真夏の方程式(著:東野圭吾)を読んだ!
本書はガリレオシリーズの第5弾作品です。
前回までの4作品も、なかなか面白かったので期待しつつ古本屋で購入しました。
読後の感想日記です。
『真夏の方程式』のあらすじ
(ミステリーなので、ネタばらしにならない程度に書くことにします。)
小学5年生の恭平は、夏休みに入ると母の兄が経営している玻璃ヶ浦の旅館『緑岩荘』に預けられることになった。
玻璃ヶ浦に向かう列車の中で、携帯電話を使ったことで事件に巻き込まれるが、たまたま同席していた帝都大教授の湯川に助けられるのであった。
湯川は、玻璃ヶ浦の沖で見つかった貴重は鉱物資源を、開発するために地元向けに開催された『海底鉱物資源開発』会議のアドバイザーとして呼ばれていたのである。
『緑岩荘』の経営者である川畑重治の娘・成実は、『玻璃ヶ浦の自然を守る団体』の中心メンバーとして活動していた。湯川も出席する『海底鉱物資源開発』会議に開発反対派として参加するため、年の離れた従弟の恭平が無事に駅に着いたことを確認すると、そのまま会議場へ向かった。
会場場で成実は、微笑を湛えた初老の男性に会釈される。
前に会った事はない筈だと思いながら、何か、心に引っ掛かるモノがあった。
会議が終わり宿に戻ると、先程会場で会釈をしてきた男性が宿に滞在していた。
塚原という男性は『会議』に参加するためにわざわざ埼玉から足を運んでいた。
しかし、彼の名前や住所を見ても、成実はピンとくるものはなかった。
普段は閑古鳥の鳴いている『緑岩荘』に、この日はもう1人宿泊客がやってきます。
先程の『海底鉱物資源開発』会議に開発側のアドバイザーとして参加していた、湯川であった。彼は、列車内で恭平と話したときに、彼が泊まる宿のことを聞いて、わざわざ開発推進派が用意したホテルをキャンセルして移ってきたのであった。
宿の夕食が終わり、湯川は宿の女将・川畑節子に案内されて、街へ一杯のみに出掛けて行き、足の悪い重治は、恭平を誘って宿の庭で花火をしていた。
成実が開発反対派とともに飲み屋へ行くと、店の前に母親が佇んでいました。
案内した湯川に付き合って飲み、酔い覚ましをしてこれから旅館へ帰る所だと言う。
それを聞いた開発反対派のリーダーである沢村は、密かに好意を寄せる成実に少しでも良い所をみせるため、母・節子を旅館まで車で送りますと申し出るのであった。
店の中で飲んでいる湯川と、開発の是非について話し合っていると、母を送った沢村が戻ってきた。遠くないはずなのに随分と時間が掛かったのでその訳を訪ねると、彼はこう説明したのである。
『成実ちゃんのところのお客さんが、散歩に出て戻ってこない』と。
居合わせたついでに捜索を手伝ったが見つからず、成実の両親から明日また探すので今日はもう結構ですと言われ、成実の所へ戻ってきたのであった。
行方不明となった塚原は、翌日、遺体となって海沿いの岩場で発見される。
当初、地元の警察は、散歩に出た塚原が、足を滑らして転落した事故として処理したのであった。
しかし、警視庁の管理官・多々良がやってきたことで、塚原の死は単なる事故ではなくなるのであった。
亡くなった塚原は元警視庁捜査一課の刑事であり、多々良は塚原に恩義を感じている後輩であった。そのため、塚原の未亡人を連れて恩人が亡くなった玻璃ヶ浦にやってきたのであった。署で事故の様子を聞いた後、塚原が亡くなった事故現場を訪れたのであるが、事故現場をしばらく観察した後、警視庁の管理官・多々良はこう言ったのである。
『もう一度、署長と話せますか?』と。
数々の難事件に向き合ってきた多々良の経験が、塚原が亡くなった状況は単なる事故死ではないと感じさせたのである。そこで、遺体を引き取って警視庁で解剖を行い、一酸化炭素中毒による死であるとことを突き止めると、草薙刑事に塚原の死の謎を捜査するように特命をくだすのであった。
草薙は、パートナーの内海と共に、塚原がなぜ縁もゆかりもない玻璃ヶ浦を訪れたのか?そこから探り始めるのであった。
一方の湯川は、塚原が亡くなった事故現場を訪れ際に、『何か』を感じたようであったが、口にすることはなかった。
後日、塚原の死因が一酸化炭素中毒だと知らされ、また、地元の署員から当日の夜の事情聴取を、たまたま一緒にいた恭平と受けたことで、ある『疑惑』が湯川の心に浮かぶのであった。
湯川は、草薙刑事が彼に手伝いを依頼すべく連絡して来た時に、その申し出を了承するのであった。
いつもであれば簡単には引き受けない湯川があっさりと引き受けたので、不審に思った草薙が訊ねると、彼はこう説明するのであった。
『詳しいことはまだ言えない。ある人物の人生が捻じ曲げられる』から・・・と。
塚原の足取りを追う警察は、塚原が玻璃ヶ浦に来た際に、真っ先に会議場へ向かったのではなく、ある1人の殺人犯の別荘を訪れたことを突き止めるのであった。
その殺人犯・仙波は、塚原によって現行犯逮捕されたのであった。
また、悲劇の舞台となった『緑岩荘』の川畑一家が、かつて東京に住んでいたことも判明する。彼らが、重治の故郷であった玻璃ヶ浦に戻り、父の跡を継いで旅館経営を始めたのは、仙波が殺人事件を犯し刑務所へ収監された直ぐであった。
当初は、単純な転落事故と思われた事件であったが、警視庁と地元署の捜査が進むにつれ、少しずつ事件の様相を深めていくのであった。
- なぜ塚原は、自分が捕まえた犯人の故郷を訪れたのか?
