天空の蜂(著:東野圭吾)を読んだ!
先日読んだパラレルワールド・ラブストーリーのあとがきにてこの「天空の蜂」が紹介されていました。
手に汗握るミステリー・・・
みたいな紹介だったので、どんなモノかと思いながら購入してみました。
読み終えましたので感想をまとめます。
1分で読める『天空の蜂』のあらすじ
錦重工業にて製作された軍事用の新型巨大ヘリコプター(通称:ビッグB)がテロリストに奪われます。
テロリストは遠隔操縦で格納庫からビッグBを奪い、高速増殖炉の真上まで飛行させるのでした。
そして、国に対し要求を出します。
「全ての原発を止め、廃棄しろ」
「要求に従わない場合には、奪ったビッグBに積んだ爆弾ごと、原発の上に落とす」
脅迫を出したテロリスト側にも誤算が生じます。
それは「奪ったヘリの中に子供が潜り込んでいた」ことです。
- 脅迫を受けた国は原発をどうするのか?
- 国とテロリストは巻き込まれた子供をどうするのか?
- 犯人を捜す警察たちは如何にして犯人の足跡を見出すのか?
本編を読んでお楽しみください。
10分はかかる『天空の蜂』のあらすじ
(事件のはじまり)
錦重工業にて製作された軍事用の新型巨大ヘリコプター(通称:ビッグB)を自衛隊に引き渡す前のお披露目式のため、開発責任者の湯原と同僚の山下は家族を連れて出社します。
父親達が仕事で入館したすきに、湯原と山下の息子は格納庫へ入り込み、ビッグBの機内に潜り込むのでした。
湯原の息子が先に機外へ出た時、突然、ビッグBが動き始めます。
テロリストにより遠隔操縦で動き出したヘリは、山下の息子を乗せたまま彼らの前から飛び去ってしまうのでした。
(テロリストによる脅迫)
奪われたヘリの行方は、敦賀半島で稼動している高速増殖炉「新陽」の真上でした。
原発の真上でビッグBをホバリングさせたテロリストは、マスコミ等を利用して国に脅迫状を突きつけます。
「稼動、非稼動を問わず、原発を廃棄しろ」
「要求が聞き入れられなければ、爆弾を積んだビッグBを原発に落とす」
(テロリストの誤算)
完璧な計画で格納庫からビッグBを奪い去ったテロリスト達にも誤算がありました。
それは、ヘリの機内に山下の息子が乗っていたと言うことです。
その事実はマスコミを通じて公開され、事実を知ったテロリストから新たな要求が出されることになります。
「救出中は邪魔をしないから機内に入らず子供を助けろ」
この誤算が切っ掛けとなり、完璧と思われたテロリストの数々の仕掛けに綻びが生じ始めるのでした。
(警察の捜査)
脅迫が行われてからヘリの墜落まで、燃料を考えると8時間程しかありません。
その短時間に犯人を見つけ出すことは不可能と思われつつも、警察は反原発の運動を行っている人物を1人ずつあたる地道なローラー作戦を展開します。
無駄な捜査と思われたローラー作戦でしたが、聞き込みを行っていた刑事が「事件の鍵」を握る可能性がある人物を炙り出すことに成功します。
- 原発で働いていたことあり
- 反原発の運動にも参加した事あり
- 自衛官上がりでラジコンヘリの操縦が趣味
墜落までの時間内には不可能と思われた犯人逮捕に向け、警察は「その男」の包囲網を少しずつ狭めていきます。
一方で、何故に厳重な管理の下におかれていたビッグBが盗み出されたのか?という視点からも捜査を行っていきます。
遠隔で操縦するためには「ビッグB」にそれなりの仕掛けが必要となります。
そこで、ビッグBが保管されていた工場へ出入りした人間を確認していくうちに、1つの不可解な点に辿りつきます。
「入館ノートに記載された名前の社員は、実際にその日に入館していなかった」
という事実です。
たった1つの不整合を突き詰めていくうちに、やがて、1人の女性の存在に辿り着くのでした。
そして、その問題の女性は事件当日に「海外旅行」へ行く予定だと言うことが判明するのでした。
(脅迫された国の対応)
- 原発の停止
- 子供の救出
2つの脅迫を受けた国は、まず、子供救出に取り掛かることにします。
子供を無事に救出することで、事件の解決に向けて動きやすくするためでした。
その解決のプランの1つには、最悪のケースではありますが、「ビッグB」を墜落させて事件の幕引きを図るというプランも含まれていました。
★ミステリーなので、あらすじはここまでにします!
