ゼロの激震(著:安生 正)を読んだ!
安生さんのゼロシリーズ。
第1作「生存者ゼロ」を本屋で見つけ、何となく気になってモノは試しと読んだ時の衝撃は忘れない。
面白くて、怖くて、気になって、途中で読み止める事が出来なくて、途中から一気に読み切った記憶があります。
『生存者ゼロ』を読んだ! - lands_end’s blog
その後、ゼロシリーズの続編があると知り、「ゼロの迎撃」を読んだ。
読んでみたら、ゼロと言う名前は付いているけど、正確には続編ではないことを知り、けっこう残念に思った記憶があります。
また、本の内容そのものも、1作目のような意表を突くテーマでは無かったので、衝撃度は薄かった記憶があります。
『ゼロの迎撃』を読んだ! - lands_end’s blog
そしてこの第3弾・・・
ゼロとは名前が付くけど、やはり前作から登場人物が引き継がれている訳ではないようである。
登場人物も、背景も、一新してのゼロシリーズ。
今回のテーマは、どんな風に度肝を抜いてくれるのか?
なんとなく・・・タイトルから何が起きるのか想像が出来るのが、読む前から心配ではありましたが・・・。
『ゼロの激震』を読み終えましたので、感想をまとめます。
『ゼロの激震』の1分で読めるあらすじ
近未来の日本が行う、エネルギー開発が物語の発端となります。
東京湾浦安沖の人工島において、プレートをぶち抜きその下のマントル層までくり抜く立坑掘削を行います。その深さ、なんと50キロ。
人類史上初めて、地球の深部で行われたこのエネルギー開発事業は、多くの苦難の末に竣工し、原発20基分のエネルギーを手にすることになるのでした。
人類を救うと思われたこの画期的な新エネルギーシステムでしたが、何気ない行為から、かつてないカタストロフィーを引き起こすことになります。
日本壊滅寸前まで追い込まれた行為とは何か?
何が日本を壊滅寸前まで追い込むのか?
本書を読んでお確かめください。
『ゼロの激震』の10分はかかるあらすじ
2020年代、自前のエネルギー資源に苦しむ日本は、あるエネルギー開発に乗り出します。
それは、東京湾の浦安沖に建造された人工島において、日本列島の下で折り重なる3枚のプレートをぶち抜き、その下に位置するマントル層まで、深さ50キロに及ぶ立坑掘削を行うというものでした。
その工事の目的は、自然を利用して膨大な電力を発生させることでした。
マントル層までくり貫いた巨大な縦杭に、人口島の周囲から引き込んだ海水を流し込みます。流し込んだ海水が、マントルの高温で瞬時に蒸発する際に発生する蒸気を利用して、タービンを回して電力を得る!という設計になっていました。
この電力事業で得られるエネルギーは、原発20基に匹敵するものであり、その上、核廃棄物も二酸化炭素も排出されない、まさに夢のシステムでした。
人類を救う夢の事業を成功させるためには、人類史上初めてマントル層まで掘削する必要があり、その難工事の現場責任者に選ばれた人物・木龍こそが、この物語の主人公となります。
木龍と彼が率いる工事関係者は、人知の及ばぬ地中深部において、予想を超える困難に苦しむことになります。
苦難の連続の末に、ついに起きてしまった重大事故。
その際、多数を生かすために同僚を見殺しにせざるを得なかった木龍は、責任を取らされる形で現場を負われるのでした。
木龍は心に傷を負い、現場とは一線を引いてしまうのでした。
木龍が去ったあとも数々の苦難に苦しめられますが、ついに新エネルギーシステム(通称・バベルシステム)は完成します。その画期的なシステムは、日本を、そして人類を救う画と注目を集めるのでした。
日本としては、この新システムを輸出することで利益を得ようとしていました。
そんな矢先、関東北部で異変が始まるのでした。
- 史上類のない規模で発生した峠の崩落事故
- 足尾市を全滅した原因不明の事件
この2つの事件は、実は個別に発生した天災ではなく、連動して起きた災害であることに気付いた木龍の恩師・奥寺は、この恐るべき災害を止めるには、木龍の力が必要であると政府に訴えるのでした。
奥寺の要請を受けた政府ですが、心に病を得て現場から退いた技術者に、日本の運命を託すことに政府は躊躇します。
しかし、富岡市で突如として地中からマグマが噴出し、一瞬のうちに街が全滅した報を受けて、ついに、木龍を招聘して災害対応に当たらせることを決断するのでした。
奥寺は、木龍が招かれた会議において、関東北部で何が起きているのか明かします。
それは・・・、
誰もが予想しなかった事態でした。
