lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『ガラス張りの誘拐』を読んだ!



ガラス張りの誘拐(著:歌野晶午)を読んだ!

かつて読んだ歌野さんの作品『葉桜の季節に君を想うということ』が凄く良かったので、古本屋でセールに出ていた歌野作品を幾つか買ってみました。
因みに、『葉桜の~』は2003年に発表されていて、この『ガラス張りの誘拐』は1990年に発表されています。
その2つの作品の開き具合に、一抹の不安を感じつつ、読み始めました。

 

『ガラス張りの誘拐』のあらすじ

この本は、3章とエピローグから構成されています。

主人公は、連続婦女暴行殺人事件を捜査する佐原刑事です。

さて、いつも書いているあらすじは、自分が後で振り返る時に思い出しやすくするために、あらすじをガッツリと書いているのですが、この本はミステリーだし、ネタばれまで書いてしまったら再読の楽しみも薄れてしまうので、今回はサクッとしたあらすじに止めておこうと思います。
でも、サクッとしたあらすじって、実はかなり難しいです。
本当の文章力を問われてしまうようで・・・苦手です。

 

『第二の事件 保健室の名探偵』

誘拐・監禁し、最後は惨たらしく殺して捨てる犯人の下から、からくも逃げ出した被害者を保護しつつも、警察はなかなか犯人を追い詰められないでいました。
また、担当している佐原は、捜査を進展させなくてはいけないと思いつつも、過去のとある事件が影響し、どうしても身を入れて捜査に取り組むことが出来ないでいました。

そんな警察と佐原は、犯人がマスコミに送りつけた犯行予告状によって窮地に立たされることになります。

犯人の予告状は、これまでの殺しとその動機について触れ、また、現在進行中の誘拐・監禁事件についても書かれていました。
その内容を、マスコミに先に公開されてしまった警察は、威信回復のためにも総力を挙げて犯人探しに挑むことになります。

捜査の過程で養護教諭・梨花と知り合った佐原は、梨花から連続殺人事件に関する梨花なりの推理を聞かされます。
当初は、素人が何を・・・と思っていたのですが、彼女の意表を付いた視点からヒントを得て、犯人を追い詰めることに成功します。

犯人の居場所に踏み込んだものの既に犯人は逃走しており、身柄の確保をすることが出来なかった警察に、犯人自殺の報がもたらされます。
車の中で自殺を図った遺体の側に、犯人の遺書が残されていました。
その遺書には、既に判明している彼が殺害した被害者への懺悔と共に、ある重大な告白が書かれていました。

『予告状は私が書いたものではありません』

その犯人の遺言を裏付けるように、予告状に書かれていた進行中の誘拐事件の被害者と思われていた女の子が無事に発見されるのであった。

 

『第三の事件 ガラス張りの誘拐』

佐原はかつてヤク中に妻を殺され、それ以来、娘と妻の祖母の3人で暮らしていました。
思春期を迎えた娘との距離感の取り方に失敗した父親は、娘・深雪との関係が上手くいかずに悩んでいました。
その関係を修復しようと思い、先日の事件の際に知り合った養護教諭・梨花に個人教授をお願いするなど、様々な手を打ちはするものの、簡単には好転しませんでした。

そんな折、深雪が家出をしてしまいます。

自分が警察官と言う身分でもあるため、警察への届けを躊躇う内に数日が過ぎたある日、自宅に見知らぬ男からの荷物が届きます。
荷物の中には深雪のモノと思われるクツが入っていました。

荷物が届くのと前後して、犯人と思われる男から電話が入ります。

犯人の要求は、警察を呼んで対応していい!という奇妙なモノでした。
佐原は警視庁へ報告し、警察を家に招いて対応するのですが、しばらくすると犯人からの電話が途絶えてしまいます。
やむなく、公開捜査に踏み切った所で、再び犯人から電話が入りますが、その要求も奇妙なモノでした。

『身代金1億を、警察総出で保護しつつ、浅草の雷門へ持って来い』

マスコミのテレビ・カメラに中継されながら、銀行で身代金を受け取り、浅草へ着いた佐原に、犯人から最後の要求が入ります。
この最後の要求も奇妙なモノでした。

『身代金の入った袋を賽銭箱の上におき、深雪を帰してくださいと大声で叫べ』

やがて、自分の名前を絶叫する姿を全国に中継されている父親の姿を、偶然テレビで見た深雪が雷門に姿を現します。
身代金は・・・・お賽銭箱の上から無くなってはいませんでした。

事情聴取を受けた深雪は、誰にも誘拐されておらず、友達の家を泊まり歩いていたと話します。
しかし、自宅に帰る前に、テレビで謝罪をすることになっていると知った深雪は、父親に衝撃の告白をします。

『以前から売春をしていて、今回も見知らぬ男とホテルに居たと・・・』

彼女の携帯などを調べれば、今回の愉快犯が判る可能性は高いと思われました。
しかし、そのためには娘の恥部を曝け出すことになってしまいます。
父親としての苦悩と
警察官としての責任、
板ばさみになった佐原は、梨花に相談を持ちかけます。

すると、彼女はこう言い出したいのです。

『何も彼女の恥部を曝け出す必要は無いかも知れません。』

 

『第一の事件 夢で見た明日』

時系列は第二の事件の遥か前に遡ります。

静岡出身の10代の女の子が、親のプレッシャーに嫌気がさし、大学受験を敢えて落ちることで家を出て、都内の予備校に通うようになります。
すぐに家出して、男と同棲し、実家に連れ戻されてまた家出して、親から逃げるようにして都内に潜伏し、ホテトルの「かこ」として働いていました。
ある日、嫌な夢を見た日に指名された客が占いを専門に研究している教授だと知ると・・・

ここから先は、書きません!

 

『ガラス張りの誘拐』のおススメ度はいくつ?

おススメ度は60点です!

 超、辛い点数ですが、仕方ありません。
まあ、この人の本を手にした切っ掛けとなった本(葉桜の季節に君を想うということ)が秀逸過ぎたのでしょうか?

最後まで読んで、著者がこの本に仕掛けたアイデアを読み終えたとき・・・
「おぉ~っ」
ではなく、
「うぅ~ん」
となってしまいましたので。

 

時間があるときや、数時間、列車や飛行機で移動する際にサクッと読む分には、おススメ出来ると思います。 

ガラス張りの誘拐 (角川文庫)

ガラス張りの誘拐 (角川文庫)

 

 おまけのまとめ

1章が第二の事件となっており、3章で第一の事件を持ってくるなど、時系列通りに書かずに読者に唸らせようとしたのかも知れません。

確かに、目次を見た時に、「お!なにやら仕掛けがありそうだ!!」とワクワクしたのですが・・・。

う~ん。
違う意味で唸ってしまいました。

色々と仕掛けがあって、『おっ!』とは思う箇所が多かったのですが、
その仕掛けが複雑で『読み返さないと』理解できなかった点が、
失敗なのだと思います。

また、
仕掛けの設定に無理があり、
時系列の流れに無理があり、
その結果、犯人の動機についてイマイチ『なるほど!』と思えなかったです。

 

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