lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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漫画『ヒストリエ』を読んだ!



ヒストリエ(作:岩明均)を読んだ!

数ある歴史漫画の中で、1・2を争う面白さです。
作者の岩明さんは「寄生獣」の作者で有名な方です。

第1巻が2004年に発売されてから10巻が出るまで14年、なかなか話が先に進みませんが、内容が濃いのであまりイライラすることはありません。
内容としても、古代ギリシア、マケドニアの時代は、日本人には馴染みが薄い話題ですが、作者が上手に補足をしながら漫画を描いてくれているので、小難しい内容になって読み難くなることもありません。

歴史に興味がある方にも、無い方にも、楽しんでもらえる一冊だと思います。

 

『ヒストリエ』の掲載期間や掲載誌について

掲載期間は2003年3月号~
掲載誌は月刊アフタヌーン
既刊10巻

 

『ヒストリエ』の時代背景とあらすじ

紀元前4世紀頃の古代ギリシア世界が物語の舞台となっています。
マケドニアのアレクサンドロス大王に仕えたエウメネスが主人公です。
エウメネスは実在の人物であり、彼の記録は数多く残っています。
ただし、漫画は独自の出自設定になっています。

ここまでの物語は2部構成となっています。
1部は、史実では定かになっていな幼少期のエウメネス
2部は、マケドニアに仕えるようになってからのエウメネス

現在発表されている10巻まで、簡単に内容を紹介していきます。

 

エウメネス、故郷・カルディアに帰る 

第1巻
紀元前343年 エウメネスがボスポラス海峡を渡ってカルディアに戻る話が描かれています。渡る際にアリストテレスと出会います。
カルディアに戻った後、マケドニアのフィリッポス王と出会い雇われます。
マケドニア軍に包囲され、篭城しているカルデイア市の城門を開けさせるエウメネスの作戦が面白いです。

 

エウメネスの年少時代・カルディア編

第1巻~3巻
時はエウメネスの年少時代に遡ります。
エウメネスはカルディアの名士ヒエロニュモスの次男として育てられていました。
何不自由なく、名士の坊ちゃんとして育てられていたエウメネスの人生を狂わせたのは、トラキアから連れてこられたスキタイの奴隷でした。

街一番の乱暴者に買われたスキタイの奴隷は、手かせ足かせをされて暴力を振るわれ続けていましたが、しばらくして飽きたのか雇い主が手かせ足かせを外した途端、雇い主の一党を皆殺しに脱走を図ります。
奴隷を捕らえる為にカルディアの市民兵も駆り出されますが、トラキア奴隷の前に歯が立たずに殲滅され、やむなく正規兵を投入してようやく奴隷を追い詰めることに成功します。
追い詰められ瀕死の状態になった奴隷をと帰宅途中のエウメネスは出くわしますが、奴隷は何故かエウメネスを殺そうとはしませんでした。
家に帰ったエウメネスは郎党のヘカタイオスにその顛末を話すのでした。

そして・・・
ヘカタイオスが反乱を起こします。
彼はエウメネスが奴隷に後を付けられ、主人であるヒエロニュモスを殺害したことにしてヒエロニュモスを殺害するのでした。
エウメネスはその嘘を暴こうと裁判に訴えますが、逆に、裁判の最中に自分の出自を知ることになります。彼は、かつて父がトラキアに奴隷狩りに行った際に拾われたスキタイ人の子供であったのです。その事実を知った彼は、彼がたびたび見る蛮人の女が闘い殺される夢は、自分の母親がまさに殺されるシーンの記憶であったことに思い至るのでした。
裁判の結果、名士の家の次男から、ただのスキタイ人の奴隷になったエウメネスは、かつての自分のお守り役であったカロンの善意に助けられながら、奴隷商人に売られる日を待つことになるのでした。

 

エウメネス初陣を飾る

第3巻と4巻
奴隷商人の船で黒海を航海中、無慈悲な主人に反乱を起こした奴隷達によって新しい主人一党は殺されてしまいます。しかし、操船技術を持つ船員まで殺した結果、嵐に遭うとあっさりと難破してしまうのでした。

