lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『楊家将』を読んだ!



楊家将(著:北方謙三)を読んだ!

北方さんの歴史小説は日本史物も中国史物もどちらも好きですが、
今回読んだ『楊家将』は最も好きな作品の1つです。

好きなんだけど、読むと最後で悲しくなるのですが・・・ね。

最近の、鹿島アントラーズの不甲斐無い戦いぶりを見ていたら、
北方さんの暑苦しいまでの男達の戦いを描いた本が読みたくなって手にしました。
まあ、こじ付けですね。

読み終えたので、感想をまとめます。

 

『楊家将』のあらすじ

あらすじの前に時代背景をまとめます!

(10世紀の中国北部の簡単な説明)

時は10世紀後半、現在の中国の首都・北京周辺が物語の舞台となっています。

中国の統一王朝・唐が10世紀前半に内部崩壊で滅びた後、五代十国時代と呼ばれる群雄割拠の時代を迎えます。

混乱の時代の中で最後まで残ったのが、
960年に建国され瞬く間に周囲の国を平らげた北宋と、
951年に現在の山西省北部に建国した北漢でした。
乱立する各国を征服して勢いに乗る北宋は、第2代皇帝の時に北漢を滅ぼすと、群雄割拠の時期に北の大国・に占領された燕雲十六州の回復を目指して、侵攻を繰り返すことになります。(燕雲の燕州は今の北京である)
対する遼は騎馬民族・契丹人によって建国され、今の内モンゴルから中国東北部を支配していました。
北宋とは燕雲十六州及び中原の支配を巡り、長きに渡り激しい争いを繰り広げます。
(中原とは今の黄河流域・洛陽のあたり)

楊家の人々は、このような時代背景の中、最初は北漢に属して北宋の侵攻を阻み、後に北宋に下ってからは対遼戦の前線に常に立たされた一族のことである。

(あらすじ)

中国中部と南部の統一を果たし、最後に北漢を残すのみとなった北宋は、度々征旅の軍を起していました。その侵攻軍の矢面に立ち、脆弱な北漢を守り続けていたのが、代々この地に根を下ろしてきた楊家の軍隊であった。
正規軍と言うよりは楊家の私兵集団である彼らは、首領である楊業と彼の7人の息子に率いられる精強な部隊であった。

楊業は、理不尽な扱いをされつつもひたすら北漢への忠義を守って戦っていたのであるが、979年、北宋皇帝による新征の際、宋の策略に騙された北漢の皇帝に反逆の疑いを掛けられて殺されそうになると、ついに一族のため、宋に下るのであった。

北漢を下した北宋は、その勢いで遼へ攻め込み、奪われている漢族の土地・燕雲十六州を取り返すべく攻め込みます。
しかし、遼の仕掛けた罠に嵌り、撤退を余儀なくされるのでした。

宋へ下った楊業率いる楊家軍は、半ば私兵としての軍閥状態を維持することを許されただけではなく、私兵集団を養うための収益手段(塩の販売)も特別に認められていました。
その見返りは、対遼戦の先鋒として戦うことでした。

また、楊業は戦を少しでも有利に進めるため、そして適切な情報が迅速に帝及び中枢に届くようにするため、光による情報伝達方法を編み出しました。
その結果、通常の馬などを使った伝令であれば数日を要したやりとりも、僅か数刻でやりとりか可能になりました。

国力を増した北宋は20万の大軍を編成し、悲願である燕雲十六州の回復にふたたび乗り出します。
自ら軍を率いて国土の回復に臨もうとした帝であったが、臣下に止められたためやむなく諦め、作戦の大まかな指示を与えて軍を送り込みました。
しかし、総大将とその他の有力武将の非協力的な関係は、重要な決戦において敵に付け入る隙を与えてしまい、その結果、大敗を招いてしまうのでした。

この時、戦の趨勢を決める一撃を放ったのが、このあと宋と楊家軍の前に何度も立ちはだかることになる耶律休哥の軽騎兵部隊でした。

武将同士の軋轢によって侵攻を断念した皇帝は、
次の征旅は必ず自らが赴く親征とすることを誓うのであった。

敗戦の痛手の回復に努めて国力を回復すると、皇帝は三度、悲願である燕雲十六州回復の軍を興すのでした。
前回の失敗を踏まえ、自らが軍を率いることで統率の乱れを防ぐつもりでした。