- なぜ塚原は、それまで全く興味を示していなかった『環境保護会議』に参加したのだろうか?
- 誰が、どこで、どうやって、塚原を一酸化中毒にしたのか?
- そもそも事故なのか、殺人なのか?
- 仙波を追うと、川畑夫妻の影がちらつくのは何故か?
- 仙波が殺人事件を犯したあと、川畑夫妻が東京を後にしたのは何故か?
- 湯川が口にした、人生が捻じ曲げられる可能性のある人とは誰なのか?
ぜひ、本書を読んで結末を楽しんでください。
『真夏の方程式』のおススメ度はいくつ?
おススメ度は80点です!
安定の東野作品、安定のガリレオシリーズ・・・
文句は何一つありません。
大変面白く最後まで楽しめました。
読書後の感想
自分が高評価をつけたポイントや、おススメしたい人、読んでいて気に入った場面などを紹介します。
おススメしたい人
- ガリレオシリーズの愛好者
- 東野作品の愛好者
- ミステリーの好きな人
読んで損はないと思います。
おススメしない人
この本を読んで怒る人はいないと思うのだが・・・
強いて言えば、『本を読むのが嫌いな人』かな。
物凄い緻密な計算がされたミステリーでは無いかも知れません。
ですが、読んだ後に時間を無駄にした~とはならないと思います。
最後の結末良かったです!
私の悪い癖なのでしょうが、読みながら、先走ってしまうのです。
『あ、この文章は意味深だ!』
『犯人はあいつじゃないか?』
『もしかして、●●は▲▲のXXなんじゃないのか?』
そして最後の最後、『そうか犯人は■■だったか・・・』と思わせておいて・・・!
敢えて詳細は一切書かないでおきますが、
最後の最後に『えっ!マジ!!』って楽しめました。
『真夏の方程式』で個人的に気に入った3つの場面
いくつか気に入った場面がありましたので、軽く紹介しておきます。
実験する教授と小学生
成実から聞いた玻璃ヶ浦の由来、『海底の鉱物が太陽光線を反射してキラキラと美しく輝くところから名付けられた』を、船に乗れない恭平に見せるべく、湯川が実験を行うシーンがあります。
このシーンを推しても、あまり共感してもらえないかも知れませんが、私的にはとても心に残っています。
読後に振り返ると、この本の中でもっとも平和で楽しいシーンだったと思え、なんだか悲しい気持ちになりました。
浅草にある牛タン定食屋
草薙と内海が浅草の定食屋で食事を取るシーンがあります。
内海が気になっている店があると言って、そこで落ち合うのですが・・・。
彼らが食べる『牛タンと麦飯』がもの凄く美味そうに描写されていて・・・。
思わず、このシーンを読んだ日の昼に、会社の側の定食屋で牛タンを食べました。
とある病院を訪ねたときの内海の台詞
(なるべくネタばれにならないように詳細は書きません。)
物語の後半、とある事情で内海がある病院を訪れたときに言った台詞が心に残りました。
その病院の時間の流れについての彼女の見解が、今の自分にはヒットしました。
昨年の春、病で病院に入院したからこその反応かもしれません。
記事にまとめたその他の東野作品
結構、東野さんの作品は読んでいるのですが、記事にまとめたのはこの記事のほかには白夜行の1つしかありません。