関東北部において突如として地殻変動が起き、東京方面へ向って膨大なマグマが流れていると言うのです。
俄かに信じがたい話ですが、上尾の火山ガス噴出、富岡のマグマ噴出は、彼の説を十分に裏付けるものでした。
この自然の驚異の対抗するため、木龍達は秩父の廃坑を利用することにします。
マントル層まで掘り抜いた掘削技術を使って、可能な限り地中深部まで縦穴を掘り、そこへマグマを誘導する考えでした。
緻密な計算も、周到な準備も出来ないまま、掘削作業を始める木龍達でしたが、困難を乗り越え掘削を進めていきます。
しかし、彼らの努力は自然の驚異の前に脆くも打ち砕かれます。
想定以上の速さで地中を進んだマグマは、秩父山麓の下で巨大なマグマ溜りを作り、廃坑あとを噴出口にして一気に地上へ噴出します。
大規模な山体崩壊を誘発した火山噴火は、埼玉県西部を壊滅させてしまうのでした。
この事態を受けて、ついに政府は国民に何が起きているのか発表します。
突然発表された事実に対し、関東近辺に住む人間の反応は薄く、避難をすぐに行いませんでした。
しかし、都心の新宿においてマグマが噴出し、あっという間に高層ビル群が猛火に包まれていく惨状を目の当たりにすると、慌てて避難を開始するのでした。
その後、奥寺や木龍らによって、今回の災害の原因が明らかにされます。
この災害は自然災害ではなく、人災だったのです。
そして、この災害の結末は日本、ひいては世界崩壊に繋がりかねないものでした。
圧倒的な自然の力の前に、成す術を失っていた政府は、木龍達のアイデアに一縷の望みを託すことにします。
それは、浦安沖の人工島で地中50キロまで掘削されている縦杭までマグマを誘導し、マグマを噴出させてガス抜きを行うことで、関東平野を失っても、北日本や西日本を救い、世界を救うという試みでした。
人類を救う使命を胸に、木龍達は地中50キロの深部へ向うのでした。
- 彼らの作戦は成功するのか?
- 都心や関東はどうなるのか?
- 日本や世界は救われるのか?
結末は、本書を読んでお確かめください。
『ゼロの激震』のおススメ度はいくつ
おススメ度は65点です。
第一弾は80点、第2弾は75点、そしてこの第3弾は65点・・・。
下がってしまいました。
世の中の評価は高いし、面白い本であることは判ります。
ただ、自分的には65点の評価です。
『ゼロの激震』をおススメする人は?
- ゼロシリーズを読んでいる人
- パニック物が好きな人
- 緻密にプロットが組まれ、専門用語で固められた話が好きな人
難しい専門用語が苦になるか、ならないか?
そこが、この本を楽しめるかどうかの一つの分岐点だと思います。
『ゼロの激震』をおススメしない人は?
- パニック物が嫌いな人
- 人が無残に殺される描写が嫌いな人
- 専門用語が満載された小説が苦手な人
勢いとか、流れとか、雰囲気とか・・・
そういう小説が好きな人は、頭が痛くなるかも知れません。
『ゼロの激震』の読後の感想
読んでいて、中盤までは「予想以上に面白い!」と言う印象でした。
ただ、若干、専門用語が多すぎて苦労してはいました。
しかしながら、中盤以降において、身近な街が全滅して人々が次々と死んでいく様や、災害の原因を登場人物達が専門用語で語りあっているシーンを読み進めるうちに、だんだん読み進めるのが苦痛になってしまいました。
さらに終盤では、ハリウッド映画のようなヒーロー賛歌の匂いが強くなり、ちょっと胃もたれをしてしまいました。
最後まで、面白いと読めず、残念です。
私は、パニック物は身近に起こりえるものは苦手かも
これは完全に主観ですが、パニック物は身近に起こりえる可能性が高ければ高いほど、エンターテイメントとして楽しめなくなるような気がします。
例えば、第1作の要因は、「まじか!」と驚きをもって楽しめました。
現在の日本で絶対に起こらないとは言いませんが、ほぼSFですよね。
第2作の要因は、起こりそうだけど、多分起こらないだろうレベルの話でした。
でも、この3作目の要因。
日本では、地震、火山、水害などの被害は、かなりの確立で自分の身にも降りかかる可能性が高いと思うのです。
それだけに、読み進めれば読み進めるほど、背筋が薄ら寒くなり、読み物として楽しめなくなってしまう自分がいました。
その他の安生作『ゼロシリーズ』の紹介
好みの問題なのでしょうが、私的には先に述べた理由もあって、第一弾が一番楽しんで読むことが出来ました。
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