パフラゴニア(小アジア半島の黒海沿岸)に打ち上げられたエウメネスはスキタイ人のボア村の人々に助けられます。
スキタイの血が流れているとは言え、ギリシア人の街でギリシア人として育てられたエウメネスは、ボア村の人々の生活習慣や考え方に対して「文化がちが~う」と違和感を感じます。それでも、次第に人の良い彼らとの生活に馴染んでいき、サテュラと言う娘とも仲良くなっていきます。

しかし、その平和な生活はボア近郊のギリシア都市・ティオスとの争いで破壊されてしまうのでした。
ティオスの現執政者が倒れると、後継者はボアの村を支配しようと軍を派遣します。
包囲されたボアの村を守る為、エウメネスは初陣を飾るのでした。
エウメネスの作戦は見事に嵌り、敵の撃退に成功します。しかし、ティオスとの恒久的な平和を目指す村はサテュラをティオスの後継者に嫁がせることを決めるのでした。
村に居にくくなったエウメネスは村を出て、故郷へ帰ることにします。

 

舞い戻ったカルディアで・・・

(冒頭のシーンに繋がります。ようやく、なぜにエウメネスがカルディアへ帰るという表現をしていたのか理解できるわけです。)

第4巻と5巻
ボスポラス海峡を自前で製作した船で渡ってカルディアへ向い、カルディアに潜入したエウメネスは、幼少期を過ごした実家に向かいます。
しかし、既にヒエロニュモス家は没落し廃墟になっていました。
跡地で想いに耽るエウメネスの前に、幼少期の友人の一人が現れて、兄であるヒエロニュモスが街に居ることを教えてくれます。
彼を訪ねたエウメネスは、兄に連れられて両親(育ての親)の墓参りをするのでした。
(第5巻24ページの後姿は感動的です。)

兄と別れて街を散策していると、かつて自分を嵌めた男・ヘカタイオスの一味に出遭い争闘に発展しやむなく殺すことになります。
街の中で行き場を失ったエウメネスは、カルディアに潜入した際に同行した謎の商人から誘われていた事を思い出し、彼を頼ることにします。
しかし、そのために訪れた屋敷でヘカタイオスと揉めてしまいますが、商人とその手下の機転で助け出され、商人に雇われて街を脱出することになるのでした。

脱出時に、エウメネスは商人の正体を知ることになるのでした。
彼の名はフィリッポス、マケドニア王国の王だったのです。

 

マケドニアに移住したエウメネス

第5巻~7巻
王と共にマケドニアへ移住したエウメネスは、アッタロス家に預けられます。
当主のアッタロスや姪のエウリュディケと生活するうちに、少しずつ「文化がちが~う」マケドニア文化にも馴染んでいくのでした。

フィリッポスに才能を見込まれたエウメネスは書記官として仕える事になります。
書記官として戦場で迅速の動けるようにしろと命令され、乗馬訓練を受ける事になりますが、様々な分野で非凡な才能を発揮するエウメネスが乗馬だけは苦戦します。
マケドニアの乗馬方法は鐙は使用せず、手綱のみで馬を扱っていました。
鐙がないと馬上で身体を支えることが難しく、素人にとっては馬を扱うのは非常に困難でした。何か良い方法が無いかと悩んでいたエウメネスは、ある日夢を見るのでした。
それは、幼き頃に母に抱かれて馬上で過ごした日々のこと、そして母の忘れ形見でペンダントだと思っていた細工物が実は鐙であったことに気付き、乗馬をマスターするのでした。

また、応じであるアレクサンドロスとヘファイスティオンの謎についても知ることになります。
実は、アレクサンドロスは二重人格者で、表の人格はアレクサンドロス、そして裏の人格はヘファイスティオンであり、同一人物であるという事を・・・。
(史実では、ヘファイスティオンはアレクサンドロス大王の幕僚で友人であり、別の人間であった。)
ちなみに、ヘファイスティオン誕生については、王妃オリュンピアスの不を理由に挙げています。まあ、漫画としてもっとも面白く書けそうな逸話を選んだということでしょうか。

さらに、将棋文化をマケドニアに持ち込んでフィリッポス王に伝授します。

 

