偶然見つかった未破裂脳動脈瘤を、見つかって1年後に開頭クリッピング手術で治療することにしました。
実は、手術日が決まるまでは、どれくらい費用が掛かるのか深く考えてはいませんでした。以前、手術・入院の費用を簡単にまとめた記事がありますが、その内容はあくまでも3割負担時の概算をまとめたもので、その記事の中では、高額療養制度については深く追求していませんでした。
なぜなら、脳動脈瘤が見つかって『アタフタしている時点』では、費用の詳細についての興味は無かったからです。
未破裂脳動脈瘤と闘う ~開頭クリッピング手術の手術時間と後遺症、入院期間と費用について~ - lands_end’s blog
実際、費用の事が気になり始めたのは手術日が決まってからですし、高額医療制度について調べたのも、手術が正式に決まってからでした。
そこで、今回の記事では、高額医療費制度について調べたときに感じたことや、調べて判ったことをまとめたいと思います。
- 高額療養費制度について
- 高額療養費制度について知りたかった2つの疑問
- 実際に高額療養費制度を申請してみた
- 限度額認定証が手元に届いたらどう使う?
- 最重要!月またぎの入院がダメなのは何故か?
- 高額医療費制度についてのおさらい
- 番外編 自営業の場合の高額療養費制度はどうなるの?
高額療養費制度について
手術や入院の費用を詳しく知る必要が出てくると、
皆さん必ずグーグルさんなどで『手術 費用』とか『入院 費用』など調べ始めると思います。
その際、かならずこのワードが検索に掛かってくると思います。
『高額療養費』
この『高額療養費』については、様々なサイトや人がまとめ記事を書いていますので、高額療養費について調べるのに、それほど困ることはないと思います。
むしろ、数が多すぎて、イマイチ理解できない?という可能性が高いと思います。
そこで、私がおススメするサイトは、以下の1社(1サイト)のみです。
内容を知るには厚生労働省のHPが一番ベスト
この高額療養費制度は、企業や保険会社が行っている訳ではありません。
国の制度として設けられています。
それゆえ、まずは制度の大元締めになる『厚生労働省』のHPで把握するのが良いと思います。
上記HPを開き、ページ下部にある『平成27年1月診療分から』のPDFをクリックしてください。
念のため、PDFのリンク先も貼っておきます。
高額療養費制度を利用される皆さまへ(厚生労働省保険局)(PDFで開きます)
高額医療費制度には大きく別けて2つあります
- 既に支払った、または発生する医療費を、制度を利用して返金してもらう。
- 発生する予定の費用を「限度額認定証」を準備して支払額を抑える。
私は、2の方法となりました。
病院側からも、事前に準備するように言われました。
高額療養費制度について知りたかった2つの疑問
厚生労働省保険局のPDFを読んだり、他のサイトで確認したり、方法は様々だと思いますが、制度の話が複雑で長いため『知りたいことが中々把握できない』のも現状です。
そこで、あの当時の私が最も知りたかったことを2つ取り上げます。
1番目の疑問は、私はいくら支払えばいいのか?
私の所得区分から判明するひと月あたりの自己負担限度額(円)は、
80,100円+(医療費-267,000円)×1%
です。
以前の私の記事で、概算を60万~90万としていますので、
その金額を元に計算してみます。
3割負担で病院への支払いが60万円の場合
600,000円-267,000円=333,000円
333,000円X0.01=3,330円
3,330円+80,100円=83,430円
3割負担で病院への支払いが90万円の場合
900,000円-267,000円=633,000円
333,000円X0.01=6,330円
6,330円+80,100円=86,430円
医療費として病院へ払う額はこれだけです。
他に、入院中の食事代、差額ベッド代は別途支払いが必要です。
差額ベッド代はさておき、入院中の食事代は以下の通りです。
(2017年1月現在 1食360円)
仮に10日間入院して、
初日は昼と夜2食、最終日は朝のみ、残り8日間は3食だとすると・・・
8X3=24食+2食+1食=27食
27食X360円=9,720円
★支払い額まとめ★
仮に3割医療費が90万で、大部屋だった時には、
83,430円+9,720円=96,150円
この金額なら、それほど慌てる必要はないかと思いますが如何でしょうか?
