プラテネス(著:幸村誠)を読んだ!
掲載誌:モーニング(講談社)
掲載期間:1999年 - 2004年
巻数:全4巻 (完結ではないのかも?)
プラテネスのあらすじ
物語の舞台は2070年代.。
人類は宇宙開発を順調に進めており、月面には宇宙開発のための母体となる居住施設や整備工場が建設されており、地球と月面の間には定期旅客便が運航されていました。
また、宇宙ステーションの建設も進められ、
既に宇宙生まれ、宇宙育ちの人類も誕生する世の中になっていました。
主人公の星野 八郎太(通称:ハチマキ)は、宇宙飛行士である父親の影響を受け、いつか自分だけの『宇宙船』を手に入れるため、宇宙空間で仕事をしています。
彼の職種は『掃除屋』です。
ただし、燃えるごみや燃えないごみ、缶やビンを回収するのではありません。
人類が宇宙へ進出する最中に、意図的、または意図せずに関わらず、
宇宙空間に撒き散らしてしまったゴミを回収する仕事です。
2070年代には、『スペースデブリ(デブリ)』と呼ばれる宇宙空間を漂うゴミは、宇宙開発を進める上で無視できない状況になっていました。
使い捨てにされた人工衛星やロケットの残骸、事故などで破損した部品が回収されずに地球の軌道上に漂い、地球と月を往来する旅客・貨物機との衝突事故がたびたび発生するようになっていたのです。
ハチマキは、宇宙ゴミ『デブリ』の回収仕事は、宇宙空間を行き来する全ての人の命に関わる大切な仕事であると理解しているのですが、
このままこの単調な仕事を続ける人生でいいのか、
それとも自分の夢である『宇宙船』を手に入れるために金と実績を手に入れることが出来る『デカイ仕事』を目指すべきか、
葛藤する日々を送っていました。
そんなある日、人類初の木星往還船の船員募集を知ったハチマキは、人生の自由を『宇宙船』をゲットすることで成し得るため、『デブリ』回収船を降りて、木星往還船船員募集を受けることにした。
ハチマキの後釜として回収船にやってきたのが、田名部愛(通称:タナベ)であった。
後任への引継ぎでタナベと一緒に居る時間が増えたハチマキであったが、
『一人で生きて一人で死ぬのが宇宙飛行士』であるという持論をもつハチマキと、
『全ての人との関わりには“愛”がある』が持論のタナベでは、
仕事からプライベートに至るまで悉くかみ合わず、ぶつかり合いを続けていた。
往還船の訓練を受けていたハチマキは、宇宙飛行士なら誰でも陥る可能性がある、精神病に掛かってしまう。宇宙の広漠さにあてられ自身の存在理由を見失い苦しむハチマキが見出した答えは、『人間は一人で生きているのではない』ということであった。
ぶつかり続けたタナベの考えに、自分が到達した考えの正解を見出せると考えたハチマキは、タナベのもとを訪ね、プロポーズするのであった。
厳しい訓練の中、様々なトラブルに巻き込まれながら、ハチマキはついに往還船のクルーに選出される。
現地調査を含め往復7年の船旅に出るハチマキ。
彼が、宇宙空間を旅する中でたどり着く心の着地点は、どんな答えになるのか?
プラテネスのテーマってなに?
この漫画のテーマって何だろう?
読んでいて、その点は掴みきれませんでした。
色々と考えてみました。
- 人類が宇宙へ進出する時の未来予想図・・・
にしては、普段の生活があまりにも現在と変わりない。 - スペースデブリの問題と環境保全の話・・・
深刻な宇宙ゴミの対策は何も語られていない。 - 2070年代には人類は画期的な政治・経済システムを生み出して・・・
物語では貧困や政治・信条の違いによるテロは発生している。
上記はどうも違うようだ。
そうなると、近未来でかつ宇宙という舞台は、あくまでも設定であって、
舞台が深海や深々度の地中でも作者は構わなかったのかも知れないと考えてみると、
思い浮かぶのはやはり1つ。
作中でタナベが何度も『愛』がなければと叫んでいたが、
『人間が生きるには他人との関わりが絶対に必要である』
という事なのかなと思います。
さらにこの本では、
『変わらぬ人の営み』
が語られているように思いました。
どんなに科学が進歩しようとも、
- 人が生きていくために必要なもの
- 人が生きていくために求めるもの
それは変わらないのだ。という作者からのメッセージを感じ取りました。
プラテネスで一番のお気に入り
プラテネス全4巻の中には、いくつも『いいなぁ』と思う台詞がありました。
それでも、最後のハチマキの全宇宙に向けたメッセージに全て持っていかれた!
