パパママムスメの10日間(著:五十嵐貴久)を読んだ!
昨年末、ガッキー主演で人気を博したドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」が2日に渡ってドーンと再放送されていた。
観たらまずい・・・何も出来なくなる・・・と思いながら、テレビを付けてしまったのが間違いだった。
ガッキーの可愛さに負け、結局最後まで観てしまった。
観終わってあと、私的には「パパとムスメの7日間」のガッキーが一番良かったなぁ・・・と思いました。
そう思ったら、「パパとムスメの7日間」の続編である本書を読みたくなり、古本屋さんへ買いに行きました。
以前、『パパとムスメの7日間』を読んでまとめた記事はこちら
『パパとムスメの7日間』を読んだ! - lands_end’s blog
『パパママムスメの10日間』を読み終えたので、感想をまとめます。
『パパママムスメの10日間』の3分で読めるあらすじ
父・恭一郎と娘・小梅を襲った人格入れ替わり事件から2年、すっかり元通りに戻った父と娘、そして何も知らない母・理恵子の3人は平和に暮らしていました。
しかし、幸せにくらしていた川原家を、再び人格入れ替わり事件が襲います。
突然の豪雨の中、3人一緒に落雷に打たれて気を失います。
病院で目覚めると、彼らの身体はそれぞれ別の人格を宿していました。
- 父・恭一郎には前回と同じく小梅の人格
- 母・理恵子には今回は父の人格
- 娘・小梅には母の人格
こうして、家族の人格が一瞬にして入れ替わってしまった川原家の、苦難の10日間が始まるのです。
- 家族ではあるが、他人の人生を必死に生きる彼らが感じることとは?
- 今回は、どうやって元の身体に戻るのか?
是非、本書を読んでお確かめください。
『パパママムスメの10日間』の10分は掛かるあらすじ
最初の入れ替わり事件は、娘・小梅が高校生の時でした。
小梅と父・恭一郎は列車事故に巻き込まれます。
奇跡的に一命を取りとめ、大きな怪我も傷も残りませんでしたが、心に大きな痛手を負っていました。
それは、娘と父の人格が入れ替わっていたのです。
父は娘の身体で女子高生の生活を体験し、娘は父親の身体でサラリーマンの生活を体験します。
入れ替わって7日後、父・恭一郎に何故か惚れてしまった部下の女の子が、娘がいなくなれば恭一郎は自分の物になると考え、車で小梅を轢き殺そうとします。
そこへ自転車で現れた父(小梅の身体)は、必死に小梅(父親の身体)を守ろうと奮闘します。しかし、必死の逃走の果てにガードレールに激突して気を失います。
病院で目覚めた彼らは、なんと、元の身体に戻っていたのでした。
あれから2年・・・
小梅は大学受験に成功して高校を卒業します。
そして、大学の入学式に父母(恭一郎と理恵子)と共に出席するのでした。
入学式のあと、3人はいったん解散し、それぞれ用を済ませて帰宅の途につきます。
しかし、恭一郎と小梅が帰宅する頃、天候が急変し豪雨となります。
傘を持たない二人は家への途中にある公園で雨宿りしようと駆け込み、一緒になります。そして、母・理恵子に傘を持ってきてくれるように頼むのでした。
頼まれた理恵子は傘を持って公園に着きますが、2人いるとは思わず1本しか持っていませんでした。そのため、3人は身を寄せ合って家路につくのでした。
その彼らを、落雷が襲います。
病院へ担ぎ込まれた彼らは、激しい落雷に巻き込まれたにも命に別状はなく、しかも殆ど傷も負っていませんでした。
しかし、心に大きな痛手を負っていました。
そう、再び、人格入れ替わりが起きていたのです。
しかも今回は、母も含めた3人で!