注意! 収入によって高額医療費の額は決まります。
私の場合は、所得区分が以下の区分に該当したので、上記の費用になりました。
- 年収約370~約770万円
- 健保:標報28万~50万円
- 国保:年間所得210万~600万円
ですが、自分の収入次第では、異なりますので注意してください!
厚生労働省の内容によると自己負担額は以下の枠組みになります。
要するに、自分の収入に応じて払う額が異なると言うことですね。
所得区分の『住民税非課税者』って何だろう?
当時、自分が調べたサイトが残ってましたので貼り付けておきます。
要約しますと、以下の通りです。
1.生活保護を受けている
2.未成年者、障がい者、寡婦、寡夫で前年の合計所得金額が125万円以下(ただし、給与所得者は204万4,000円未満)
3.前年の合計所得金額が各地方自治体の定める額以下(東京23区では扶養なしの場合35万円。扶養がある場合は35万円×本人・扶養者・控除対象配偶者の合計数+21万円)
自分がどの枠に該当するかどうやって調べるの?
毎月、または毎年貰う給与明細や年末調整後の書類を残しておけば判るのかも知れませんが、もっと早く正しく知る方法は以下の2通りです。
- 会社の経理に確認する
当たり前ですが、私の収入を把握しています。 - 自分の所属する保険組合に確認する
この組合も、私の収入を把握しています。
1の会社に話がし辛い人は、2の方法があるので助かります。
2番目の疑問 どうやって申請するの?
高額医療費制度を使えば、かなり値段が抑えられることが判りました。
ですが、その後に沸いた疑問は、当たり前と言えば当たり前な疑問です。
『どうやってこの制度はつかうのだ?』と。
迷った時には電話するのがいい!
厚生労働省のページも、健康保険協会や組合のページを見ても、複雑な制度の説明はありますが、申請の仕方が中々見つからず疲れてくると思います!
実際、高額療養費を使うと決まっている時期は、
病を抱え、感情的にナーバスになり、心には相当なストレスが溜まっている時期だと思います。
そんな時に、複雑な制度を、必死に自力で読み解く必要は無いと思います!
電話して、専門家(協会や組合)に聞くのが一番です!
私は、そうしました!
実際に高額療養費制度を申請してみた
制度についてはある程度理解できたので、とにかく申請しました。
ちなみに、手術日が決まって2週間後に手続きを行いました。
パソコンの前に座り、保険証を用意して電話しましょう!
- 自分の保険証を手元に用意して、『保険者名称』を確認します。
- ●●健康保険組合 または ●●健康保険協会 なる記述を確認します。
- 記載されている保険者名称をグーグルさんに入力し、自分が所属する組合や協会のページを開きます。
- 連絡先を確認し電話します。
- 窓口の方に「●●に手術入院するので高額療養費制度について確認したくて電話した」と言いましょう。
- 予め質問をまとめておくとスムーズです。
電話したときの印象ですが、面倒くさい様子もせず、丁寧に教えてくれました。
申請の提出方法も、
- HPのどこそこにある書類を印刷してくれとか
- 記入後にどの住所へ送ってくれ
などと判りやすく指示されました。
番外編 協会けんぽと組合保険のちがい
この歳になるまで、まったく気にしたことはありませんでしたが、各個人が持っている健康保険証は、『健康保険証組合』が発行しているわけではありませんでした。
何をいまさら・・・という方は、すっ飛ばしてください。
サラリーマンが持っている健康保険証(社会保険)とは、2つの組織にわかれるそうです。
- 1つは「協会けんぽ」
- もう1つは「組合健保」
どちらも制度として大きな差はありませんが、もちろん違いはあります。
くわしくは、下記HPが判りやすかったです。興味のある方はどうぞ。
電話する時の恥かしい失敗談
私の社会保険は「組合健保」でしたが、
グーグルさんで『高額療養費制度』と検索すると、
「協会けんぽ」側のHPが上位にヒットします。
そのため、電話を「協会けんぽ」にしてしまい、色々と制度を聞いた後で、
実は自分の保険証は、「組合健保」に属していると判り、恥かしい思いをしました。
窓口の方は、怒りもせずに、丁寧に対応してくれて本当に申し訳なかったです。
申請後、何日で書類は手に入ったか?
