砂漠(著:伊坂幸太郎)を読んだ!
歴史物を読もうかと思ったのですが、それよりは人間を面白く描いている作品を読みたくなり、この「砂漠」を手にしました。
素晴らしいストーリー展開、
あちこちに散りばめられた宝石のような名言、
読んでよかった素直に思える一冊でした。
読後の感想をまとめます。
2分で読める『砂漠』のあらすじ
- 常に冷静、どちらかと言えば常に一歩引いて物音を見つめる北村。
- 常に快活、4年間を目一杯楽しむことをモットーとしている鳥井。
- 常に難解、常識に縛られることなく自分の考えがぶれない北島。
- 常に慈愛、例え自分が一人勝ち出来る時でも平等と友愛を大切にする南。
- 常に不動、慌てず騒がず己の美貌をしっかり使いながら世を渡る東堂。
この5人の若者とその関係者が、
大学入学から卒業までの4年間に引き起こしたり巻き込まれたりした出来事を、
まとめた物語である。
10分は掛かる『砂漠』のあらすじ
4月、新入生歓迎のパーティーで、この本の一応の主人公・北村と鳥井、そして鳥井の中学時代の同級生・南が知り合う所からこの物語はスタートします。
それから、パーティーに遅れてきた上に訳のわからない自己紹介をする西嶋と、類まれなる美貌で男たちを引き付けている東堂、この2人の印象も3人には強く残りました。
ですが、後日、この5人で1つの台を囲むことになるとは思っていませんでした。
歓迎パーティーで奇天烈な発言を繰り広げていた西嶋により集められたメンバーは、以下の面々であった。
東堂、南、西嶋、北村・・・そして鳥井の5人。
同じクラスに東南西北がいるなら麻雀をしなくてはダメだという西嶋の意向で始まる彼らの麻雀談義は、物語の終了である卒業まで何度も繰り返し登場します。
大学1年の春
一番の出来事は、鳥井がナンパした長谷川さんとその仲間の女の子達と、鳥井・北村・西嶋・山田の4人が合コンを行った時に巻き起こす事件である。
ちなみに合コン前に彼らは服を買いに行くのであるが、そこで、北村はショップの店員をしていた鳩麦さんと出会うことになるのである。
合コンは西嶋の奇天烈な発言で頓挫するのであるが、その後に女の子達に何故か強引に誘われたボーリング場で事件は起きる。
途中、2人のホストが乱入してきて、何故か鳥井とホストの一人が賭けボーリングをすることになるのであった。
まんまと嵌められた鳥井は負け、多額の借金を背負うのであったが・・・
そこに助けに入るのが、南と東堂であった。
かれらが鳥井の借金を解消すべく行った行動は・・・
※本書を読んでご確認ください!
大学一年の夏
大切な友人が心身に酷い傷を負う事になります。
賭けボーリングで鳥井を嵌めた長谷川さんが、鳥井に妙な話を持ちかけます。
昨今、「大統領か?」と聞いて人を襲う強盗が仙台を闊歩しているのだが、その犯人の家らしきものを突き止めた。そこで、是非とも力を貸してくれないか・・・。
鳥井・西嶋・北村の3人でその家を訪れ、様子を伺っていると、RV車がやってきて不信な男たちが塀を乗り越え侵入して行くのを目撃します。
強盗犯どころではなくなった彼らは、侵入された家の人を助けるべく行動を起こします。
その結果、犯人は慌てて逃走したのですが、その際に、RV車は鳥井の腕を轢いて逃げて行ったのでした。
病院へ担ぎ込まれた鳥井は、結局、左腕の肘から先を切断することになります。
病室には面会謝絶の札が掲げられ、仲間が訪れても扉を開くことはありませんでした。
鳥井が退院し、何とか彼の心を和らげようとする仲間達ですが、鳥井の心は固く閉ざしたままでした。
そんな鳥井の心を溶かすのは、西嶋の打った奇天烈な作戦でした。
その作戦とは・・・
※本書を読んでご確認ください!
大学一年の秋
エセ超能力者鷲尾と人類学者麻生を退治します。
この年の学園祭において、ある企画が持ち上がっていた。
超能力者と人類学者の対決!
