lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『夜明けの街で』を読んだ!



夜明けの街で(著:東野圭吾)を読んだ!

読み終えて、『うむぅ・・・』と黙ってしまうような1冊であった。
主人公の渡部と同年代で、テーマがテーマなだけに、読んでいる最中から尻がモゾモゾと落ち着きませんでした。

間違いなく、面白い本である。
しかし、読書感想文として記事にしようと思うと、うまく手が動かない。
悩んだ結果、紹介文で本の内容に触れすぎてしまっては、これから読む人の興味を削いでしまうと思いますので、簡潔な内容でまとめることにしました。

 

『夜明けの街で』のあらすじ

『不倫をする男は馬鹿だと思っていた-』

と考えていた男自身が、不倫の道に足を踏み込んでいきます。

建設会社に勤務する40代の渡部は、妻と娘と幸せな家庭を築き、彼らとの時間と空間を大切にしていました。
そのため、派遣会社から派遣されてきた秋葉を見ても、
「小さめの顔は奇麗な卵形で、鼻筋は定規をあてたように真っ直ぐだった」
「和風美人タイプの整った顔立ち」
と感じつつも、特別な感情を抱くことはなかった。

 

 

渡部と秋葉の人生の転換点は、およそ男女の仲が発展するとは思えない『バッティングセンター』であった。
大学時代の友人と飲み、2次会で訪れたバッティングセンターで、1人、無心にバットを振り続けていたのが秋葉であった。
若い娘と飲みたいと渡部の友人が秋葉をカラオケに誘うと、あっさりと彼女は承諾するのであった。

カラオケで飲みすぎて潰れた秋葉を、渡部は彼女の家まで送って行くのであるが、秋葉にゲロを吐きかけられただけで、男女の仲を深めるような事は起きなかった。

 

後日、汚してしまったスーツを返してもらうために秋葉と外で待ち合わせした渡部は、彼女の変わった行動に興味を惹かれるようになる。
彼女は、スーツをクリーニングに出さず、自ら洗濯してダメにしてしまったため、お金を渡して済まそうとした。
しかし、その行動に納得出来ない渡部は、
金が欲しいわけじゃない・・・
他にすべきことがあるのではないか・・・と秋葉に問いかけます。

 

渡部の問いかけに対し、日を改めて食事を共にした秋葉は、その席で渡部から「迷惑を掛けた相手に言うべき言葉がない。」と詰問されると・・・

「それ(謝ること)が出来ればどれほど楽か……。 素直に謝れるぐらいなら、あたし、こんなに苦しくない──」

と謎めいた言い訳をするのでした。

 

食事を重ね、互いを理解していく二人であったが、あっさりと『不倫』の垣根を飛び越えることはしませんでした。

食事をした帰り、秋葉を送って彼女の実家に立ち寄った際に、玄関先で彼女の父親と出くわします。なぜか、情緒不安定な様子を見せる秋葉に寄り添ううちに、彼らは『超えてはいけない一線』を飛び越えてしまうのであった。

 

付き合いを重ねていく中で、秋葉が呟いた台詞・・・、

「3月31日。 その日が過ぎれば、いろいろとお話しできるかも-」
「その日はね、あたしの人生にとって、最も重要な日なんです。-」

を聞いて、秋葉と秋葉の家族が抱える『何か』に疑問を感じ始めます。

  • 秋葉の家に家族が済まない理由・・・
  • 秋葉の家を売ろうとしている理由・・・
  • 豪邸なのに売れない理由・・・
  • 秋葉曰く、居間で起きた殺人事件の真相は・・・

彼女自身の生い立ちと、彼女の家の問題が気になりつつも、
渡部は秋葉への想いを募らせていき、引き返せない道に入り込んでいきます。

 

