lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

スポンサードリンク


『禁断の魔術(ガリレオ8)』を読んだ!



禁断の魔術(著:東野圭吾)を読んだ!

『禁断の魔術』が単行本で発表された際には、短編4つからなる本でした。
しかし、シリーズ7作目の『虚像の道化師』文庫化する際に、『虚像の道化師』『禁断の魔術』の構成が大きく変わりました。
『虚像の道化師』に元々収録されていた短編4つに加え、『禁断の魔術』に収められていた短編4つのうち3つを加え、7つの短編小説が収録した文庫本として発表されました。
この文庫本『虚像の道化師』についての感想は前回の記事でまとめました。

『虚像の道化師』を読んだ! - lands_end’s blog

残る1つのお話・・・
『禁断の魔術』が単行本時代『猛射つ(うつ)』と題されて収められていました。

ガリレオシリーズの最後になるかもしれないと噂されている物語なので、『虚像の道化師』に続いて一気に読みました。

ガリレオシリーズ第8作品『禁断の魔術』の読後の感想をまとめます。

 

『禁断の魔術』のあらすじ

フリーライター・長岡修の遺体が、自宅で発見されたことから物語は始まります。

職業柄、うらみつらみを受けやすいと考えて捜査を始めた警察でしたが、容疑者に上がった人達にはことごとくアリバイがあり、簡単そうに見えた捜査は難航します。

手掛かりを探す警察は、ある情報に目を付けます。
それは、長岡が生前最後に取材対象としていた「代議士・大賀仁策」に関わるネタでした。
大賀は、北関東の某県光原町において計画されている最新科学技術拠点開発(スーパーテクノポリス計画)の重要なキーパーソンでした。

スーパテクノポリス開発地域には希少な動植物が生息しているうえに、開発計画には高レベル放射性廃棄物を処分するための研究施設建築も含まれていて、地元ではかなり大きな反対運動が行われていました。

長岡が掴んだネタは、この反対運動の行方を大きく左右するものでした。
それは、開発の鍵を握る大賀代議士を担当していた若い女性記者・古芝秋穂が、過去にホテルで不審死を遂げていたというスキャンダラスなものでした。

古芝秋穂には弟・伸吾がいました。
彼ら姉弟には両親がおらず、姉が親代わりとなって伸吾を育てていました。

伸吾は高校生の時、『物理研究会』に所属していました。
部員の勧誘に苦しんだ伸吾は、新入生の勧誘の為に目を引くデモンストレーションを行うことを考え、かつて『物理研究会』に所属していたOB達に片っ端から手紙を送り、アドバイスを求めたのでした。

殆どのOBが色よい返事をくれない中で、湯川だけは協力を申し出て、信吾が電流と磁界を使った装置『レールガン』を作成するのに知恵を与え、さらに作成のために手を貸してくれたのでした。

1年後、湯川のように科学の道を進みたいと考えた信吾は、帝都大学を受験して見事に合格します。そして、湯川の元を訪ね、改めて高校時代の協力に対して礼を述べるのでした。

数ヵ月後、下町の小さな工場に1人の青年が入社します。
その人物は、夢を抱いて帝都大学に入学したはずの小芝信吾でした。

入社してすぐに、彼の頭の回転の良さ、物覚えの良さ、さらに、寝食を惜しんで仕事に励む姿勢は、他の社員や社長から評価され、将来を期待されるようになるのでした。
しかし、信吾が残業と称して工場で行っていたのは、かつて湯川と製作した「レールガン」の能力を向上させることだったのです。

代議士・大賀の担当として働いていた秋穂は、彼の仕事への姿勢や生き方を取材するうちに大賀の人柄に惚れてゆき、親子ほどに年が離れており、さらに大賀には家庭があることも判っていながら、男女の関係になってしまうのでした。

不倫と言うスキャンダルは、女性に人気がある代議士にとっては致命傷にはなりかねず、また、『スーパテクノポリス計画』を推進する上でも決して人に知られてはならないことでした。

そのため、2人の密会は常に高級ホテルの一室でした。
先に秋穂が部屋に入り、部屋番号の番号だけを大賀にメールし、大賀はフロントを通らずに直接部屋へ入って逢瀬を重ねていました。