ペリントスとビザンティオン攻略戦

第7巻~8巻
紀元前340年にマケドニアが起こしたペリントスとビザンティオン攻略の戦いが描かれています。

戦に先立ち、同盟都市カルデイアへマケドニアの勅使として向かい、ヘカタイオスに指示を出すエウメネスの姿も描かれています。

アテネからの援軍はカレス将軍に率いられてビザンティオンに入城していました
海上ではマケドニアの海軍が封鎖し、固いビザンティオンの城壁を少しずつ切り崩しながら、少しずつ攻略の糸口を掴みつつありました。
その最中、ペリントスを包囲したマケドニア海軍が来援したアテネ海軍に一蹴されたと報告が入ります。そして、フォーキオンに率いられたアテネ海軍は続いてビザンティオン沖に姿を見せ、包囲するマケドニア海軍に決戦を挑むのでした。

結果は、マケドニア海軍の惨敗に終わります、さらに対岸にペルシア軍が姿を見せたため、フィリッポスはやむなく軍を引くことを決意します。

 

スキタイ攻略戦

第8巻
紀元前339年マケドニアVSスキタイの戦いが描かれています。

ペリントスとビザンティオン包囲戦から撤兵する途上、フィリッポスの下にスキタイ部族の王から救援要請が届きます。彼らの国を侵略する敵を排除してくれれば、支配権をフィリッポスに渡すという条件でした。
好条件を聞いた王は軍を転進させますが、スキタイ王は仇敵が自滅するやいなや手のひら返しをしてマケドニア軍を追い払おうとします。
それに怒ったフィリッポスは、せめてスキタイに遠征の諸経費を支払わせようとするのですが、スキタイの王は「頑健な身体」「勇気」「良質な馬」の3つの宝しかなく、金などないと一蹴します。交渉の余地は無いと判断したフィリッポスは、スキタイ王がいう3つの宝を頂くべき進軍を開始します。

陸上戦では無類の強さを誇るマケドニアはあっさりとスキタイを倒し、多くの馬や捕虜・奴隷を手にします。
戦利品を得てマケドニア本国へ帰ろうとしますが、途中で伏兵に襲われます。

 

トリバロイ撃退戦

第8巻
マケドニアVSトリバロイの戦いが描かれています。

スキタイとの戦で得た戦利品を横取りしようと、トリバロイ軍が強襲を仕掛けます。
地の利を活かし、伏兵し活用して奇襲を仕掛けてきた敵に先手を取られ、隊列が伸びきっていたマケドニア軍は苦戦を強いられます。
さらに乱戦の最中、王自身も右太ももに槍を受けて負傷してしまいます。
王が負傷し、混乱した軍は的確な指示が出せず、マケドニア軍はあわや崩壊の一歩手前まで追い込まれたところで、エウメネスが本領を発揮します。
戦闘中に転倒して失神したアッタロス将軍の名を使い、全軍に指示を出して軍を立て直して敵を撃退することに成功するのでした。

スキタイ戦で得た多くの捕虜や奴隷は逃げてしまいますが、マケドニア軍は何とか無事に国へ帰還するのでした。

 

エウメネス、アテネへ潜入し諜報活動を行う

第9巻
マケドニアに戻ったエウメネスは、あくまでも手柄はアッタロス将軍のものと主張しますが、彼の実力を買うアンティパトロスはエウメネスを対アテネ戦の諜報戦に使うことを決断します。
その狙いは、フォーキオンが前線で指揮をしないようにさせることで、マケドニアがアテネ戦で勝利を得た後に統治を任せる、というものでした。

憧れのアテネに旅立ったエウメネスは、フォーキオン宅を何度も訪れ、ついに将棋を指す仲にまでなります。
その結果、非戦派のフォーキオンを戦場に出さず、急進派のデモステネスを戦場に引き摺り足すことに成功するのでした。

無事に役目を果たしたエウメネスはマケドニアに帰還する前に、ピレウスに住むフォーキオンの友人メランティウスに会いにいきます。
メランティウスの正体とは・・・あの懐かしい人物でした。
(ここは敢えて詳細を伏せます)

 

カイロネイアの戦い

第9巻~10巻
紀元前338年、マケドニアが各ギリシア都市に対して大きな影響力を持つようになるターニングポイントとなった、カイロネイアの戦いが描かれています。

マケドニア軍はフィリッポス王が右翼、そしてアレクサンドロス王子はパルメニオン大将軍の補佐を受けつつ左翼に展開します。
一方、迎え撃つアテネとテーベ連合軍は、左翼にアテネ軍、そして右翼にテーベ軍が展開していました。

