壮心の夢(著:火坂雅志/徳間文庫)を読んだ!
この作者は、現在、NHK大河ドラマ「天地人」の原作者であり、本については、前にこのブログで触れた事がある。
その時、この作者の緻密な調査力と文章の巧みさが上手だな。と思ってたので、この本を見つけて買ってみました。
本のあらすじと感想
買って、正解。14つの短編小説から本だが、こりゃいいよ。歴史好きなら絶対に買うべきだと私は思います。
さて、あらすじだが、14の短編を全部書くわけには行かないので、いくつか面白いと感じた編を紹介します。
第1「うずくまる」(荒木村重)
僕の拙い記憶では、信長が全盛期を迎える頃に臣従した摂津の国の戦国武将だ。秀吉が行っていた中国攻めが上手くいかず、業を煮やし始めた頃、突如謀反を起こした。しかし、戦況が思わしくなく、最後は妻子や部下を見捨て、一人城から逃亡した武将。
とここまでしか知らない。
この村重が、実は茶坊主になって、秀吉に仕えたなんて、知らなかった。
知らなかった男の話だ。
第2&3赤松広通と亀井滋矩の話だ。
正直、この二人については名前くらいしか聞いた事は無かった。でも、この無名の二人の話が面白い。そして、この順番で並べた所が最高です。
第5「花は散るものを」(蒲生氏郷)
この話は、氏郷本人の話と言うよりは、その客将であったイタリア人ジョバンニ・ロルテスの話だ。元マルタ騎士団の騎士である彼が、世話になった氏郷の死因を巡り、信を貫こうとする。
第11「石鹸」(石田三成)
この11話までは、三成の信念(偏りがあるが)によって、翻弄され次々と滅ぼされていく武将や商人が描かれている。三成憎し~と読者がなったところで、三成本人の挿話を入れるとは。。。最後の処刑の場面は、フィクションだろうが、そこまでの三成憎しの気持ちが、石鹸と共に洗い流される気になる。
第14「老将」(和久宗是)
最後にこの話がくるとはねぇ。
この本の全てを締めくくる最高の話です。
戦国乱世を生きた漢たちの、最後の夢を、ここまで素晴らしく描くとは。。。
ぜひ、読んで見てください!