lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『ナ・バ・テア』を読んだ!



ナ・バ・テア(著:森博嗣)を読んだ!

第1作の『スカイ・クロラ』では、多くの謎を抱えたまま物語は終焉を迎えた。
『スカイ・クロラ』の感想はこちらから

『スカイ・クロラ』を読んだ! - lands_end’s blog

  • キルドレって何?
  • この世界は一体どんな仕組みなの?
  • なんで戦争しているの?
  • クリタって誰?
  • クサナギが抱えている秘密はなに?

これら多くのモヤモヤが、少しでも解消されることを願いつつ、第2作目の「ナ・バ・テア」を手にしました。

しかし・・・第1巻以上に難解な世界観に苦しみました。
最初のうち、何度か読むのを止めようとか思うほどでした。

なんとか『ナ・バ・テア』を読み終えたのでまとめておきます。

 

『ナ・バ・テア』のあらすじ

前作の「スカイ・クロラ」は話の起承転結が掴みづらく、あらすじとして書くことが出来ませんでした。

この第2作目の『ナ・バ・テア』は、一応、起承転結らしき区分があったので、あらすじとしてまとめる事が出来ました。
まあ、それでも、あらすじと言うか内容紹介文に近いと思いますが・・・。

 

「僕」は戦闘機パイロットとして戦っている。

戦ってはいるが、属しているのは軍隊組織ではなく、会社組織である。
戦ってはいるが、戦争と呼ばれてはいない。
でも、「敵」は確かに居て、一度戦闘に出れば、等しく「生」か「死」が「僕ら」を待ち受けている。

 

「僕」は新しい基地に赴任となった。

その基地には、誰もが憧れる「ティーチャ」と呼ばれるエースが居ました。
「僕」も密かに「ティーチャ」と飛ぶのを楽しみにしていた。

 

「僕」は地位を登りつめていった。

配属されて数回の戦闘で、「僕」の才能は先輩達を凌駕したのだった。
そして、基地でナンバー2の地位に登りつめた。あたりまえだが、ナンバー1は「ティーチャ」である。

 

「僕」は「ティーチャ」に上手くなるコツを訊ねた。

「ティーチャ」の答えはシンプルで「命を粗末にするな」だった。

 

「僕」以外にはこの基地に女性パイロットはいない。

だから、時に好奇の目で見られることがあり、それが「僕」にはとても煩わしかった。

 

「僕」は整備士の笹倉と仲が良かった。

ある夜、2人でドライブインへ食事に出かけた。
その帰り道、車を運転していたら、道路に女性が寝っころがっていた。
関わり合いになりたくなかったが、そのままにしもしておけず、助けて笹倉に後を任せたのだった。
後日、その女の名前が「フーコ」であることを同僚から知らされた。

 

「僕」は「大人である女・フーコ」を見て過去を思い出した。

学生時代、酔っ払ってキスをしようとした男子を殴って傷つけた。すると、そいつの彼女が「僕」を酷く罵ったのであった。
その彼女とは、後日、偶然街中で出くわした。
彼女は、僕が傷つけた男子ではなく、かなり年上の男と一緒に居たのだった。
それを「僕」に見られた彼女は、狼狽し、捨て台詞を吐いて去っていった。
「悔しかったら大人になってみなさいよ」と・・・。

 

「僕」がいる基地に新しく2名パイロットが配属された。

男性パイロットの名前は「栗田」、女性パイロットの名前は「比嘉沢」である。
彼ら2人とも、大人になれない「僕」と同じであった。

 

「僕」は不思議な感情を抱いた。

なぜなら「比嘉沢」は「ティーチャ」に憧れていたからだ。
彼女の「ティーチャ」への発言に、苛立ちとも、嫉妬とも、何ともいえない感情を抱く「僕」であった。

 

「僕」に女性が訪ねて来た。

相変わらず、基地でナンバー2の座を維持している「僕」に、会社から「甲斐」という女性が訪ねて来た。
彼女は、指揮官クラスに「キルドレ」を据えたいと考えており、その候補に「僕」を考えていたのであった。
でも、「僕」はただ、空を飛べるのであれば何でもよかったのだけど・・・。