多くの人の人生を狂わすことになる事件が起きたあの日も、いつも通り、秋穂は先にホテルに入り、部屋番号を大賀にメールしていました。
秋穂からのメールを受け取って部屋に入った大賀は、大量の出血とともにベッドに横たわっていた秋穂を発見します。

驚き慌てた大賀は、2人の事を唯一知っている秘書へ連絡をします。
秘書の回答は「何もせずにそのまま部屋を出ろ」でした。
「例え救急車であっても連絡してはならない」

そうしなければ、二人がこれまで苦労しながら密会を重ねてきた努力が水の泡になると言われた大賀は、出血して倒れている秋穂をそのままにして立ち去るのでした。
翌朝、秋穂がチェックアウトの時間を過ぎても姿を見せないことに不審を感じたスタッフは、室内で冷たい骸となった秋穂を発見するのでした。

親代わりに育ててくれた姉を失った信吾は、学費等を工面できなくなりやむなく退学することになるのでした。
その後、ひょんなことから姉の死の真相に辿り着いた信吾は、「レールガン」を使って復讐を企てることになります。
その、信吾の復讐心を知っていたのは、偶然、彼が工場で「レールガン」の実験をしていたのを見てしまった、社長の娘だけでした。

その娘から、信吾の姉の話を聞いたフリーライターの長岡修は、大賀のスキャンダルを追及し、「スーパーテクノポリス計画」を頓挫させることを考えていました。

しかし、長岡の動きは代議士を守ろうとする勢力に察知され、自宅で殺害されたうえに取材で使っていたPCや録音機械等も盗まれてしまうのでした。

秋穂と大賀の関係や、長岡殺害の証拠を見つけられず、捜査が行き詰まりそうになっていた草薙は、やがて、高校時代の信吾と湯川の接点に辿り着きます。
そこで、信吾が何をしようとしているのか湯川に問いただすのですが、湯川は「信吾が殺人をするはずがない!」と答えるだけでした。

一歩間違えば、湯川自身が殺人の片棒を担いだことになり、今までのキャリアを失いかねないのに関わらず、信吾の無実を信じて行動する湯川・・・。
しかし、姿を消した信吾を探していくうちに、湯川は信吾の計画に気付いてゆくのでした。

  • 信吾が「レールガン」を使って企てていることとは?
  • 秋穂の死の真相が明らかにされるのか?
  • 湯川が自分のキャリアを掛けてまで信吾を庇うその真意は?

科学者・湯川の最大の謎解きが始まります。

 

『禁断の魔術』のおススメ度はいくつ?

おススメ度は80点です!

作者自身で、この本はガリレオシリーズ最高傑作と言うだけあって、本当に面白かったです。
物語の骨子となる話の構成、様々な謎の仕掛け方、物語の進行速度、途中で読むのを中断させない展開、一晩で読みきってしまいました。

禁断の魔術 (文春文庫)

禁断の魔術 (文春文庫)

 

 

『禁断の魔術』をおススメする人は?

  • これまでガリレオシリーズを読んだ人は必読!
  • 人情溢れるミステリーが読みたい人は是非!
  • 『虚像の道化師』の『偽装う(よそおう)』が気に入った人

「人間・湯川」が面白いです。

 

『禁断の魔術』をおススメしない人は?

この本を読んで損をしたと感じる人がいるのでしょうか?

敢えておススメしない人を上げるなら・・・。

  • 東野圭吾の作品が嫌いな人

それ以外の人なら、読んで楽しめる作品だと思います。

 

『禁断の魔術(ガリレオ8)』読後の感想

ラスト(今のところは)を飾るのに相応しい作品だったと思います。

  • 科学者である湯川
  • 刑事としての草薙

この2人の人間味溢れるやり取りが面白かったです。

それから、草薙の後輩女刑事である内海と湯川のやりとりもよかったです。
湯川を尊敬して、密かに慕っている内海の感情が描かれていました。

物語の最後の「オチ」が、ここまで奇想天外な仕掛けで読者を楽しませてくれた割には、定番とも言えるような終わり方で拍子抜けしました。

しかし、読み終えてしばらくたった今となると、あの終わらせ方は、もしかしたら作者の計算のうちだったのかも知れないと感じています。

読んで損は無い一冊なので、機会があれば、是非!

 

↓おすすめの本と漫画のブログランキングはこちらへ!

本ブログランキング

 

↓応援ありがとうございます! 

にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

 

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村

スポンサードリンク