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未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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漫画『チェーザレ 破壊の創造者 第7巻と第8巻』を読んだ!



チェーザレ 破壊の創造者(作:惣領冬実)を読んだ❗

歴史好きの方には是非読んでもらいたい、私のおススメ歴史漫画を紹介します。

特に西洋史が好きな方は必読です。

漫画ではありますが、作者が時間を掛けて時代考証を重ねて描いているので、漫画の枠を超える漫画です。
チェーザレは2017年2月現在11巻まで発表されています。
今回紹介します、第7・8巻は中世ヨーロッパ史を語る上では外せない歴史的事象が描かれています。

 第1・2巻、第3・4巻、そして第5・6巻の紹介記事はこちらをどうぞ。

漫画『チェーザレ 破壊の創造者 第1・2巻』を読んだ! - lands_end’s blog

漫画『チェーザレ 破壊の創造者 第3巻と第4巻』を読んだ! - lands_end’s blog

漫画『チェーザレ 破壊の創造者 第5巻と第6巻』を読んだ! - lands_end’s blog

 

 

『チェーザレ 破壊の創造者 第7巻』のあらすじ

ピサ大聖堂で行われる、聖夜の描写から始まります。
西洋世界にとって『主の降誕の儀式』が如何に重要なのか、画から伝わってきます。

ミサが終了した後、チェーザレは、ピサ大聖堂にあるハイリンヒ7世の墓の前に立ち尽くしていました。
皇帝の棺に彫られている使徒の人数が11人である理由を、ピサ校に招いた教授から聞き出します。

  • ハインリヒ7世とは何を成し遂げようとした皇帝だったのか?
  • 教皇派の人間であったダンテが、なにゆえに皇帝派のハインリヒ7世の墓を作るように、働きかけて実現させたのか?

教授の話に続き、チェーザレ自身の歴史解釈が開帳されます。

  • 皇帝と教皇の権力闘争(いわゆる叙任権闘争)が何故起きたのか?
  • カノッサの屈辱(11世紀)とは、誰の何の為の闘争だったのか?
  • フランスのフィリップ4世による『教皇のアヴィニョン捕囚(14世紀)』
  • 神聖ローマ皇帝となったハインリヒ7世の事跡について
  • 『帝政論』でハインリヒ7世を絶賛したダンテが望んだこと

中世ヨーロッパ史を学ぶ上で重要であるが故に難解であり、
学生に挫折を強いる時代の話が、とても判りやすく描かれています。

 

『チェーザレ 破壊の創造者 第7巻』の3つのみどころ!

その1 ピサ大聖堂のミサの描写

冒頭数ページに渡ってカラーで描かれています。
美しく、おもわず息を止めてしまうほどです。

 

その2 後半のチェーザレの台詞

何が正しくて正しくないかなど本当のところはわからないのだ
そうだ私にはわからぬ・・・

わからなくて当然だ 人間なのだから
全てを知っているのは神だけだ

 

その3 ハインリヒ7世の墓に彫られた使徒の人数

漫画の中では11人しか居ないと語られています。
実際、英語版のWIKIには11人しか彫られていない様子が掲載されています。

Henry VII, Holy Roman Emperor - Wikipedia

 

ところが、現在は使徒が12人いるそうです。
(個人の方のサイトにリンクさせてもらいました)

巻末にて作者が、『いつの間にか使途の人数が12人・・・』
と書いてます。
気になって色々とネットで探索していますが、
この回答は今のところ得られていません。

見つけたら、改めて書き込みます。

 

『チェーザレ 破壊の創造者 第8巻』のあらすじ

1492年1月2日、『グラナダの陥落』で8巻の幕は上がります。

スペインからイスラームを駆逐したことによって、ローマではチェーザレの父・ロドリゴが勢力を伸ばし、対抗馬であるローヴェレ枢機卿との教皇を巡る対立が激しくなっていきます。

チェーザレは父の援護射撃のために、ボルジア家と同盟を結んでいるフィレンツェのメディチ家とピサのラファエーレ枢機卿の仲を取り持つために、ラファエーレ枢機卿に同行してフィレンツェへ向かいます。

フィレンツェに到着したチェーザレは、街中でドメニコ会のジローラモ・サヴォナローラと出会います。
ジローラモは、チェーザレが若くして司祭になったパンプローナで、市民が暴動を起こしたことを持ち出しし、暗にチェーザレの御曹司的立場を揶揄します・・・。
それに対するチェーザレの回答は