どちらかと言えば、麻生の方が優勢でした。
5人組の仲間である南は、実は幼いころからスプーン曲げが出来るエスパーだった。
非現実的な事は受け入れない西嶋でさえ、目の前で事実を見たから南の事は信じていた。
それゆえ超能力を否定する麻生を倒すために、彼らが独自に調べた麻生の1週間の行動を鷲尾に渡すのでした。
しかし、実は裏でエセ超能力者鷲尾と人類学者麻生結託しており、二人で詐欺を働いていたのであった。
彼らが二人揃ってキャバクラを訪れたのが切っ掛けでした。そこでは美貌を活かして東堂が働いていたのであった。
成り行きを知った東堂は・・・
※結末は本書を読んでお確かめください!
大学1年の冬
エスパー南、鳥井の仇打ちを果たす!
偶然、街で鳥井の腕を轢いた憎き犯人を見つけます。
犯人が潜んでいる場所を見つけ、そして主犯の居場所を突き止めようとする彼らは、再び彼らが空き巣強盗を企てている事を察知します。
被害に遭うと予想される家を突き止めた彼らは、その事を警察に知らせます。
しかし、警察が動かないことも考え、自分たちでも張り込みをします。
張り込んだ彼らの前に現れたのは・・・なんと「あの男」でした!
ここから先は、是非、本書を読んでご確認ください。
『砂漠』のオススメ度はいくつ?
オススメ度は85点です!
本当に最高です。
- やりとりにほっこりするし
- 危機にハラハラするし
- 純愛にムズムズするし
- 掛け合いに苦笑するし
読んで損のない一冊です!
『砂漠』をオススメする人
誰が読んでも面白いと感じるはずですが・・・
強いて上げるなら以下の3つですね。
- 新入生の人
- 大学に行く意義を見出せず、勉強に詰まってる人
- 40歳を過ぎた中年
この本を紹介している記事やブログの多くで「現役の大学生に読んで欲しい!」
と書いてあることが多いと思います。
でも、私の考えはちょっと違います。
この本を最も楽しめるのは、卒業からある程度時間の過ぎた中年の男女ではないか?と考えています。
『砂漠』をオススメしない人
この本が気に食わない人が居るとは思えませんが・・・
強いて上げるなら以下の1点だけ!
- 麻雀を死ぬほど毛嫌いしている人!
『砂漠』は名言の宝庫です!
この砂漠でもっとも心に残るシーンは何ですか?
と読んだ人に聞いたら、おそらく百人に聞いたら百通りの回答が出るように思います。
選ぶのに困るくらい、秀逸な台詞が多いです。
純粋に、すごいな伊坂さん、と思います。
とても1つには絞れないので、40代の自分が気に入った台詞を何点か紹介します。
西嶋の自己紹介のシーン
「数日前、千葉県からやってきたんですが、今日、遅刻したのは、隣のビルの雀荘で麻雀をしていたら、抜けるに抜けられなくなったからなんですよ」
中略
「あのね、俺たちがその気になればね」その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」
西嶋の台詞で一番好き
「前略・・・関係ないんですよ!歴史とか世界と世界とかね。今、目の前にある危機、それですよ。中略・・・抗生物質あげちゃえばいんですよ。ばんばん。みんなに広めちゃえばいいじゃないですか。あのね、目の前の人間を救えない人が、もっとでかいことで助けられるわけないじゃないですか。中略・・・今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、明日、世の中を救えるわけがないんですよ。」
東堂が西嶋に惚れたことを示唆する台詞
「砂漠を雪を降らすこともできるんじゃないのかって」
「論理的じゃないよ、それは」(北村の台詞)
「思ったんだから仕方がない」(←この台詞がいい。恋ってそんなもんだろ?みたいな)
東堂が西嶋の凄さを語る台詞
「西嶋は臆さない」
「たぶん西嶋は口先だけではなくて、努力して、結果を出すからだ」
「たぶん、西嶋自身が一番、自分の無力さを知ってる気がする」
南が、何故に麻雀強いのに一人勝ちしないのか聞かれた際の台詞
「みんながプラスマイナスゼロっていのが一番楽しいでしょ。『いろいろあったけど、でも、みんなとんとんでした』っていうのが。わたしはそう思う」
最後に、卒業式で学長が言う台詞
「人間にとって最大の贅沢とは、人間関係における贅沢のことである」
↓おすすめの本と漫画のブログランキングはこちらへ!
↓応援ありがとうございます!