色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(著:村上春樹)を読んだ!
前作の「1Q84」が自分的にはヒットしなかったため、次回作である本書を食わず嫌いで数年経ってしまった。
今更ながらですが、古本屋で見掛けたので購入してみました。
読後の感想をまとめます。
- 2分で読める『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のあらすじ
- 10分は掛かる『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のあらすじ
- 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のオススメ度はいくつ
- 『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は疑問だらけ
2分で読める『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のあらすじ
主人公・多崎つくるは、高校時代に常に一緒に行動した4人の友人達から、大学2年の夏に突然『絶縁』されてしまいます。
身に覚えのない扱いに戸惑った彼は、死の淵まで覗くがギリギリのところで踏みとどまります。
大学卒業後、自分の趣味でもあった駅舎作りをするために、鉄道会社に就職します。
それから10数年、彼は無難に人生を過ごしていくのですが、36歳の年に大きな転換を向かえる事になります。
2つ年上の彼女・沙羅から今後の付き合いに関して意見を述べられます。
「あなたに抱かれているとき、あなたはどこかよそにいるみたいに感じられた。もし私とあなたがこれからも真剣におつきあいをするなら、よく正体のわからない何かに間に入ってほしくない」
この言葉をきっかけに、主人公つくるはかつて自分を無慈悲にも切り捨てた4人の友人の元を訪れる旅を始めます。
- あれから10数年、4人の仲間の現在は?
- 彼らがなぜ、つくるを捨てたのか?
本書を読んでご確認ください。
10分は掛かる『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のあらすじ
主人公・多崎つくるは高校時代にいつも一緒に行動した4人の友人達から、大学2年の夏に突然『絶縁』されてしまいます。
- 赤松 慶:通称アカ
- 青海 悦夫:通称アオ
- 白根 柚木:通称シロ
- 黒埜 恵里:通称クロ
つくる以外の4人の進学先は地元・名古屋でした。そのため、休みのたびにつくるは友人達と会うために地元・名古屋に戻っていた。
大学2年の夏も、地元に戻ったつくるはさっそく友人達に電話しますが、全員留守で話すことは出来ませんでした。何度か電話を掛けるが、いつも留守であり、しかも一度たりとも友人達から電話が来ることはありませんでした。
何か、良くないことが起きている・・・
そう感じていた彼の元に一本の、仲間の1人が電話をしてきます。
「もう誰にも電話をしてくれるな」そう告げられたつくるは、
「わかった、でも何故だか知りたい」そう訪ねるのですが、
友人は「自分の身に聞いてみろ」そう告げて電話を切ってしまいます。
突然、理不尽な扱いに戸惑ったつくるは、東京へ戻り部屋に引き篭もってしまいます。
深く傷つき、落ち込んだつくるは、死の淵まで覗き込みますが、ギリギリのところで生の世界に踏みとどまるのでした。
生の世界に踏み止まったつくるは、顔の作りも雰囲気も、かつてのつくるとは大きく変化してしまうのであった。
大切なものを失うことへの恐怖感を感じてしまったつくるは、その後の人生においてたった一人しか友人を作りませんでした。
- 灰田 文紹:大学の2年後輩
少しずつ人間関係を深めていったのですが、彼も突然、つくるの前から姿を消してしまいます。
大学卒業後、自分の趣味でもあった駅舎作りをするために、つくるは鉄道会社に就職します。
それから10数年、何人かの女性と付き合い、時に自分の所為で、時に相手の所為で、上手く行かなくなり別れを経験していました。
しかし、友人と言えるような相手は、灰田を失ってからは一人も作りませんでした。
見えないものを見ようとしないつくるの人生は、年上の彼女の出現によって動き始めます。
- 木元 沙羅:36歳のつくるの2つ上
デートの後で彼女を部屋に誘ったつくるに対し、彼女はこう話します。
「あなたに抱かれているとき、あなたはどこかよそにいるみたいに感じられた。もし私とあなたがこれからも真剣におつきあいをするなら、よく正体のわからない何かに間に入ってほしくない」
彼女は、かつてつくるを一方的に排除した4人の友人に会い、事の真相を究明すべきであると話します。さらに・・・
「あなたはナイーブで傷つきやすい少年としてではなく、一人の自立したプロフェッショナルとして、過去と正面から向き合わなくてはいけない。自分が見たいものを見るのではなく、見なくてはならないものを見るのよ」
沙羅は、つくるにかつての友人達に会えと薦めるだけではなく、4人が今何処に居て、何をしているのかも探り出してきます。
4色のうち、2色は名古屋で働いていて、1色は海外に住んでいて、最後の1色は既に他界していました。
他界した友人が居ることにショックを受け、その真相を知りたいという気持ちもあって、つくるは意を決して名古屋へ戻ります。
名古屋で会った2色からは、あの夏のいきさつを知らされます。
- なぜ、つくるを排除しなくてはいけなかったのか?