  • クリスマスイブは、渡部の友人に協力してもらい、家族を騙して一緒に過ごす
  • バレンタインは会社の同僚達とスキーに行った秋葉を、偶然、妻の実家に里帰りした渡部は呼び出し、実は年末もバレンタインも渡部に予定があると嘘をついたことを知り、秋葉の気遣いに胸を熱くします。
  • 横浜でデートを重ねるうちに、『自分に必要なのは彼女だ』との思いを強くした渡部は、『妻との離婚』を口にして秋葉の気持ちを揺さぶってしまいます。
  • ホワイトデー、渡部の気持ちを知った秋葉はそれまでの耐え忍ぶ恋を捨て、渡部の家族の事を気にせず好意を積極的に現すようになります。

彼女への想いを日々強くしていけばいくほど、彼女が『3月31日』に何から開放されるのか気になる気持ちが強くなる渡部は、

  • 積極性を増す彼女の行動に途惑いつつ
  • もしも彼女が殺人事件の犯人だったらと恐れつつ
  • 幸せな家庭を自らの手で壊す罪悪感にも苛まされつつ

渡部は秋葉の求めに応じ、「たとえどんなことが起きても、必ず守ると約束-」し、3月30日の夜は妻に出張と偽り、彼女と共に3月31日を迎える決意をするのでした。

  •  秋葉が語る3月31日の秘密と何なのか?
  • 渡部と秋葉の関係はどうなるのか?

この先は、本編を読んでお楽しみください!

 

『夜明けの街で』のおススメ度はいくつ?

おススメ度は80点です!

ネット上では賛否両論のようですが、私は面白かったと思います。
もちろん突っ込みどころはありますが、
この本を読んで『時間を損した!』って怒る人は、ちょっと意地が悪いと思います。 

夜明けの街で (角川文庫)

夜明けの街で (角川文庫)

 

 

『夜明けの街で』をおススメしたい人

この本、ミステリーと言うべきか、それともサスペンスと言うべきなのか、イマイチ分類が微妙ですが・・・。

  • その類が好きな人
  • 男女の恋愛ものが好きな人
  • 不倫とかドロドロ系も嫌ではない人
  • 東野作品をこよなく愛している人

 

『夜明けの街で』をおススメしない人

  • 男女問わず、不倫は絶対に許せないと考えている人
  • 男女問わず、実際に不倫で痛い目に遭ってトラウマな人

 

『夜明けの街で』で気になったシーン

私的には十分楽しめましたし、人にも勧められる本だと思っています。
ですが、読んでいていくつか気になる点もありました。

ネタバレにならない程度にまとめてみます。

 

男としてあまり実感が沸かない渡部の言動

これを書くと、こいつはとんでもない男だ!
と非難を受けそうなので悩んだのですが、思い切って言及してみます。

それは、渡部の秋葉への言動です。

  • 付き合っているうちにドンドン惚れてしまうは判る
  • 隣の芝がより美しく見えるのも判る
  • 好きになるあまり家庭を壊してしまうのも判る

男ってのは馬鹿だから、そんなモノだと思う。

問題は、渡部がドンドン秋葉に引き込まれていく過程に置いて、
秋葉
「それ以上踏み込んでくれるな~」
「期待なんかもたせないでくれ~」
と言っているのに、渡部が後先考えずに突き進むシーンです。

つまり『都合の良い時の女でいいよ』と言ってる訳ですから・・・
普通、男って生き物はここで躊躇すると思うのです。
『え?それもありなの?』って絶対に思うはずです。
男って馬鹿だから・・・。
でも、その男の勝手な逡巡が感じられず、渡部はドンドン秋葉との未来に突き進んでいきます。

もしも、熱にうなされるように恋に突き進んだのだとしたら、
後半、彼女の謎が気になり始めた頃に、
『もしも彼女が●●だったら・・・』とか、
『自分はずっと彼女と居られるか?』などと、
思い悩むことはないと思います。

むしろ、相手の事だけを考えればよく、ヒーロ的に振舞えば良い時には、男ってやつはあまり悩まないのではないかと思います。

まあ、もしかすると、私がちょっとオカシイので、渡部が普通なのかもか知れません。

 

金銭感覚が一般庶民ではないのでは?