戦いの火蓋は、フィリッポス王の右翼とアテネ軍の衝突から始まります。じわじわと下がる王の右翼軍を追うアテネ・テーベ連合軍の隊列に少しずつ綻びが生じます。
その僅かな隙を王子は独特の嗅覚で察知して突入して背後に回ることに成功します。
そして、そのまま敵の右翼・テーベ軍の背後へ回り込む挟撃を掛けるのでした。

頃合を見計らってフィリッポス王の右翼も反撃に出ます。今まで、わざと下がっていたマケドニア軍が本気で攻勢に出ると、あっけなくアテナ軍は粉砕され散り散りになって逃走してしまいます。
挟撃されたテーベ軍は逃げ場を失い、ほぼ壊滅状態になります。

戦は、マケドニアの圧勝に終わります。

フィリッポス王はテーベを完全支配に置きますが、アテネには独立を認めます。ただし、やっかいなアテネ海軍は解体させるのでした。

 

王の左腕とは?

第10巻
戦後、フィリッポス王はエウメネスを王の左腕とするべく動き始めます。
右腕では無く、左腕です。
この王の左腕とは、実はパルメニオンの後継者という意味でした。
そこまで王国の未来に関わる気がないエウメネスは・・・。

 

『ヒストリエ』のオススメ度はいくつ?

オススメ度は90点です!

正直、歴史漫画としては最高の出来だと思います。
これ以上の歴史漫画は、殆ど無いと思います。

それにも関わらず90点止まりなのは理由がありますので後述します。

ヒストリエ コミック 1-10巻セット (アフタヌーンKC)

ヒストリエ コミック 1-10巻セット (アフタヌーンKC)

 

 

『ヒストリエ』をオススメする人

  • 歴史が好きな人
  • 古代ギリシア世界が好きな人
  • 岩明均作品が好きな人

とにかく、歴史好きなら絶対に読むべき漫画です。

 

『ヒストリエ』をオススメしない人

岩明作品の特徴がオススメしない点となります。

  • リアルな殺戮シーン。グロテスクです。
  • エロシーンもあり。
  • 歴史がとことん嫌いな人
  • 話の進みが遅いことに堪えられない人

エロ・グロが苦手な人以外は大丈夫だと思います。

遅筆に関して言うと、2003年~15年掛けて10巻です!
まだ、アレクサンドロスは青年にも達していません。
話が終わるのは、いつになるのか?
それが100点ではなく90点になる理由です。

 

『ヒストリエ』読後の感想

何度も書くとしつこいと言われそうですが、歴史が好きな人は絶対に読んでください。
損はしません。
日本人には馴染みが少ない古代ギリシア世界のことを知るきっかけになると思います。

また、破壊力のある飛び道具(大砲)が無い時代に、城壁に囲まれた都市を攻略することがどれだけ大変だったのか良く判ります。
後世、難攻不落の城塞都市と言われたビザンティオンが、既にこの時代から堅固な城塞都市であったことが判り、東ローマ帝国好きの自分にとっては面白かったです。

 

10巻までいっきに読む事をおすすめします

1冊1冊、発行されるたびに読んでいた時には物語の繋がりがいまいち理解できませんでした。
ですが今回、10巻分をまとめて読んだとことで、この漫画が壮大な絵巻物のように感じられました。

1巻の導入部分とその後の幼少期が、その後にどう繋がるのか?
または9巻でピレウスを訪れたエウメネスが出会う「ある人」であることを知って泣きそうになれるのは、10巻分まとめて読んだからこそです。

 

ヒストリア11巻はいつ発売されるのか?

この漫画の唯一の欠点は、テンポ良く先が読めないことです。

7巻以降は1年半~2年に1冊のペースで発表されています。
最新作の10巻は2017年3月に発表されていますので、11巻の発表時期は18年年末~19年初頭になると予想されます。
まあ、気を長くして待つしかないですね。

でも・・・
このペースではアレクサンドロスの東方遠征が描かれるのはいつ頃になるんだろう?
それがとても心配です。

 

 

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