lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『マークスの山』を読んだ!



マークスの山(著:高村薫/講談社文庫)を読んだ!

好みの作者ばかり・・・、一度読んだ本の再読ばかり・・・、では成長がないなぁ。。。と感じつつあったので、このミスとかで取り上げられている本を中心に、いつものマイ有料本棚から大量に買って、、、持ってきた。

その第一弾に選ばれたのが、これだ!
直木賞受賞作品とかで、この著者の代表作らしい。。。

ちなみに2010年秋にWOWOWでドラマ化するらしい。
(加入してんから見れんが)。

(粗筋)
・・・ミステリー小説であんまり粗筋を書いてしまうのは。。。とは思ったが、ま、こんなブログを見ている人もいないから、いいでしょう。ね。。。

昭和51年、南アルプスで発生した1つの殺人事件と1家族の無理心中。この種が、時の流れの中に播かれ、ゆっくりと根を伸ばし、やがて10数年の時を経て(世の中に)芽を吹き、様々な物と絡み合うことで幾つもの軋轢(殺人事件など)を産み出し、最後の実を結ぶ。
南アルプス事件の容疑者と一家無理心中で生き残った男の子、それらの事件を取り扱った所轄の刑事達。2人の10数年後の邂逅と再び起きた事件、そして所轄の刑事と本庁の刑事達。
それから数年の時を経て起きた、殺人事件から、歯車は一気に回りだす。
犯人を囲い、人として接し、人としての温かみを与える看護婦の存在は、、、。
大学の山岳会の仲間であり、今は弁護士や著名人、政府官僚となった彼らの言動が、謎に謎を呼び、事件を更に複雑にしていく。
そして、警察内部のドロドロとしたぶつかり合いと、検察との間に繰り広げられる駆け引きも、事件をより複雑にしていき、終着駅を見え難くしていく。
そんな混沌としたままで迎える、1つの種の結末は、、、

(感想)
難しいねぇ。これ。
好みの問題なのかもしれないが、私は最後の最後まで、没頭して読み込む事が出来なかったよ。
凄く、緻密に論理的に描かれている事はわかる。
例えば、、、
主人公・裕之(犯人)の精神的疾患からくる言動と心の想い(細かいことを考えられる頭があればよかった。と呟く場面があったはず)。
もう一人の主人公・合田(刑事)の、人間臭さたっぷりな言動(別れた女房への想い、その義兄との関係、上司への反骨や部下への素直でない気遣い、、、などなど)。
それから、、、
山についての描写の緻密さ。
私は山登りは趣味ではないので、実際のところ良くはわからないけど、それでも著者が相当に調べあげ、山と山男を細部まで丹念に描いていることは判る。
それから、警察という機構の異常さを、これでもかと抉り出している描写。この本が世に出た際に「本格的警察小説の誕生」とか言われたそうだけど、その通りなんでしょう。ここまで露骨に嫌味たっぷりに、ドロドロとした内部事情まで描くことで、警察が身近にも感じられるし、どちらかと言えば嫌悪される異質な存在としても認識させられる。

凄いんだと思うよ。本当に。
だけどね、あまりに緻密で論理的で、その上場面展開が大きすぎて、、、僕にはついていけなかった。
やっぱり、好みと言うのはあるのかもしれないなぁ。

本の最後の解説にこんな一文があった。
「どういうわけか、日本にはこの手の小説が殆どない」

これを読んだときに、僕はちょっとホッとしたし、判った事がある。この本を読んでいて感じていた違和感。それは「外国小説の翻訳本」を読む時に感じるものと一緒だったんだ。
他人はどう思うのかわからないが、僕はそう思った。
異様な程に細部までに拘る割りには省かれる事もあったり(例えば犯人がなぜに養父母を惨殺したのかは何の描写もない。)、えらくあっさりと場面展開が行われたり(最初が酷いよ。51年のあと10数年、数年、、、が飛びすぎでなかなか理解できなかった)。その代わり、最後の数十ページ、裕之の死に至るまでの部分は、合田の心の流れも周囲の人々の動きも眼に浮かぶようだった。北岳という山を巡る一連の流れに特化した結果、思い入れがしやすかったということだろう。最も、最後のちょっと感動的な描写も、その僅かな時間ではあまり僕には「じーん」とこなかったのが残念だ。
それと登場人物達がえらく感情豊かなのは、ちょっと欧米的と言えなくもないでしょ。

ま、色々、思う事はあるけど、なかなか難しいもんだね。自分の好みに合う文章を見つけるのはさ!
今は、一時的に合わないだけかもしらないから、実は次回作も高村作品を読んでます。

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