- 父・恭一郎の身体に小梅の人格
- 母・理恵子の身体に恭一郎の人格
- 娘・小梅の身体に理恵子の人格
恭一郎と小梅は、2年前に体験したばかりでもありそれほど動揺しませんでした。
しかし理恵子は、自分の心が小梅の身体に入ってしまったことに驚き、狼狽します。
さらに、恭一郎と小梅の2人が、2年前に同じような事態に陥っていたことを知ると、そのような重大な事を自分に知らせてくれなかったことに傷つき、怒り、取り乱してしまうのでした。
父と娘でなんとか母(小梅の身体)を説得し、退院して自宅へ戻ります。
そして、彼らは以前に恭一郎と小梅が体験した経験を元にして、これからの3人の生活について作戦会議を行うのでした。
その話し合いでハッキリしたのは・・・
●父の身体に入った小梅・・・以前と同じく父の職場へ行って働く。
前回は父と父の部署が手掛けていた「レインボードリーム」(ティーンエージャーを主なターゲットとしたフレグランス)の開発に携わり、女子高生ならでは視点で開発に影響を与え、大ヒット商品にした。
しかし、その後の父親は「レインボードリーム」を手掛ける部署の部長から、新設された新商品企画開発部の部長になっていた。新設された部署はやる事は無く、ほぼ閑職に近いため、小梅でも何とかなると思われた。
●母の身体に入った恭一郎・・・以前は娘の身体に入ったが今回は妻の身体へ。
若かりし頃は1人暮らしをしたこともあるので「家事くらい」出来ると思っていた。また、会社へ出社して周囲の視線を気にしなくて良くなるので、ストレスから開放される喜びに満ち溢れていた。
●娘の身体に入った理恵子・・・今回初めて人格変更を体験している。
40代の中年主婦が、女子大生の娘の生活を送ることになる。
かつて、自分が通ってきた道ではあるが・・・。
また、小梅のアルバイト先であるバーガー屋のカウンター接客も待ち受けている。
さらに、小梅が高校時代から育んできた純愛の相手・ケンタ先輩との仲も継続させなくてはならない。
誰がみても理恵子が一番大変な事態が待ち受けています。
とにかく、人格が入れ替わった川原家の奇妙な生活が始まります。
●小梅は想定したとおり会社では無難に過ごしていたが・・・。
突然振って沸いた桜木役員主導の新プロジェクト『スイッチ・プロジェクト』に巻き込まれてしまう。しかも、そのプロジェクトがある問題を抱えていることに気付いてしまったため、一気にドタバタし始めてしまう。
そして、父・恭一郎(母の身体に入ってる)に助けを求めることになるのだが・・・。
●恭一郎はタカをくくっていた家事に瞬殺される。
食事はまとめに作れず、買い物に行けば主婦の見栄っ張り合戦に乗って3万もする肉を買ってきたり、自動洗濯機の使い方が判らず大量に洗剤を投入して家を泡風呂状態にしてしまったり・・・、妻がどれだけ苦労して主婦業をこなしているのか知ることになる。
さらに、小梅から新プロジェクトの問題を相談されるのだが、妻の身体では思うように動きがとれないのだが・・・。
●理恵子は覚悟して女子大生生活に挑んだが、想定以上の事態にギブアップ寸前。
大学での授業等、普通の生活はなんとかこなしていたが、小梅の高校時代からの友人に誘われて入ったサークルでは酒を痛飲した上、その後に行ったクラブでたまたまインディーズナイトをしていたため流れまくるダンスミュージックにキレキレのダンスを披露してしまう。
バイト先ではカウンターに来る様々な客の注文を受けることが出来ず、パニックになり登校拒否ならぬ、出社拒否気味になった上、バイト仲間から告白される事態に!
さらに、ケンタ先輩が所属する大学のサッカーの試合に観戦に行くと、小梅からは構内では絶対にないと言われていたのに、なぜかケンタは自分から寄って来て・・・。
パパとムスメの人格が入れ替わった2年前以上のドタバタ劇の終わりが見えぬ中、父・恭一郎は人格変更が起きた可能性がある要因に気付くのでした。
- 小梅の巻き込まれた新プロジェクトの抱える問題とは?
- 小梅から問題を相談された恭一郎は妻の身体でどうやって立ち向かう?