 

「僕」は同僚を亡くした。

ある日、「ティーチャ」と「僕」、「栗田」と「比嘉沢」の4人で作戦に出た。
そして、比嘉沢は撃たれ、基地を目前にして墜落してしまうのであった。
身近に感じた「死」が、「僕」の感情をかき乱したのでした。

 

「僕」は不思議な行動を取った。

比嘉沢が亡くなった夜、「僕」は「夜遊び」に行く「ティーチャ」に同行した。
そして「僕」は、「フーコ」の変わりに「ティーチャ」の部屋に入り「ティーチャ」と一夜を共にしたのだった。

 

「僕」の元に情報部の人間が訪ねて来た。

「ティーチャ」と一夜を共にして暫くした後、「僕」の元に会社の情報部の人間が訪ねて来て、「ティーチャ」について何か知らないかと尋ねます。
誰かと会っていないか?
何か秘密を知らないか?

「僕」はあの夜の事を言える訳もなく、「何も知らない」と答えたのでした。

 

「僕」は新しい命を授かった。

あれから数ヶ月経ち、「僕」は子供を宿したことに気付いた。
そこで、「ティーチャ」から堕胎のための承諾書をもらい一人で病院へ向かったのでした。

堕胎手術の寸前に、「僕」は、医師からとある告白を受けます。
今から行うのは堕胎ではなく、宿した「子」を取り出すのだ。と。
そして、その依頼は「父」である「ティーチャ」から依頼されたのだ。と。

麻酔で意識が混濁していく最中にその話を聞かされた「僕」は、必死に抗おうとするが麻酔で身体の自由を奪われており、取り出される「子」が「普通の子供」として扱われることだけを尋ね、意識を失うのでした。

 

「僕」は子供もティーチャも失った。

手術が終わり、療養中の「僕」の元に「ティーチャ」が現れ、別れを告げられます。

「会社を辞めてきた」

 

「僕」は再び空へ、そして・・・。

基地へ戻り、身体がすっかり癒えた「僕」は、戦闘機パイロットとして出撃します。

ある時、出撃した「僕」は黒いネコのようなペイントを描いた敵戦闘機とドックファイトになりました。
自分の持てるあらゆる技術を駆使しても、その「クロネコ」を撃ち落とすことは出来ず、逃げられてしまいました。

ところが、その「クロネコ」は逃げ去る直前に「僕」に向ってジェスチャーをして見せました。
その「見覚えのある翼の振り方」で、「僕」はその「クロネコ」が誰なのか気付くのでした。

「チータってことか?まったく何考えてんだか」とつぶやき、それからふとおかしくなって「僕」は、空で独り大笑いするのでした。

 

BOOKデータベースの紹介文

amazonので使われている「BOOK」データベースによる内容紹介は以下の通りです。

信じる神を持たず、メカニックと操縦桿を握る自分の腕だけを信じて、戦闘機乗りを職業に、戦争を日常に生きる子供たち。地上を厭い、空でしか笑えない「僕」は、飛ぶために生まれてきたんだ―大人になってしまった「彼」と、子供のまま永遠を生きる「僕」が紡ぐ物語。森博嗣の新境地、待望のシリーズ第二作。

第1作の「スカイ・クロラ」の内容紹介以上に、何が何だかサッパリの紹介文です。

 

『ナ・バ・テア』のおススメ度はいくつ?

