チェーザレ 破壊の創造者(作:惣領冬実)読んだ!
歴史関係の小説や漫画を好んで読んでいますが、
今回紹介する漫画は、私的ランキングの中で、常に上位に入っている漫画です。
久々に読み返したので、紹介させて頂きます。
『チェーザレ 破壊の創造者 第1巻』のあらすじ
1491年1月、ピサから物語は始まります。
この漫画の主人公の1人である・アンジェロ・ダ・カノッサがピサの大学に入学し、主人公である・チェーザレ・ボルジアと関係を深めていくことになります。
アンジェロの祖父が、メディチ家の当主ロレンツォに石工としての力量を認めてもいらったことを契機にして、メディチ別邸で開かれる学者の講義を受けるようになります。そこで、アンジェロ自身がロレンツォに見込まれ、厚意によってピサの「サピエンツァ大学」に通わせてもらうことになりました。
フィレンツェ出身の彼は、本来はフィオレンティーナ団団長を務めているロレンツォの次男・ジョヴァンニを盛り立てていくべき立場なのですが、ある意味世間知らずな彼の言動は、フィオレンティーナ一辺倒にはならず、それが、スペイン団のチェーザレの目には面白く映り、やがて、アンジェロという人間に好意を持つようになるのでした。
- 15世紀末のイタリアの勢力関係
- ピサという都市における勢力関係
- 「サピエンツァ大学」の3大勢力
チェーザレのスペイン(ボルジア)
ジョバンニのフィレンツェ(メディチ)
アンリのフランス
この物語の背景が1巻では描かれています。
第1巻のお気に入りのシーンを2つ
1つ目
フィオレンティーナ団のロベルトが、世間知らずのアンジェロのためにピサの情勢を解説するシーンです。
第1巻189ページ、ピサの街の図解とピサの勢力図の解説は、この漫画を楽しむためにも必読です!
2つ目
アンジェロがフランス団のアンリに対して『暴言』を吐いた際に、チェーザレが助け舟を出します。その時の、『フランスの槍の小話』はとても興味深かったです。
『チェーザレ 破壊の創造者 第2巻』のあらすじ
1巻の後半、アンジェロとチェーザレはピサの貧民街に潜入します。貧困に喘ぐ貧民を見たアンジェロは、つい、持っていたパンを子供にあげてしまいます。
それを切っ掛けに貧民達に取り囲まれてしまうのですが、チェーザレの護衛が駆けつけ事なきを得ます。護衛達は逡巡することなく、襲い掛かってきた暴徒を切捨て、河に死体を放り込み処理してしまいます。
アンジェロは、チェーザレとスペイン団の関係を理解していきます。
大学での講義中、ある事件の解釈における論戦において、アンジェロとチェーザレの関係が深く絡みます。
「市民に自由などない」
と言い切るチェーザレに対し、アンジェロはこう質問します。
「優れた指導者に成りうる自信がおありですか?」
と。
周囲を凍りつかせる質問でしたが、チェーザレは全く意に介して折らず、むしろ、いつものゆるい論戦ではなく、頭を使う論戦になったことをアンジェロに感謝するのでした。
第2巻では、1492年の新世界発見を目前にしているコロンブスが登場しますし、コロンブスを交えた飲み会で、チェーザレの腹心ミゲルの生い立ちが判明します。
また、ローマで次の教皇を狙い暗闘を続ける二人の枢機卿も登場します。
先の教皇の一族であるジュリアーノ・デッラ・ローヴェレと、チェーザレの父親であるロドリーゴ・ボルジアです。
さらに、2巻の最後にフィレンツェへ赴いたチェーザレの前に、ミラノ天才軍師レオナルドが登場します。
第2巻には秀逸な描写のシーンが多数あります
- 52ページから数ページに渡って描かれている『ピサ大聖堂』は美しい!
- 58ページの『大聖堂の後陣のモザイク』は、じっくりと眺めて!
- 67・73ページの『システィーナ礼拝堂』の描写も秀逸!
- 186ページのフィレンツェにある『ボッティチェリのプリマヴェッラ』も最高!
自分が、15世紀末のイタリアを旅している気持ちになります。
漫画『チェーザレ 破壊の創造者 第1・2巻』のおススメ度はいくつ?
おススメ度は90点です。
壮大な物語の導入部分になるため、覚えなくてはいけない情報が多いのが難点です。
ですが、読んでいると自分が実際に歴史上の人物達に会っている様な気がしてきて、興奮が抑えられなくなると思います!
漫画『チェーザレ 破壊の創造者』をおススメしたい人
- 歴史が好きな人
- 西洋史が好きな人は必読
- 時間を掛けて描かれた絵が好きな人
漫画なんて・・・と軽く思っている人は是非!
きっと目からウロコです!
漫画『チェーザレ 破壊の創造者』をおススメしない人
- 歴史に全く興味がなく、読むと湿疹が出るような人
嫌いでも試しに読んでみて、きっと好きになると思う!
とは絶対に言えません。
歴史に拒否反応が強い人だと、この重厚な作りの本は受け入れられないと思います。
まとめ
歴史に少しでも興味がありましたら、
とにかく、第1・2巻を一気に読んでください。
2冊を読んで興味が沸きましたら、あとは大人買いして楽しんでください!