ネタバレになるので、まだ読んでない方は見ない方がいいと思います。
オレ・・・ぼくは木星往還船フォン・ブラウン号の乗組員星野八郎太です。
いま木星にいます
あなたのいるところから見えますか?木星~中略~
に乗る前のオレはデブリ回収やってました 宇宙のゴミ拾う仕事です。
仕事仲間はみんないいヤツらだったけどオレはあんまりあの仕事が好きじゃなかった。
キツイしあぶねェし人手は足りねーし何より地味だ。
金のためにやってんだこんなのは今だけだとよく自分に言いきかせてました。
金を貯めたら宇宙船を買ってこの宇宙を自由に駆けまわるんだ。
宇宙船があればどこへだって行ける本当の本当の自由だ。
でもスッゲ-がんばんないと宇宙船なんか手に入らない。
マジにならないとダメなんだ。
だからオレはそれ以外のことはいっさいしないと決めた。
それ以外のことを考えるのもやめようと思った。でも
でも愛し合うことだけがどうしてもやめられない。
いいか悪いかは知らないがとても強い力だ。核融合なんて目じゃない。
人間はみんなスゲー力を持ってんだ素晴らしいことだしおそろしいことだとも思う。
オレはこの力の使い方もっとうまくなりたいんだ。
だから・・・地球に帰ったらまたデブリ屋をやろうと思う。
やってるときは気づかなかったけどあの仕事はいい仕事だ。ユーリ フィー 愛 もう5年ほどしたら帰るそしたらまた仲間に入れてくれ。
おわり
本文より引用しました。
プラテネスのおススメ度はいくつ?
おススメ度は75点!
オススメの漫画
とか
絶対に読むべき漫画
などとググると、オススメの漫画をまとめたサイトが一杯出てきます。
1
10冊限定だと厳しいけど、30冊以上のまとめであれば、
ほぼ間違いなく『プラテネス』は紹介されています。しかも、高評価で❗
なので、いつかは読みたいなと思いつつ、後回し後回しになっていました。
後回しになった理由は2つ!
- 1つは単に他にも読みたいのがあった。
- もう1つは科学チックなのは苦手分野なので、食わず嫌いしていたため。
今回、近くのBOOKOFFで4巻セットで叩き売りされていたので購入しました。
実際に読んでみて…
うん。確かに面白い。
目の付け所が斬新というか、とても興味深く読む事が出来ました。
恐れていた、科学はそれほど難解ではなく、SFに興味のない人でも十分に楽しめる内容です。
根底にあるテーマは、
『科学でなく愛』ですから、当たり前と言えば当たり前かな。
様々なサイトで紹介されているように、是非一度は読むことをオススメします。
ただし、あくまでも私的な感想ですが、
本棚で永久保存したくなるほどは、夢中にはなれませんでした。
まあ、感想は人の好みによると思いますので…。
約束できるのは、
読んで損をしたとは決して思わない良作だと言うことです!
アニメ版『プラテネス』
2003年~2004年にかけて、NHKで放映したそうです。
全26話。
ネット上で検索すると、アニメ版を絶賛する人が本当に多い。
漫画よりも内容が濃く、必見だそうです。
見たい・・・。
買うと高いので、どこかネットに落ちてないかな・・・。
おまけ 幸村誠の他の作品
幸村さんの作品では、
月刊アフタヌーンで2005年から連載中の『ヴィンランド・サガ』の方が、
私は断然好きです。(現在18巻まで出ています)
中世の北欧が舞台で、バイキングが主な登場人物です。
ここでは詳細は書きませんが、手にする機会がありましたら是非お試しください。
(注:暴力的なシーンが苦手な方は止めた方が良いかも知れません。)
ヴィンランド・サガ 新装版 コミック 1-17巻セット (アフタヌーンKC)
- 作者: 幸村誠
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2016/01/22
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る