前作のスカイ・クロラに続き、採点がとても難しいです。
よって、今回も3パターンで採点します。

●物語の背景や世界観を全く知らずに読んだ場合
おススメ度は60点

『ナ・バ・テア』だけで、完結しているとも言えるので60点にしました。

 

●多少、物語の背景や世界観を知って読んだ場合(ただし未読)
おススメ度は60点

『ナ・バ・テア』を理解するのに、ちょっと世界観を知っている程度では、役立ちそうに無いと感じます。

 

●シリーズ6冊を1度読みきったことが有る場合
おススメ度は75点

6冊全て読んでいれば、謎の大部分は解けていますので、「あぁ・・・これは!」「そうそう、これは!」って、思いながら読むことは出来るはずです。

 

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『ナ・バ・テア』をおススメする人、しない人

おススメする人は次の4点のいずれかに合致する人です。

  1. 森作品なら無条件で読みたい人
  2. 時間をとってこの本を読める人
  3. 理解出来ない専門用語の多用に耐えて読みきれる人
  4. 1度、シリーズ6冊を読みきった人。

逆におススメしない人は、上記4点に該当しない人です。

前作スカイクロラと違い、この「ナ・バ・テア」では、航空機関係の専門用語は読み飛ばすと、文章のリズム感を味わえません。

なので、意味が判らなくても、リズミカルに読むことが大切に思いました。

 

『ナ・バ・テア』を読み終えて感じたこと

読み終えて感じたことをまとめます。
苦戦しながら、読みきったので、ちょっと愚痴っぽいかも知れません。

また、若干ネタバレ気味なので、未読の方は読まない方が良いかも知れません。

 

なんて不親切な作りなの?

とにかく不親切な作りです。
この作りは敢えてなのかも知れませんが、ちょっと酷すぎます。

例えば、『ナ・バ・テア』は「僕」の一人称で進められます。
だから、読み手は普通に主人公は「男性」であると思い込みます。
そして、前作「スカイ・クロラ」から続けて読んでいれば、「カンナミ」だと思い込んだまま読み進めることになります。

しかし・・・読み進めれば、読み進めるほど、違和感を感じて混乱します。

だって、主人公の「僕」はカンナミではないし、しかも「女性!」なのだから。
そして、時系列も何の説明も無く遡っています!

これを仕掛けと言うのでしょうか?
単に混乱させているだけでは?

 

物語中盤まで「僕」が誰なのか判りません。
最後の最後にやっと「草薙水素」というフルネームが一回出てくるのみです。
出てきたら、出てきたで、混乱するのですがね・・・。

何ていうか・・・
作者が、敢えて読み手を淘汰しているような印象を感じました。

この難解な進め方に付き合えないのであれば、読むのを止めていいよ!
みたいな・・・。

 

航空機関連の専門用語が多過ぎるが・・・

日常生活では見慣れない(聞きなれない)用語のオンパレードです。

ラダーとかフラップとか・・・
インメル・・・ターンとか・・・

この本は、いちいち「そこ」に引っ掛かっていたら、読み終えるのは不可能です。

専門用語は、空中戦や飛行中の描写に使われています。そして、その記述はとても短いセンテンスになっています。
なので、敢えていちいち意味を調べず、リズミカルに読むことで、なんとなく・・・本当になんとなくですが、大空を飛んでいる気になったのは、私だけでしょうか?

 

タイトルの英語表記と表紙の詩は秀逸

タイトルは『ナ・バ・テア』
英語では『NONE BUT AIR』となるそうです。
直訳すると『空気だけ』。
つまり、主人公が追い求めた「空」を言いたいのかな?

 

それと、今回も表紙に詩が書かれています。

周りには、空気しかない。
何もない。
命も、死も。

前作と違い、ちょー短いです。
でも、読み終えた後にこの詩を読み返すと、なぜかこの短さに納得しました。

 

『スカイ・クロラ』シリーズの感想文

シリーズを刊行順に並べると以下の通りです。

  • 「スカイ・クロラ」 The Sky Crawlers
  • 「ナ・バ・テア」 None But Air
  • 「ダウン・ツ・ヘヴン」 Down to Heaven
  • 「フラッタ・リンツ・ライフ」 Flutter into Life
  • 「クレィドゥ・ザ・スカイ」 Cradle the Sky
  • 「スカイ・イクリプス」 Sky Eclipse

現在、記事にまとめ終えたのは2作目までです。
第1作目「スカイ・クロラ」の感想文はこちらから

www.road-to-landsend.net

 

第3作目の「ダウン・ツ・ヘブン」の感想文も公開しました!

www.road-to-landsend.net

 

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