前回のスカイクロラに引き続いて、今回も今更なんですが。。。
ようやくおくりびとを観た。今まで観れなかった理由があるにあって、その理由の所為でかなり泣いてしまった。その理由は、いつか書ければいいや。今はあんまり書けないから。
映画の評価は専門誌から個人のブログまで様々な所でされている。良い評価も悪い評価もあるようだ。総じて、オスカー後に書かれた評価は辛口のコメントが目立つような気がするが、それは、映画を観る人が増えた事と、評価する人が単純で素直な素人ではなく、ちょっと癖のある良くも悪くも斜めから深く掘り下げて観る人だからかもしれない。
この映画、小学生の感想文的に粗筋を書くと、こんな感じだ。
「職を失った夫が、妻を連れて東北の田舎へ帰った。何をすれば良いのか考えている時に、納棺師という仕事と出会う。初めは、本人も気乗りがせず、辞めようかと思っていたが、仕事を続けていくうちに、人に感謝され、人を喜ばせる事が出来る仕事の素晴らしさに気付き始めた。しかし、妻は、一般的には世間体が良くない仕事が気に入らず、辞めてほしいと訴えるが、本人の意志が固く、結局、夫婦は別居することとなる。数ヶ月後、妊娠を知った妻が家に戻り、再度、夫の翻意を促す。その最中、一人の葬儀の依頼が舞い込む。その葬儀を一部始終見ていた妻は、少しずつ、夫が納棺師という仕事に拘る理由が分かり始め、認めていく。クライマックスは、主人公の父親の葬儀である。幼い頃に主人公と母親を捨てた父親の嫌悪と父親の愛を心の底で求め続けてきた葛藤に揺れる夫。その夫の背中を押して、葬儀へ一緒に向かう妻。父親の遺体をぞんざいに扱う葬儀屋に対し、怒りを露にする夫に、怪訝そうな表情を浮かべる葬儀屋の人間に、妻ははっきりとこう宣言する。『夫は納棺師なんです』と。」
ストーリー的には至極単純だ。伏線もなく、ミステリーもなく、激しいアクションもないし、激しいラブシーンもない。30代の夫婦とそれをとりまく人々の人間模様が描かれているだけといっても過言ではない。
この映画の最大の特徴は、納棺師という仕事を世に広めた事だろう。
でも、一番に訴えたかった事は「人の心と世間体」なのかもしれないと思った。
この映画を観た後で、納棺師という仕事に対し悪口を言う人間はいないだろう。もしも知り合いに納棺師がいれば、誇りに思うとまで言い出す人もいるだろう。
でも、だ。自分がその仕事を選ぶか?親や子供、夫や妻がその仕事をしている、もしくはしようと思うと言い出した時に、きっと躊躇するだろう。
それが不思議だ。