lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤と闘い、コーギーに癒され暮らしてます。本好き歴史好きサッカー好きの40代の徒然日記です。

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『指揮官たちの特攻 ~幸福は花びらのごとく~』を読んだ!



指揮官たちの特攻 ~幸福は花びらのごとく~(著:城山三郎)を読んだ。

盆に実家へ帰った時に暇を持て余し、父親の書棚を物色した際にこの本をみつけました。8月という時期に読むには最適だと思い、少し重たい内容になることは覚悟しながら読み始めました。
本編214ページで決して分厚い本ではありません。
ですが、時に感情がブワッと吹き上がり頭が真っ白になるなど、読み終えるのに相当の時間を要することになりました。

読後の感想をまとめます。

 

『指揮官たちの特攻 ~幸福は花びらのごとく~』の内容紹介

いままでの読書感想文では、「あらすじ」をまとめていました。
ですが、この本の内容を私には「あらすじ」にすることは出来ません。
そのため、本書の内容紹介をすることにします。

 

本書は、著者の城山三郎自身の従軍体験と、戦後、城山自身の足で歩いて知り得た様々な情報を元にして、第2次世界大戦中の日本で何が起きたのかを紐解くようにして書かれた一冊です。
この本が焦点を当てているのは次の2点です。

  • 特攻とは何だったのか?
  • 特攻へ向った男達はどんな人物だったのか?

それを現代の私たちに周知する内容となっています。

さらに特筆すべきは、パイロット達の英雄譚を華々しく描くだけではなく、あとに残された妻や子供、家族や親戚達のその後にも光を当てた点です。

  • パールハーバーに最初に爆撃を行った高橋赫一氏の逸話と共に、彼の妻や幼き子供の事も紹介しています。
  • 特攻第一号(実際にはその前に突撃した兵がいるそうです)の関行男氏の逸話と共に、あとに残された新妻の事や母親の事を調べて書いています。
    彼の「どうして自分が選ばれたのか、わからない」という台詞が辛いです。
  • 人間棺桶と称された特攻兵器桜花を擁した特攻部隊を率いた野中五郎氏、英雄譚だけでなく人間として感情豊かな様子を描いています。
  • 最後の特攻部隊を率いることになった中津留達雄氏、彼の逸話と共に、残された妻と幼子、そして家族の逸話も紹介されています。
    彼の「僕は死に急ぎません」という台詞について解説すると共に、玉音放送後の出撃の謎についても触れています。

他にも多くの若者達の心の叫びが詰められています。

 

『指揮官たちの特攻 ~幸福は花びらのごとく~』は読むべき本

いつものように、おススメ度は●●点!などと気軽に書くことは出来ません。

昔のことに興味が在る無しとか、または日本人かどうか等は関係ありません。
人間として一度は読むべき本だと思います。

読んだ上でこの本をどう評価するかは、その人間の育った環境や文化、考え方に左右されると思うので、否定も肯定も出来ないと思います。

ただし、一度は手にとって読んで欲しいです。

 

指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく (新潮文庫)

指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく (新潮文庫)

 

 

『指揮官たちの特攻 ~幸福は花びらのごとく~』読後の感想

10年以上前に九州旅行へ行く際、今は亡き祖母に「どうしても行って手を合わせてきて欲しい」と頼まれ、途中で知覧特攻記念館に立ち寄りました。(祖母は、手を合わせて欲しい理由については最後まで教えてくれませんでした。)

www.chiran-tokkou.jp

あの時、私はそこがどういう場所か深く考えずに訪れました。その私に突きつけられた膨大な手紙の数々。私は若者達の心の叫びに圧倒され、その夜、熱を出して寝込んだことを思い出しました。

この本を読みながら、あの時の心の戸惑いを思い出しました。
あの頃の自分は、目の前の事実を理解することが出来ず、彼らの心の叫びから逃げるようにして退館しました。

今回、40過ぎて初めてこの本を読んだ訳ですが、年月を重ねてきた分だけ咀嚼しながら読むことが出来ました。
この本に出会ったのか、今で良かったと心から思いました。

読みながら、もっとも心に残ったことを3つ取り上げます。

 