まず、証明書の名前ですが『限度額適用認定証』と言います。
制度名は高額医療費制度ですが・・・。
自分が属している健康保険の組合に電話して、
書類を書いて投函するまで1日かかりました。
それから約1週間後、郵便で自宅に『限度額適用認定証』が届きました。
電話口でも、5~10営業日(土日祝除く)と言ってましたので、平均ですね。
届いたら、内容をきちんとチェックしておきましょう。
特に所得区分の確認は重要です!
限度額認定証が手元に届いたらどう使う?
先に述べましたように、高額医療費制度とは2つの方法があります。
- 既に払い済みの高額医療費を、制度を利用して返金してもらう。
- これから発生する高額医療費を、予め申請することで支払額を抑える。
私が利用したのは2なので、それに則り話を進めます。
入院日に限度額認定証を窓口に渡すだけ
まずは、『手術日が決まる=入院日が決まる』となるはずなので、
その時点で高額医療費制度の利用方法を病院へ聞くのが良いと思います。
聞き忘れたり、忘れても、電話すればすぐに教えてくれます。
私の時には、入院手続きの話をしている時に、
「高額医療費制度のご案内」なる書類を貰いました。
その時に、入院までに限度額認定証を入手して、手続き窓口に提出してくださいと言われました。
入院中に家族が提出することも可能性ですが、退院前日では対応が出来ないことがあるため、早目に提出するように言われました。
退院日に限度額+食事代の請求書が出ました
入院中に、費用がどうなるか悩む必要がないという点では、ありがたい制度です。
最大の額が判っているので、おちついて治療に専念できると思います。
最重要!月またぎの入院がダメなのは何故か?
高額医療費制度を利用した場合の支払い額が判りましたが、
忘れてはいけない重要な点があります。
それは、以前の記事で『入院日を決める場合に、月またぎは避けるべし!』
と記載しましたが、その理由はこの『高額医療費制度』利用に関係しています。
細かい規定は素人の私達は読んでも忘れてしまうので、
次のように認識しておけばよいかと思います。
高額医療費制度の計算は、
入院や手術単位で計算するのではなく、
月ごとに計算されます。
つまり、退院が翌月になると、高額医療費制度の計算を2回行います。
そのため、単純計算すると2倍になる訳です。
よって、余裕があるのであれば、同月に入院・退院すべきとなる訳です!
高額医療費制度についてのおさらい
- 一般的には、一月に8万円以上の医療費支払いが発生したら利用出来る
- 費用は、所得によって異なるが、普通は約9~17万円程度に収まる
- 既に支払った額の返金申請は、1年以内に行うこと
- これから入院の予定なら『限度額認定証』を入手して予め提出がベター
番外編 自営業の場合の高額療養費制度はどうなるの?
私自身はサラリーマンなのですが、嫁さんの実家が自営業です。
そのため、私が退院したあと、この高額医療費制度の話を嫁さんの実家でしていた時に、義理の両親が『私達はその制度は使えないのかしら?』と言い出しました。
確かにどうなるのかな?
と思ってその時に調べたことを、書いておきます。
所得区分は国保の枠が該当します。
まず、この高額医療費制度がサラリーマン達の社会保険制度独自の物ではないことを思い出せば、自営業にも適用できることが判ります。
なので、最初に高額医療費制度を学ぶには、『厚生労働省』のHPを見るようにと書いた次第です。
改めて所得区分の画像を載せます。
自営業の方は、所得区分の枠の国保の金額を目安に見れば良いことになります。
申請先は各市町村の窓口です
申請先は、協会けんぽでも組合健保でもなく、各市町村の国民健康保険の窓口になります。
たとえば、千代田区に住んでいる場合でしたら、
グーグルさんで『高額医療費制度 千代田区』と検索すると、
『千代田区ホームページ - 高額療養費』がヒットすると思います。
高額医療費制度には、今回紹介した内容以外にも、安くなる条件がいくつかあります。
大事な点は、病気や怪我で入院・手術をする場合、必ずこの制度を確認し直すことが重要だと思いました。
次回『未破裂脳動脈瘤と闘う~お金の問題。休職申請と有給と欠勤について~』です。