- なぜ、1色が他界しているのか?
事の真相をより詳しく確認するために、つくるは最後の1色に会いに海外へ行きます。
そして、最後の1色と出会うことで、彼ら5人が出会ってから今までの複雑な人間関係が紐解かれていきます。
自分の身に起きたことを受け入れたつくるは日本へ戻り、気持ちの思いをぶつけるために沙羅に電話するのであった。
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』のオススメ度はいくつ
オススメ度は75点です。
前作の「1Q84」よりも遥かに読みやすく、理解しやすい本でした。
後半、つくるが失われた友人関係を紐解く旅に出てからは、とても面白かったのですが、前半が私には退屈でした。
灰田さんが悪いわけではないけど、彼との関係の重要性が、初読ではさっぱり理解できていません。読むのを止めようかと思うくらい苦痛でした。
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』をオススメする人
点数はちょっと低くなりましたが、面白い1冊です。
どんな人に薦めるか・・・
- 村上春樹の本はとにかく読みたい人
- 村上春樹の本を食わず嫌いになっている人
- 初めて村上春樹の本を読む人
特に初めて村上春樹の本に触れる人には、
この作者特有の癖が少なくて良いかも知れません。
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』をオススメしない人
- 村上春樹の世界が嫌いな人
- 理屈っぽい話しをする人間が嫌いな人
沙羅とつくるの会話は色気の「い」の字もありません。
妙齢のカップルのする会話では無いと思う。
理論とかロジックとか・・・
こういう人、私は苦手です。
『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』は疑問だらけ
ざっと読むだけなら、たぶん5時間程度あれば読み終わると思います。
出来れば、集中して読みきった方が良いのか知れません。
通勤の電車の中で日を置いて読むのは合わないのかも知れません。
ここから先、ネタバレを含みますのでご注意ください。
この本、謎の回収がありません。
本当に、謎は謎のまま放置されています。
たとえば・・・
つくるが4人の仲間にハブにされた理由
つくるがシロをレイプしたとシロが皆に訴えたから!
が理由なのです。仲間たちは「つくるがそんな事をする訳ない」と理解していますが、精神的に追い込まれていたシロを助けるにはつくるを切るしかなかったのです。
そして、つくるもそんな事をするはずがないと言うのですが・・・
しかしながら、本書の中には「それ」を髣髴させる記述があります。夢の中でシロと交わり射精しています。
この記述が意図するところは何?実は、本当のこと?
灰田の失踪も謎のまま
仲良くなり、家に泊めるまでなった相手が、突然何も言わずに失踪するかな?
しかも、自分に身に覚えがない状態で?
仮に失踪したとして、探す努力が足りないのは何故だろう?
この灰田絡みの失踪にも、夢の中での性交渉が関係しています。
シロと抱き合っていたはずなのに、射精は灰田の口の中にしていたという夢。
あれは何を意図していたのか?謎です。
つくるの彼女・沙羅は謎過ぎ
4人の友人達の現在の職業や住いを調べ上げるのですが・・・
勤務先は旅行会社です。旅行会社でそんな事は出来ない!
それと、つくるが海外へ行く直前に、年配の男性と親しげに歩いているのを見られるのですが、この男性が誰で、どんな関係の人だったのか?謎のままです。
あぁ、こうやって書いていたら、ますます不満が募ってきた。
誰か、解決してくれ~。
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