どれだけ戦争が人を狂わすのか改めて実感

著者が何度も書いているように、特攻兵器を考案した人間も、採用した人間も、命令した人間も狂っているとしか言いようがありません。

航空機やモーターボートで特攻するという考えですら信じ難い暴挙なのに、以下の3つの兵器は人が死ぬのを前提に作られた兵器であり、読んでいるだけで怒りと吐き気がこみ上げてきます。

  • 人間棺桶と称された桜花
  • 人間魚雷と称された回天
  • 人間機雷と称された伏龍

自分と同じ日本人が、こんな兵器を発案し、人の命を奪ったとは信じ難いです。
ですが、日本だけではなく、世界各地の軍隊で戦争のたびに信じ難い暴挙が繰り返されている事を思うと、人間と言う生き物の心に潜む「残虐性」に恐怖を感じずにはいられません。

 

先の戦争の犠牲者は日本人だけではない

本書の中に、特攻機を撃墜した米軍の艦艇がパイロットを救った話があります。
救われたパイロットは、戦争を生き延び、戦後に自分を救ってくれた艦艇の乗組員と再会する話です。
どんなに心が荒む戦場であっても、の心を失わない人も居るのだと言うことがわかります。

ですが、自分はその話の中に書かれている別の側面が気になってしまいました。

パイロットを救った艦艇の名前は米軍の駆逐艦キャラハンでした。
このキャラハンですが、後日、別の特攻機に攻撃されて沈没してしまうのです。
本書の中ではその事実のみしか書かれていません。
そこで、この事件について調べてみたら次のような事が判りました。

特攻機が猛烈な対空砲火を耐え抜けたのは、近接信管が木製の機体に対しては作動しなかったためだった。乗員は機関室の消火・復旧作業に全力を尽くしたが、やがて火災は近接の弾薬庫に引火、0235時に47名の乗組員とともに沈没した。

キャラハン (駆逐艦) - Wikipedia

重要なのは「47名の乗組員とともに」の部分です。

特攻機のパイロットはもちろん犠牲者です。
ですが、特攻された米軍艦でも兵士が47名が亡くなっています。

それを知った時、私はこう思いました。
特攻を命じた指導者達は、信じ難い攻撃方法を命じられた日本の若者の命を奪っただけでなく、「人間が行うとは信じ難い攻撃」に晒された敵兵の命も奪ったのだと言う点に思い当たりました。

戦争は、勝者にも敗者にも悲しみを生み出すのです。

 

神雷部隊を率いた野中大尉の手紙

人間棺桶と称された桜花が主要特攻武器であった神雷部隊を率いた野中氏の話が印象的でしたので取り上げたいと思います。

野中氏は、元来が鈍足な一式陸上攻撃機が重い桜花を牽引すれば更にスピードが出ず、目標である敵艦隊まで辿り着くのは困難であると考え、せめて十分な護衛戦闘機を同行させるように要求します。
しかし、その願いは叶わず、目標に辿り着く前に全て牽引した桜花と共に全ての一式陸上攻撃機も撃墜されてしまうのでした。

この野中氏のくだりを読んでいたら、以前、テレビで野中氏の事を見た記憶があったのでネット内を検索をすると、生前の彼が息子に当てて書いた手紙のエピソードが見つかりました。
本書ではこの手紙の件は触れていませんが、心を打つ文章なので引用します。

 

愛児への手紙
ぼー まいにち おとなちく ちてるか おばあちゃまや おじちゃまが いらっちゃるから うれちいだろう
おたんじょうび みんなに かわいがられて よかったね おめでとう おめでとう
おとうちゃまは まいにち あぶーにのって はたらいている
ぼーが おとなちくして みんなに かわいがられているときいて うれちい
もうちょろちょろ あるかなければいけない はやくあるきなちゃい
おかうちゃまの いうことをよくきいて うんと えいようをとって ぢょうぶな よいこどもに ならなくてはいけない
ちゅき きらいのないように なんでも おいちいおいちいってたべなちゃい
でわ さようなら おとうちゃまより ぼーへ

引用元)神雷部隊/野中五郎

 

さいごに

本書の最後は、藤井眞冶氏の母の話で締めくくられています。
103歳まで生きた彼の母は、最後まで次のように言い続けたそうです。
『そんなことは無いと、わかってるんだけど、それでも何年かかかって帰ってくるきがするの』

 

本書の読了後に頭に浮かんだのは・・・
「大切な人と一緒に過ごす時間を大切にしたい。」
心からそう思いました。

 

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