楊業は楊家軍全軍を親征の先鋒にして欲しいと願い出るのであったが、政治的なバランスの所為で、楊業の長男が率いる半数のみとされてしまうのであった。
また、遼への侵攻方法も意見具申したのであったが、最終的に皇帝が採った作戦はもっとも下策と言えるものであった。

楊業の心配は的中し、侵攻後直ぐに、
皇帝自らが率いる軍と楊家軍の一部は敵中の城に孤立してしまうのであった。

孤立無援の皇帝を救うため、帝に従っていた長男・楊延平は、騎兵を率いる2人の弟に死を覚悟させ、父・楊業への援軍要請に向かわせます。
重囲を突破した彼ら2人の伝言を聞いた楊業は、他の場所で戦っている宋の武将の元へも急を知らせる使いを出し、自らは皇帝が囲まれている城へ向かい、城内への進入に成功します。
城内に突入した楊業が、帝を救う為に採った策は非情でした。

長男・楊延平に帝の衣装を着用させ、正面から敵中に突入させて囮とさせる間に、隙をついて僅か数百騎で反対側の城門から帝を脱出させるのです。

見事、策が嵌り帝を救い出した楊業は、各地に散っていた宋軍を集め、宋への撤退を指揮することになります。
この時、楊業が考えた作戦は、
帝を無事に宋領内へ逃がしつつ、
最も厄介な敵・耶律休哥の軽騎兵を包囲殲滅する大胆な策でした。

この難しい作戦を、楊業と彼の息子達は見事にやり遂げ、
耶律休哥を包囲網の中に取り込んだ彼らが見た未来は・・・。

最後は、是非、本書を読んでご確認ください!

 

『楊家将』のおススメ度はいくつ?

おススメ度は85点です!

今回、読むのは3回目ですが、変わらず楽しめました。
間違いなく、歴史小説としては良作だと思います。

 

楊家将〈上〉 (PHP文庫)

楊家将〈上〉 (PHP文庫)

 
楊家将〈下〉 (PHP文庫)

楊家将〈下〉 (PHP文庫)

 

 

『楊家将』をおススメする人

  • 歴史が好きな人
  • 特に中国史が好きな人
  • 男くさい小説が好きな人
  • 激しい戦闘シーンのある本が好きな人
  • 北方謙三の小説が好きな人
  • 特に『水滸伝』『楊令伝』にはまった人

 

『楊家将』をおススメしない人

  • 歴史小説には全く興味がない人
  • 三国志ですら読んだことがない人
  • 歴史は好きでも東洋史には興味がない人
  • 漢字名がザクザク出ると苦手な人
  • ロマンスやエロが無いと読みたくない人
    (若干ロマンスはある)

 

『楊家将』が気に入った3つの理由

この『楊家将』は私のお気に入りの歴史小説(歴史をベースにした架空小説)です。
気に入っている理由を3つ取り上げておきます。
気に入るポイントは人それぞれだと思いますが、ご参考までに・・・。

 

題材がマイナーゆえの新しい発見!

この『楊家将』は中国明代の古典文学『楊家将演義』がベースになっています。
物語の内容としては、北方さんのオリジナルです。

オリジナルですが、『楊家将演義』が書籍媒体として日本語で発表されたのはこの北方作品が初めてでした。

そのため、今まで殆ど知る事の出来なかった楊一族や、北宋や遼について触れることが出来ます。

世界史の授業では、
『北宋と戦っていた遼は、その内部から勃興した女真族の金によって追い詰められ、最後は金と宋が同盟を結び滅ぼされる。』

としか知る機会のなかった契丹族の人々の生き生きとした様子を知れたことが、
私のツボにはまりました。

 

シンプルな内容ゆえに物語に没頭出来る!

物語の大筋はブレナイのです!

律儀な軍人であり続けようとする楊業と楊家軍の興隆から滅びまでを描いています。

それと、判りやすいライバル!
遼の将軍・耶律休哥は反則的なまでに強いです。

  • ごちゃごちゃした伏線もありません。
  • お尻がムズムズするようなロマンスもありません。

男の生き様を描いた小説が、読んでいてとてもスッキリします。

 

躍動感ある見事な戦闘シーンの描写!

戦闘シーンの描写が本当に見事です。

他の作品でも言えますが、騎馬隊の戦闘シーンの描写が北方さんは上手いと思います。
自分が、この中国華北地域を旅行したことがあるのも良いのかも知れませんが、
戦闘シーンを読みながら目を瞑ると、
広漠とした大地を、
砂塵を上げながら駆ける楊家軍と耶律休哥の姿が瞼の裏に浮かびました。

 

 

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