- 突如、女子大生になった母・理恵子の苦難の日々に幸せはあるのか?
- 恭一郎が気付いた人格変更が起きる要因とは?
川原家の笑いの絶えない奇妙な10日間をお楽しみください!
『パパママムスメの10日間』のおススメ度はいくつ?
おススメ度は75点です!
前回の『パパとムスメの7日間』は85点でした。
続編は10点も減ってしまいました。理由はあとで触れます。
ですが、この本も面白いです。楽しめます。
ただ、前作があまりにも秀逸すぎたと言う事です。
Kindle版はこちら
『パパママムスメの10日間』をおススメする人
誰が読んでも面白いとは思うのですが・・・
- 『パパとムスメの7日間』
- 五十嵐作品が大好きな人
- 笑える人格入替え小説が読みたい人
五十嵐作品の中でも、ギャグと笑いが満載の小説が好きな人はおススメです。
ただし、「リカ」みたいなシリアスな小説が好きな人は、同系統ではないことを理解してから読んだほうが良いかも知れません。
『パパママムスメの10日間』をおススメしない人
- ドタバタコメディーが嫌いな人
- 巧妙な仕掛けや描写があまり無くても楽しめる人
- 読む本を厳選したい人
だと思いますが・・・。
『パパママムスメの10日間』の読後の感想
前作が本当に面白かったので期待しながら読み始めました。
その期待を裏切らない内容で、楽しんで読むことが出来ました。
しかし、前作よりも評価が下がってしまいましたので、その理由をまとめます。
3人の描写が浅くなってしまった
今回、人格変更に初参加となった理恵子についてはかなり書き込まれていて、読みながら笑ったり、一緒に悩んだりと、理恵子に感情移入することが出来ました。
また、前回と違う身体(妻)に宿った恭一郎も、まあまあ書き込まれていました。
しかし、前回と同じく父の身体に入った小梅の描写が薄い。
そのため、前回堪能した絶品スープを、水で薄めたような印象になってしまった。
小梅の書き込みが薄くなったのが本当に勿体無い。
人格変更が起きる原因探しがイマイチ
ネタバレは避けるために詳しくは書かないが、人格変更が起きる原因の設定は前作からの仕掛けであったことは理解している。
それでも、ちょっと唐突と言うか、イマイチ私にはピンと来なかった。
それから、人格を元の身体に戻すために、3人がとった行動が冗長。
もっともっと、ファミリーのバタバタ劇を見たかったです。
理恵子にシンパシーを感じた
本書を読めば判るとおり、今回もっとも苦労するのは理恵子である。
最初は、大丈夫か?
まじで引きこもりになったりしないか?
と心配したのですが、途中からは娘・小梅の身体での生活を楽しみ始めている様子が描かれていたので、これはもしかして、この後元に戻るのを嫌がる展開でもあるのだろうか・・・?と勘ぐってしまいました。
しかし、理恵子は40代の自分に戻ることを肯定的に捉えていました。
その彼女の姿勢や考え方を読んでいたら、なぜか共感を感じてしまったのです。
そして自分に置き換えて考えてみました。
「もしも今、大学生の頃に戻りたいかと言われれば『戻ってみたいとは思う』と答えるだろう」と。
でも、「二度と今の自分に戻れないと言われたら『たぶん断る』だろう」と。
上手く表現できないのですが、今の自分に満足していると言うことなのかな?
ドラマ化されなかったのは残念
前作のドラマは本当に最高だった。
舘ひろしがクネクネとシナを作って女子高生の話し方を真似ている姿は、もっと多くの人に見てもらいたかった。
小説で続編が出ているのは知っていたので、きっとドラマも続編が作られると思って待っていましたが、残念ながら製作されませんでした。
たぶん、この先も続編は無さそうです。
舘も年をとったし、ガッキーも今年で30だし・・・。
色々と無理があるような気がします。
それに、『パパママムスメの10日間』では恭一郎は理恵子の身体に入っています。
なので、気持ち悪いけど目を離せない舘ひろしを観られないのであれば、むしろドラマ化されなくても良いと思いました。
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