精霊の守り人(著:上橋菜穂子)を読んだ!
昨年、NHKでドラマ『精霊の守り人』第1部が放映され、
2017年1月からは第2部がスタートすることもあり、『精霊の守り人』の原作を読んでみることにしました。
実は、今まで、まったく知りませんでしたが、『守り人シリーズ(全10巻)』はとても有名なファンタジー小説だったらしく、あちこちの本屋さんで特設コーナーが設けられて大々的に宣伝されていました。
『精霊の守り人』のあらすじ
異世界を舞台に描かれたファンタジー小説である。
物語は、新ヨゴ王国の皇子であったチャグムが、青弓川に掛けられて橋から転落したところに、短槍使いの女用心棒バルサが居合わせたことから始まります。
川に流された皇子を救ったバルサは王宮へ招かれ、皇子の命を救った褒美を与えられてねぎらわられ、一夜を王宮内で過ごすことになります。
その夜、助けた皇子とその母・二の妃がバルサの元を訪ね、驚きの事実を話します。
- 皇子であるチャグムの身体には、かつて新ヨゴ王国の建国王が退治したとされる水妖が取り付いていること
- その事実を国民に知らせる訳には行かないため、皇子の実の親である皇帝自らがチャグムの暗殺を命じていること
- 二の妃としては皇子を何としても生かしたいと思っており、バルサに皇子を連れて逃げて欲しいと思っていること
バルサとしては、人助けをしたつもりがとんでもない事態に巻き込まれてしまった訳であるが、やむなく、二の妃の依頼を引き受け、逃亡を図ることにするのであった。
チャグムが逃亡したことを知った帝は、皇帝お抱えの暗殺集団『狩人』に対し、
チャグムの拉致とバルサの暗殺を命じ、野に放つのであった。
1人でチャグムを抱えて逃げるのが難しくなったバルサは、
幼馴染で呪術師のタンダと、
その師匠であるトロガイに協力を求め、山中に身を潜めるのであった。
トロガイによってバルサ達は、チャグムの身体には水妖『ニュンガ・ロ・イム』の卵が産み付けられていることを知ります。
このニュンガ・ロ・イムは、チャグムやバルサが暮らすこの世『サグ』の生き物ではなく、表の世界と重なるようにして存在するあの世『ナユグ』の水の精であった。
100年一度、卵をサグの生き物に託し、無事に卵が宿主から離れ海に流れ出ると、サグに雨を降らせ作物を実らせる大切な精霊であった。
新ヨゴ王国に君臨するのは絶対君主である皇帝ですが、国の在り方や政策方針などを決めるのは、星読博士達と彼らの上に君臨する星導師である。
彼らは、星の位置や空の様子を見ることによって未来を占い、国政の指示を出す国の重職を担っているのであった。
そのような責務を負っている彼らの元に、トロガイからチャグムに関する謎掛けがもたらされるのである。
彼らは謎を解き明かすべく苦労を重ね、ついに星読博士の1人・シュガによって、
『ニュンガ・ロ・イム』の秘密に辿り着くのであった。
そして、建国の王が水妖を倒したという伝承も間違った言い伝えであることに気付くのであった。
山中で冬を越したチャグムとバルサは、春の訪れとともにチャグムの身体に起きる変化に対抗しようとしていた。
やがて、新ヨゴ王国の原住民であったヤクー人たちの夏祭りが行われる頃、
チャグムは身体に産み付けられた『ニュンガ・ロ・イム』の卵を無事に産み落とし、
サグの世界に実りの雨をもたらせるために、山を降りて水辺へ向かうのであった。
山を降りると、バルサは『狩人』の襲撃を防ぐだけでなく、もう1つの襲撃者からもチャグムを守らねばならなくなった。
ナユグの土の精(怪物)『ラルンガ』の襲撃である。
- 100年に一度の『ニュンガ・ロ・イムの卵』というご馳走を得るために、チャグムの身体を引き裂こうと迫る『ラルンガ』、そして皇帝の命を受けて襲い掛かる『狩人』、彼らの魔の手からバルサはチャグムを守りきれるのであろうか?
- チャグムは無事に卵を産み落とし、『ニュンガ・ロ・チャガ(精霊の守り人)』になれるのであろうか?
- 産み出された卵は、如何にして海へ辿りつくのであろうか?
ぜひ、彼らの物語を読んで確かめてください!