- 高高度でホバリングするヘリコプターから如何にして子供を救出するのか?
- 警察が突き止めた「謎の男」が犯人なのか?
- 警察が突き止めた「女」も犯人なのか?
- 万一、原発にヘリが落ちたらどんな被害が起きるのか?
全ては本書を読んでお確かめください!
『天空の蜂』のおススメ度はいくつ?
おススメ度は75点です。
あとがきでおススメと書かれていただけあって、面白かったです。
テンポも良いし、不可解すぎる謎もないし、回収されない伏線も無かったと思います。
ただ・・・
自分的には最後がちょっと不満です。
ネタバレになるのでここには詳細は書きませんが、最後の犯人の言葉によって、この本がミステリー小説から、現代社会のあり方を国民に投げ掛ける硬派な社会派小説になってしまった気がしてちょっと残念でした。
『天空の蜂』をおススメする人
基本的には誰でも楽しめそうですが、多少は人を選ぶかも知れません。
おススメする人は
- ミステリー小説が好きな人
- 社会派ミステリーが好きな人
- 東野圭吾の作品を愛する人
H4『天空の蜂』をおススメしない人
- 社会派ミステリーは肌に合わない人
- 子供が事件に巻き込まれる話が苦手な人
- 最後に全ての謎が解けて「スッキリタイプ」以外のミステリーが嫌いな人
3番目の理由は結構重要かも知れません。
下記の読書後の感想で補足します。
『天空の蜂』読書後の感想
この本、読んでいる最中から面白いと感じていました。
ただ、自分的には科学の専門用語や工学的な解説が多くなると、読むのが億劫になる傾向があるようです。
私の脳味噌が理系ではなくて文系である証なのでしょうか・・・。
読み終えてから、これだけは言及しておきたい点を2つ取り上げておきます。
若干、ネタバレかも知れませんのでお気をつけ下さい。
謎解きを最後にスッキリではなく、徐々に見せていく感じ
ミステリー小説には色んなスタイルがあるのだと実感しました。
最後の最後まで犯人が判らないように話を進め・・・
「えっ!まじですか!?」
と突然目の前にドーンと露にするタイプ。
一方、犯人に繋がる何かを徐々に匂わせ、読み手に犯人を露にしていき・・・
「あ、やっぱり!でもそんな理由があったのね」
等と少しずつ霧が晴れるように最後を見せるタイプ。
この本は後者ですね。
私はどちらかと言うと、
前者の「いきなりドーン!」が好みようだと判りました。
「枝葉が多岐に渡り」物語にのめりこめず
少しずつ霧が晴れるような描き方をしているからなのか、このミステリーは本当に話が多岐に渡っていて、登場人物も多種多彩です。
- 犯行の動機も複雑
- 犯人達の過去も複雑
- 警察の動きも様々
- 国の対応も色々
1つ1つの話をきちんとまとめている点は、「流石!東野さん」という感じです。
ですが・・・私的にはあまりにも枝葉が広がりすぎているため、「原発どうなるんだろう?」と純粋にハラハラ感を楽しむことが出来ませんでした。
ビッグBに子供を乗せる必要あったのか?
と正直なところ疑問に感じています。多分、犯人の動機(子供を失った理由)に絡ませたかったのでしょう。
でも、なんだかしっくり来ませんでした。
入館ノートの細工に登場させた女性は必要だったのか?
彼女の存在もイマイチ不明でした。
どうして女性を使ったのかな?
あれだけ精巧な遠隔操縦の機械を作れるのだから、他に手は無かったのかな?
犯人の1人を原発内に配置した必要性はあったのか?
そして、原発内に配置した理由もイマイチ判りません。
内部に配置しなければいけなかった理由って何だろうか?
最後まで謎でした。
面白かったのですが、余りにも登場人物が多岐に渡り、話が緻密に織り上げられている分、ミステリーのドキドキ感が削がれた気がする点が、残念です。
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