わたしを離さないで(著:カズオ・イシグロ)を読んだ。
先日、日本生まれの英国人作家がノーベル文学賞を獲得!
としてイシグロさんの事がテレビで一斉に報道されました。
私は、文庫が発売された2008年に一度読んだ事がありました。
個人的な感想は「面白くない」でした。
それゆえ、2016年1月に綾瀬はるか主演のドラマが放送されると知ったときに、とても「危惧」しました。
そしてその危惧は現実のものとなり、悲しい想いをしました。
今回、ノーベル文学賞を受賞されたとのことで、改めて読み返してみました。
読み返した結果ですが、素晴らしい賞を受賞された後でも、私の最初の感想は変わりませんでした。
『わたしを離さないで』の感想をまとめます。
『わたしを離さないで』のあらすじ
「提供者」のための「介護人」という仕事を11年続けているキャシー・Hという女性が主人公です。介護人としての実績も経験も十分で、彼女が介護した提供者がトラブルを抱えることは殆どありませんでした。
彼女はヘールシャムという施設の出身者でした。人々にヘールシャム出身であることを伝えると聞いた人は複雑な表情を浮かべるものでした。
長年介護人を続けてきた彼女にとって、ヘールシャム出身の仲間であり、「提供者」でもあったトミーやルースと過ごした日々が終わりを告げると同時に、自分の使命も終わりを迎えると考えていました。
彼らが生まれ育った施設・ヘールシャムでは、「保護官」と呼ばれる先生たちによって教育を施されていました。
健康診断や図画工作の時間など、そこで過ごした時間は奇妙なことばかりでした。
施設を出ると子供たちは、それぞれ数名のグループに分かれて研修所へ送り込まれるのでした。そこではヘールシャム出身だけなく、他の施設出身の人と一緒に暮らすことになるのでした。
そして、彼らは人間らしき生活を真似て過ごすのでした。
働いたり、食事を作ったり、喧嘩したり、恋愛したり・・・短い日々に凝縮された人としての生活・・・。
一定の期間をそこで過ごすと、彼らは研修所から旅立っていきます。
- ある人は「提供者」として・・・
- ある人は「介護人」として・・・
いずれにしても、「彼らの使命が終わるまで」生かされ続けることになります。
11年に渡って「介護人」を続けてきたキャシーは、同じ施設で生まれ育った最後の仲間を見送り、自分にも「最後の使命」を果たす時が来たことを悟るのでした。
そして、自らが進むべき「場所」へ向かうのでした。
『わたしを離さないで』のオススメ度はいくつ
オススメ度は65点です。
この作品・・・
凄い難しいです。
読み手の読書力を試されるというか・・・
人によっては理解しがたいと思います。
私も彼の作品の良さを理解できない一人みたいです。
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『わたしを離さないで』をオススメする人
- 話題の本をとにかく読んでおきたい人
- 文章の美しさを楽しみたい人
- 少しずつ少しずつ物語の核心に迫る文章が好きな人
『わたしを離さないで』をオススメしない人
- あまり骨太な小説を読むのが好きではない人
- 臓器移植などの話を読みたくない人
- 速読しかしない人
『わたしを離さないで』の読後感
2008年に一度読んだ時の評価はもっと低かったです。
9年経って再読した訳ですが・・・
評価はあまりよくなりませんでした。
少しだけ、読書力が上がって理解出来るようになったのかも知れません。
読後に感じたことをまとめます。
私には良さが判りませんでした
カズオ・イシグロ作品の凄さとして、「文体」が凄いと聞きますが、自分にはその凄さが判りませんでした。
確かに、言葉の選び方、会話のリズム、表現方法などは独特であると思います。
ただ、絶賛される凄さを理解することは出来ませんでした。
2度目は読む楽しみが激減する
今回、再読になった訳ですが、この本は再読には合わないと思います。
- 「介護人」って何?
- 「提供者」って何?
- 「提供」って・・・まさか・・・。
得体の知れない世界が少しずつベールを剥がされていく、一種、ホラーに近いゾクゾクする恐怖感。
自分が想像する最悪の結末が刻々と現実になっていく高揚感。
それが、2度目だとありません。
だから、この本の紹介では一切のネタばれは省きました。
普段はあらすじももっと詳細に渡ってまとめますが、結末(というか最後)を知ってしまっては楽しめないと思いますので割愛しました。
これから読む方には、再読は無いので、1回目にじっくりと時間を掛けて読むことをお勧めします。
英国人に『わたしを離さないで』の原本(英語)で読むことを薦められました
この本のドラマが放送されている頃、仕事でたまたま知り合った英国の方と『わたしを離さないで』の話をした際に、是非、原本で読む事を勧められました。
その人が言うには「英訳された村上春樹は面白くない」そうです。
苦労したけど日本語で読んで初めて、彼の世界が良く判ったそうです。
だから、私も『わたしを離さないで』を原本で読むべきだと薦めてきました。
また、読む際にいちいち単語を辞書で引くなと言われました。
ひと塊を読んでから、わからない単語を確認したほうが良いと言われました。
その方が言うには、ネイティブ以上に英語の使い方や用い方に気を使っているから、美しい文章になっているし評価されていると話していました。
読んでみたい・・・
けどなぁ・・・英語ねぇ。
- 作者: Kazuo Ishiguro
- 出版社/メーカー: Faber & Faber
- 発売日: 2011/12
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ドラマでやるには重過ぎる内容で低視聴率
前にもちょっと触れたことがありますが、私は「綾瀬はるか」がかなり好きです。
なので、このドラマの主演を演じると知って、期待よりも心配の方が強かったことを覚えています。
なぜなら、本を読んだことがある人間としては、この話はどうアレンジして演じたとしても、一般的なドラマ向けの話とは思えなかったからです。
ドラマは金曜夜10時から放送されていました。
- 1週間仕事を終えて家に帰って・・・
- はぁ~疲れた~と風呂を浴びて・・・
- ビール片手に気軽にドラマを観る・・・
そんな内容では無いですよね。
そして案の定、視聴率はダダ下がり(平均視聴率6.8%)、起死回生を狙い綾瀬はるかに体当たりで渾身の捨て身ギャグまでやらせる始末・・・。
私的には最悪のドラマという印象でした。
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