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未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『ダウン・ツ・ヘヴン』を読んだ!



ダウン・ツ・ヘヴン(著:森博嗣)を読んだ!

第1作目の『スカイ・クロラ』は多くの謎を抱えたまま終了したので、モヤモヤしたまま第2作目の『ナ・バ・テア』に突入しました。

『スカイ・クロラ』を読んだ! - lands_end’s blog

『ナ・バ・テア』を読んだ! - lands_end’s blog

正直、『ナ・バ・テア』は3分の1を読み終えるまで、何度も挫折しそうになりました。
だって、あまりに「不親切な作り」なので・・・。
それでも、投げ出さずに読み進めたことで、少しは「スカイ・クロラ」の世界観を理解できた気がしました。

世界観が見えた勢いに乗って、第3作目『ダウン・ツ・ヘブン』を読み始めました。

第2作目で多少の免疫はついたと思っていたのですが、やっぱりこの第3作目でも「不親切な作り」に何度も挫折しかかりました。
どうやら、私はこの「不親切な作り」に慣れることはなさそうです。

『ダウン・ツ・ヘヴン』を読み終えましたので感想をまとめておきます。

 

『ダウン・ツ・ヘヴン』のあらすじ

あらすじ・・・とは書いたものの、この第3作目は第1作目の「スカイ・クロラ」と同じく、あらすじを書くのが難しいです。
かといって、この「スカイ・クロラ」シリーズは、あまり要約して書くと、細部に宿る仕掛けの説明が上手くできません・・・。
なので、この第3作目も、あらすじ以下、要約以上の形でまとめてみました。

あ!
ネタバレ含みますので、未読の方はお気をつけ下さい!!

 

第2作『ナ・バ・テア』に引き続き、主人公はクサナギになります。
ただし、相変わらず「1人称」は「僕」のままです。

ティーチャが去った基地で「僕」を超えるパイロットは存在せず、「エース・パイロットとしての僕」の価値は日々高まっていきます。

しかし、ある出撃において「僕」は負傷してしまいます。
敵機を撃った後、もはや反撃は出来ないだろうと考え、興味本位で「僕」は敵機に近づき、コックピットのキャノピー越しに「敵」を覗き込みました。
すると、その敵は最後の力を振り絞って「僕」の方へ機首を向けて射撃してたのでした。油断していた「僕」はその射撃をかわせず、被弾してしまうのでした。

墜落しそうな機体を必死に操りつつ、「僕」は基地を目指したのですが、途中で力尽きて不時着することになりました。

幸い、命に関わるような怪我を負うこともなく、直ぐにも復帰出来ると思っていたのですが、なかなか退院の許可がおりませんでした。
なぜなら、「僕」に商品価値を感じ始めていた会社は、戦闘で「僕」を失うことに危機感を覚え、出来ることなら地上勤務に異動させたいと考え始めていたからでした。

悶々と病院で過ごす「僕」は、幼少のころに見た景色を思い出します。

天空を切り裂くように飛び去る小型戦闘機。
いつか、自分もあれを手に入れて戦う・・・。

それが「僕」の原点でした。

この、病院で軟禁生活を過ごしていた「僕」が出合った少年とのやりとりは、読み手を混乱させます。私も混乱しました。

なんとか退院させてもらった「僕」ですが、希望通りに実戦部隊への復帰を果たすことは叶いませんでした。

「僕」に与えられた任務は、新人パイロット研修でした。
「僕」は、彼らの教育に使うために、カメラを積んで飛びます。
どんな形であれ、空へ上がれることは「僕」の気持ちを楽にしますが、反面、地上に降りる度に苦痛を感じる日々でもありました。

そんな日々に苦しむ「僕」は、鬱屈した想いを抱えつつ、新人パイロットたちに向けて演説します。
その演説を聴いた会社の人間は、「僕」に更なる可能性を感じたようでした。

そしてまた、病院で出会った少年が今度は新人パイロットとして「僕」の前に現れます。そして、ここでも奇妙な関係が築かれ、読者は混乱します。

新人パイロットの研修の日々に耐えられそうも無くなった時、「僕」に新たな任務が言い渡されました。
それは、とある都会の基地に移動し、街の上空を低空で飛行するというモノでした。
しかも、ただ飛ばすのではなく、「敵機との戦闘を行え」という指令だったのです。