『精霊の守り人』のおススメ度はいくつ?
おススメ度は80点です!
現在、NHKでやってるドラマや、アニメが面白かったと思う方は、是非、読んでみて下さい。ドラマやアニメでは描ききれなかった『守り人シリーズの世界観』を、より深めることが出来ると思います。
おススメしない人
ファンタジーが嫌いな人は、読まない方がいいと思います。
私が、物理や化学、算数が全開の小説が苦手で、なんども本を投げてしまうように、多分、ファンタジーが嫌いな人は、最後まで読めないのではないかと思います。
ドラマ版とアニメ版と原作小説、3つを楽しむ
精霊の守り人は様々なコンテンツで発表されているようです。
アニメや漫画、ラジオなどでも発表されているそうです。
私が実際に見たドラマとアニメ、そして原作について触れてみます。
NHKドラマ『精霊の守り人』
最初にちょっと触れましたが、昨年から3ヵ年計画で、NHKにてドラマ放送がスタートしました。全22回だそうです。
綾瀬はるかが好きなので、それだけを期待してドラマを観たのですが、正直、始まるまでは『ずっこける』のではないかと心配していました。
だって、ファンタジーを実写だなんて・・・、無理があるような気がして。
しかし、実際に放送された第一部を観て思ったのは、
現実と掛け離れた無理な描写もあまりなく、ストーリーも丁寧に作られていて、
十分に楽しめると感じました。
もっとも、視聴率は『かなり』悪いようですが、ドラマや映画なんて、しょせん自分が好きになった作品が良い作品だと思っているので、気にしないことにします。
第一部のドラマは原作にとても忠実に描かれていましたが、惜しむらくは4話完結であった点だと思います。
バルサ達の住む世界観を描き、そして、バルサとチャグムの関係をより深く描くためには、あと2~3話あればよかったのになぁ、と思います。
多分、何度か再放送されるでしょうから、機会があれば是非見て下さい。
アニメ『精霊の守り人』
昨年、NHK総合で放送されていたのを録画して観ていました。
実はアニメは、2007年に作成されていてNHK-BS2で放映されていたそうです。
私はてっきりドラマ化に合わせてNHKが作ったとばっかり思っていました。
全26話で構成されたアニメ版ですが、私はとても気に入りました。
漫画とかアニメが好きになるかどうかは、9割は『絵』が占める。
と私は思っています。
その点で、私的にはこのアニメの絵は気に入るタイプの絵だったのは幸いです。
それから、声優の配役もとても良かったと思います。
バルサの声もとても落ち着いて好きになりました。
アニメ版最大のメリットは、全26話あると言うことです。
長丁場のため、原作以上にチャグムとバルサの関係を丁寧に描いている点です。
あまりにも2人の関係に感情移入しすぎて、彼らの別れのシーンで不覚にも泣いてしまいました。
この『精霊の守り人』のように人気が出た作品は、原作やアニメ、ドラマなど様々なコンテンツで発表されますが、それぞれのコンテンツでのストーリーがオリジナル化してしまうケースもあります。
そうなると、あるコンテンツで作品が好きになった人が、別のコンテンツでの作品を観た時に、満足できない事もあると思います。
ですが、この『精霊の守り人』に関しては、ドラマもアニメも原作から大きく逸脱することはなく、ガッカリ感を味わうことはありませんでした。
多分、今年も来年もアニメの再放送があると思うので、是非、観て下さい。
小説『精霊の守り人』
守り人シリーズとして、第一作が世に出たのは1996年です。
それから約10年後の2007年までに、10作が世に出ています。
今回は、1作目の『精霊の守り人』しか読んでないので、あまり大きな事は言えませんが、このシリーズがとても人気となり、アニメやラジオ、漫画にもなっている理由が、読み終えてみて判った気がします。
これは勝手な私的感想ですが、
この作品は、ゲド戦記みたいに難解すぎず、指輪物語みたいにマニアック過ぎず、日本人が好むファンタジーの種類なのだと思います。
今回、私がこのシリーズに触れたのは、ドラマが最初でした。
次にアニメを見て、最後が原作の順でした。
思うに、この順番で良かったと思います。
ドラマが最後だと、ちょっと物足りなさが強かったかも知れません。
ドラマで興味を持ち、アニメで『守り人』の世界観に嵌り、原作で足りなかった部分を補完出来ました。
他の原作も揃え、読んでみようと思います。