lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『照柿』を読んだ!



照柿(著:高村薫/講談社文庫)を読んだ!
前回の「マークスの山」に引き続いて、高村作品を読んでみた。
前回のブログで書いたけど、正直、この作者の文体と言うか文章世界に馴染む事が出来なかったので、連続して読むことで、ちょっとは変わるかな~と思ってみたんですが。。。

(粗筋)
物語は、合田刑事達が列車に乗って捜査会議に向かう途上から始まる。彼らの乗った列車が駅にさしかかった際、男と揉み合いになった女が弾みで線路へ倒れこみ、人身事故が起きる。すぐさま状況把握の為に現場に立ったのは、職業病だけが理由だけではなかった。倒れこんだ女性の姿に、別れた女房の面影を感じたからであった。
しかし、その現場で、彼はその後の彼の人生を大きく変える(狂わす)女性に出会うことになるとは、その時にはまだ気づいていなかった。彼女は、ホームで揉み合い、結果として女性を線路へ落としてしまった男性の妻であった。

合田刑事達の追っている事件は、目星の奴はすぐに当たりが付いたのであるが、その所在は定かではなく、また逮捕状を請求して捜査を行うほどには物的証拠が少ないために中々核心に近づくことが出来ず、悶々とした日々を過ごしていた。そんな中、別件で他署に挙げられた男が、彼らが担当している事件を起こしたと自白する。しかし、合田達は合点が行かず、焦っていた。そんな折、運良く当初より追っている男が、無銭飲食で捕まった機会を逃すまいと大阪へ向かう。

新幹線に乗るために向かった東京駅で、合田は幼馴染の野田に出会う。
合田が大阪で暮らした幼少の頃、長屋の家主だったのが野田の実家であった。妻子をほったらかして趣味の絵画と女遊びに日々を費やす親父と、不動産業を必死に支えるために仕事の鬼となった母親。その結果、野田はいつも合田の家に預けられていたのだった。

野田は親父が無くなったとの知らせを受け、10年以上疎遠にしていた実家へ向かうところであった。合田が大阪を出た後は、知らぬ仲だったとはいえ、ここで知ったのも何かの縁と考えた合田は、葬儀へ参列することを約束し、先にホームへと向かった。。。はずだった。しかし合田は偶然、野田が待ち合わせをしていた美保子(ホームで女を落とした男の妻)と話している所を見かけてしまう。また、野田も、視線を感じ周囲を見渡すと、合田がなんとも言えない視線で自分達を見つめていることに気付くのだった。

大阪で、野田の葬儀を終え、2人は街へ繰り出し、数十年ぶりに飲み、語り、美保子の事を口に出し、最後は殴り合う。この数日が、2人の人生の歯車を大きく動かしす切っ掛けとなったのである。

東京に戻り、美保子への言葉にならない想いに苦悩する2人の男。
野田は、自らの抱え込んだ人生の闇(つまるところ、父親の人生への鬱屈した憧れ)をコントロール出来なくなってゆき、合田は社会的立場から本心を曝け出せないもどかしさと、心の中で膨らみ続ける刑事という仕事(倫理観や上昇志向)への膨らみ続ける嫌悪感に苛まされる。
そして、意識してか無意識でか、男達を翻弄する、美保子の言動。

三者三様で、絡み合うようで絡みきれない。
彼らの終着点は、どのような形で、どこにあるのか。。。

(感想)
前回の「マークスの山」よりも、小説世界に没頭できた。出来たけど、、、やっぱり、ちょっと僕の好みの文体ではないのかもしれない。
なんだろう???
面白いし、よく練られていると思う。
後半、合田が野田の起こした事件の参考人として取調べを受け始めた辺りからは、夢中になって読んだ。あの刑事さんも目茶苦茶イイ味出しているし。

う~ん。。。多くの人に受けているのもわかる。。。
判るんだが、僕にはダメだ。
始末の悪いことにその理由もわからんよ~。


いつか再読(今は正直なところ再読したくないが)した時に、何か掴めるだろうか・・・。きっと、そうに違いないと、自分を騙して、、、終了!

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