多くの人間が生活する頭上で、危険を顧みずに低空で戦闘を行わせる会社の意図が掴めずに、「僕」は戸惑いを隠せずにいました。
すると、情報部の人間はある場所へ「僕」を連れて行くのでした

そこには「敵」がいました。それは、かつて「ティーチャ」と呼んだ男でした。

「僕」は彼との再会を喜び、戦闘当日は全力で戦うことを誓います。
そして、万全の状態で「テイーチャ」と戦うために、無理を言って以前の基地から整備士の笹倉を連れてきてもらうのでした。

「僕」は、万全の整備の元で決闘の日を迎えられると喜びますが、戦闘の直前に「僕」は三度、あの少年に会います。
彼は「カンナミ」と名乗ります。
(説明はないが、おそらく、第1作の主人公・カンナミと思われます)
夢の中で出会ったカンナミは、「僕」に謎の台詞を呟くのでした。
「僕は、あなた以外じゃない」

「ティーチャ」との戦闘は苛烈を極めます。
何度も、何度も、照準に捉えたと思い射撃しても、何故か弾が当たりません。
やがて・・・
「僕」はティーチャに後ろにつかれてしまいます。
撃墜されるのを覚悟した「僕」は・・・

 

ここから先の結末は伏せることにします。
是非、本書を読んで確かめてください。

 

BOOKデータベースの紹介文

amazonの書籍紹介に使われている「BOOK」データベースによる、『ダウン・ツ・ホブン』の内容紹介は以下の通りです。

子供はみんな、空を飛ぶ夢を見るのだ。飛べるようになるまで、あるいは、飛べないと諦めるまで―戦闘機に乗ることに至上の喜びを感じる草薙だが、戦闘中に負傷し入院、空を飛べぬ鬱屈した日を過ごすことに。組織に守られる存在となりつつある自分になじめないままに。そしてある日「少年」に出会う。

この内容紹介、読む前だと何のことやらサッパリですが、シリーズ全巻を読み終えた後だと、けっこう理解出来ます。

 

『ダウン・ツ・ヘヴン』のおススメ度はいくつ?

「スカイ・クロラ」シリーズは、単体では採点が難しいです。
なので、第1・2作と同様に、3パターンで採点しました。

●物語の背景や世界観を全く知らずに読んだ場合
おススメ度は60点

『ダウン・ツ・ヘヴン』だけでは謎だらけになりますが、最後の空戦シーンや、最後のドッキリは、それなりに楽しめるかも・・・。

●多少、物語の背景や世界観を知って読んだ場合(ただし未読)
おススメ度は40点

『ダウン・ツ・ヘヴン』は、中途半端に知識があると、余計に混乱するかも。
よって、この巻だけ単体で読むのはお勧め出来ません。

●シリーズ6冊を1度読みきったことが有る人の場合
おススメ度は75点

「僕」であるクサナギとティーチャの関係が、とても感慨深く感じます。
そして、クサナギの「喜び」と「怒り」の感情を、初読の際にはシンパシーを感じませんが、2回目以降なら強く共感出来ると思います。

 

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『ダウン・ツ・ヘヴン』をおススメする人、しない人

おススメできる人は次の5点のどれかに合致する人です。

  1. 森作品なら無条件で読みたい人
  2. 時間をとってこの本を読める人
  3. 理解出来ない専門用語の多用に耐えて読みきれる人
  4. 1度、シリーズ6冊を読みきった人。
  5. ミステリーが好きな人

逆におススメしない人は、上記5点に該当しない人です。

この第3作も、相変わらず空戦シーンでは専門用語が飛び交います。
でも、その1つ1つの意味を追い求めて読むリズムを崩すよりは、意味はさておき「リズム良く読むとを重視」した方が良いと思います。

 

『ダウン・ツ・ヘヴン』を読み終えて感じたこと

読み終えて感じたことをまとめます。
この部分でも若干ネタバレ気味ですので、未読の方はお気をつけください。

 

