた件は、後半、双葉がちゃんと回収していました。
ここからネタバレあり。
最後に、医学的な話が絡んでくるのですが、決して医学的な話が中心とならず、知識の無い者でも問題なく読めました。
体外受精やクローン
ハンチントン舞踏病
など、扱い方を間違えたら、その説明で膨大な量となり、読む者は力尽きかねませんが、そうさせなかったのは作者の腕なのだと思います。
たまたま人に薦められて読んだのですが、面白かったです。
まだ未読の方は是非読んでみて下さい!
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