魚を釣る時には誰でも必死になります。
時間を掛け、労力を掛け、お金を惜しまず、大魚を釣ろうとします。
それは確かです。

しかしですね、この渡部家ってそれほどお金が自由になるのか?
奥さんは専業主婦と思われ、ローンもあるだろうし、子供はまだ幼い。
渡部だって、大手建設会社の社員とは言え、役職は主任であり、それほど自由になる金があるとは思えません。

それにも関わらず・・・
渡部さん、タクシー使い好きじゃない?

まあ、フィクションだからと言えばそれまでですが、せっかく不倫の話が誰でも陥りそうなシチュエーションで絶妙に書かれているのに、その付き合い方が非現実的だと、読んでいて時々「それは無理だろ・・・」と思ってしまいました。

みなとらいから綱島まで、結構遠いよ?

 

それに、バレンタインデーの話も、話としてはとても良い話だし、渡部が秋葉にいっそう惹かれていく重要なシーンですが、かなり無理があるよね?

バレンタインデーは、秋葉は会社の同僚達と新潟のスキー場へ行き、渡部は病気見舞いで嫁さんの実家へ行くことになります。
しかし渡部は、義理の両親を見舞った後、ちょっとスキーしてくると言い残し、秋葉がいるはずの駅まで新幹線で移動する。

『いや、無理だろ、それ・・・』
と普通に突っ込んでしまいました。

 

秋葉が関わっている事件のミステリーの出来が良かったのに、
サラリーマンが自由になるお金の設定に、少々、無理があったのは残念です。

 

最後があっさりしすぎ

これは、ネタバレ気味なので、未読の方は避けたほうが良いかと・・・。

 

3月31日の謎が解けた後、秋葉は渡部をフリます。

「もう一緒にはいられない」
「あたし、あなたのことを利用してた」

そう言われた渡部は食い下がることなく、出張と偽って出てきた家に帰ります。
彼女の描写は、これらの台詞は明らかに本心ではないと匂わせているに・・・。

え?
って感じです。

あれだけ、友に止められて一直線に秋葉へ突き進んだ渡部なら、
「どんなことがあっても一緒に居てと言っただろ!」とか、
「一緒に居るって言っただろ」とか、
「いまさら家に帰れるかよっ!」って、
叫んで欲しかったです。

もちろん、渡部が家に帰らないと、最後の妻とのシーンが描けないので仕方が無いのでしょうか、それにしてもアッサリと別れすぎだと思いました。

 

そういえば秋葉、最初に謝っていたね!

初めて渡部と秋葉が不倫の道へ踏み込んでしまうシーン。

(前略)
闇の中で僕たちはもう一度唇の感触を確かめ合った。
目が少し慣れてからベッドに移動し、同時に腰掛けた。
「ごめんなさいね」
秋葉がいった。
「どうして謝るんだ?」
彼女は答えなかった。
僕たちはゆっくりと身体を横たえていった。

あぁ、この『ごめんなさい』は、渡部を利用することへの謝罪だったのか!
最初から、この女は計算していたんだな・・・と思いました。

 

あってよかったエピローグ的な新谷くんの話

秋葉との出会いの時の飲み会から、クリスマスイブの策略、そして、離婚を決意して突っ走る渡部を止める時にも、親友の新谷くんは登場します。
彼の「不倫論」妙に説得力があり、妙に現実的であった理由がよく判ります。

新谷くんの話を読んで、たぶん、男女問わず読者はこう思うのでしょう。

男って馬鹿だな。
不倫なんて絶対にするものではないな・・・と。

 

『夜明けの街で』のまとめ

不倫という、人の心を隠微に揺さぶる出会い
そして、
1件の殺人事件と1件の嘘が

妻と娘を大事にしてきた渡部の人生を翻弄していきます。

 

簡単にまとめると、そんな1冊でした。

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