前半は疑問点が多すぎて苦痛

その1
怪我で入院したのはわかるが、何故に退院が引き伸ばされるのか謎です。
後々、理由は判りますが・・・。

その2
病院で出会う少年(?)も登場が唐突過ぎて、あのタイミングで出てきた必然性が理解出来ない。
「あなたは、有名なパイロットです」って台詞がいきなり出てくるのも???
しかも、その少年とキスする?
WHY??って感じでした。

その3
その1の謎が判ると、教官の立場になるのは判らなくもない。が、それならば、その後に「ティーチャ」と空戦をさせる理由が謎です。
確かに、死なないように細工された戦闘だったけど、プライドが高い「僕」が自ら命を絶つ可能性は考えなかったのか?

 

私が余計なことを気にしすぎなのかしら?

 

航空機関連の専門用語が多過ぎるが・・・

普通は見慣れない(聞きなれない)用語のオンパレードです。

ラダーとかフラップとか・・・
インメル・・・ターンとか・・・

都度都度、その意味が判らずに引っ掛かっていたら、読み終えるのは不可能です。

これらの専門用語は、空中戦や飛行中の描写に使われています。そして、その記述はとても短いセンテンスになっています。
なので、敢えていちいち意味を調べず、リズミカルに読むことで、なんとなく・・・本当になんとなくですが、大空を飛んでいる気になったのは、私だけでしょうか?

 

この『ダウン・ツ・ヘヴン』は重要な巻なのだと思う

全6冊のシリーズを2回読み、記事を書くために色々と考えていたら気付いたのですが、多分、この『ダウン・ツ・ヘヴン』は「スカイ・クロラ」シリーズの世界を知るために重要な巻だったのではないか?ということです。

キルドレは成長しない。
子供のまま。
しかし主人公の「僕=クサナギ(キルドレ)」は変わらざるを得ない。

好きなだけ飛んでいたいのに飛ばしてもらえない
好きな(憧れ)の人との別れと再会とそして再びの別れ
信頼する人々との関係は永遠ではない
(例えば整備士。結果的にクサナギを騙したから)

不変のキルドレもとある外的な要因で変わるのだ!

と言うことをこの巻では暗示していた・・・のかも?
と、2周目にして思っています。

間違っているだろうか・・・。

 

タイトルの英語表記『Down to Heaven』の意味と表紙の詩について

タイトルは『ダウン・ツ・ヘヴン』
英語では『Down to Heaven』となります。
直訳すると「天国へ墜ちる」

「???」
天国ってのは空の上にある物だと思っていたのだが?


今回の表紙の詩は以下の通りです。

真っ黒な澄んだ瞳。
その中に、空がある。
そこへ堕ちていけるような。

この詩を読むと、Heavenってのは天国ではないのか?と思い、英語辞書を調べたら、次のような説明がありました。

to heaven
ぜひとも(~できればと願う)

この訳を見て感じたのは、「ティーチャ」と戦っていた僕が、とある事実を知った後に「空」から地上に向って墜ちていったシーンです。

雲の中へ突っ込み、視界が奪われたあのシーン・・・
「何処か?もしくは何か?に墜ちたかったということ」なの?

違うかなぁ・・・
いや~難しい。

 

『スカイ・クロラ』シリーズのその他の感想文

シリーズを刊行順に並べると以下の通りです。

  • 「スカイ・クロラ」 The Sky Crawlers
  • 「ナ・バ・テア」 None But Air
  • 「ダウン・ツ・ヘヴン」 Down to Heaven
  • 「フラッタ・リンツ・ライフ」 Flutter into Life
  • 「クレィドゥ・ザ・スカイ」 Cradle the Sky
  • 「スカイ・イクリプス」 Sky Eclipse

現時点では、第1作~3作まで記事にまとめおえました。
お時間がありましたら、是非、覗いてやってください。

「スカイ・クロラ」の感想文はこちらから

www.road-to-landsend.net


「ナ・バ・テア」の感想文はこちらから
www.road-to-landsend.net

 

第4作品目「フラッタ・リンツ・ライフ」の記事も公開しました。

www.road-to-landsend.net

 

 

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