『パンプローナでのことは私も遺憾に思う』
中略
『パンプローナ市民もいずれは私を誇り思い 私もまた必ずその期待に応える』
『何故なら これが 私に与えられた運命だからだ』

 

アンジェロの怪我が治ると、チェーザレに同行しなかったスペイン団の居残り組みが、アンジェロの快気祝いを開催します。
飲み会の後で、彼らがアンジェロを連れて向かうのは・・・。

 

メディチ家主催の晩餐会で、ロレンツォは敢えて1478年のパッツィ家の陰謀の話しをします。メディチとラファエーレの間に生じた溝を隠すことなく話すことで、事件に真相は知らずとも関わってしまったラファエーレに対し、恨みは乗り越えたことを示しつつ、牽制の姿勢もみせつつ・・・。

パッツィ家の陰謀への対応を巡って、フィレンツェは教皇庁と対立することになります。その結果、教皇派のナポリ軍に攻められ陥落寸前まで追い込まれます。

この時、ロレンツォ自らがナポリ王の下へ向かい、ナポリ-フィレンツェ-ミラノ三国同盟を成立させ、危機を回避させたことが語られます。

晩餐会でこの話を聞いていたチェーザレは、
今のイタリアを支えているのはロレンツォの手腕だと改めて実感するのであった。

しかしその後、バルコニーに立って市民に語り掛けていたロレンツォの身体に触れた時、彼の身体に起きている異変に気付き、今後のボルジア家とイタリアの行く末に思い悩まされることになるのでした。。

 

8巻の終盤、ボルジア家の対抗馬であるローヴェレ枢機卿が何故に異常なほどにボルジア家に対抗するのか?
どうして、狂おしいまでに権力を渇望するのか?
その原点となった、『彼の幼き日の体験』が描かれています。

 

『チェーザレ 破壊の創造者 第8巻』の3つのみどころ

1つ目 グラナダの陥落

学生時代、世界史を選択していた人なら必ず記憶にあると思います。
「1492年 グラナダ陥落。ヨーロッパからイスラムが駆逐される」
このたった数10字で語られた歴史の大事件が、8巻で描かれています。

冒頭の数ページに収められているグラナダ陥落の描写
勝者と敗者の様子が、台詞無しで描かれています。
このシーン、世界史好きにはたまらないはずです!

 

2つ目 スペイン団とアンジェロとマヌエラ

このシーンについて、あまり深く触れてしまうとこれから読む人の楽しみが減ってしまうと思うので、詳細は書きません。
ただ、このようなシーンがあるから、『チェーザレ 破壊の創造者』の面白さが倍増するのだと思います。

単に、歴史を解説する本ではないのです。
チェーザレ目線(つまり貴族や支配者目線)だけではなく、
当時の市井の人々の目線でも描かれており、
彼らの生活が生き生きと描かれているのが特徴です。

たとえば、第5~6巻にかけて、チェーザレがナンパするシーンもその1つです。

マヌエラとは何なのか?
是非、漫画を読んでご確認ください!

 

3つめ 3国同盟と偉大なるロレンツォ

多少なりとも世界史を学んだ人間であれば、メディチ家がフィレンツェで絶大な力を誇ったことは知っていると思います。
また、海外旅行に行く方なら、フィレンツェにあるメディチ家歴代の美術コレクションを収蔵するウフィツィ美術館を訪れ、多くの素晴らしい絵画を今に残した家だと記憶している人もいるでしょう。

ですが、

  • メディチ家の誰が、そこまでメディチ家を押し上げたのか?
  • なぜ、メディチ家が他の都市国家にも大きな影響力を発揮したのか?

それを、とても判りやすく理解させてくれるのがこの8巻です。
多分、下手な教科書や小難しい解説本を読むより、理解できると思います。

 

『チェーザレ 破壊の創造者 第7・8巻』のおススメ度はいくつ?

おススメ度は85点です!

第5巻に及びませんが、非常に濃密な内容となっています。
特に第7巻は、歴史好きの私にとっては、何度でも読みたくなる内容です。 

チェーザレ 破壊の創造者(7) (モーニングコミックス)

チェーザレ 破壊の創造者(7) (モーニングコミックス)

 
チェーザレ 破壊の創造者(8) (モーニングコミックス)

チェーザレ 破壊の創造者(8) (モーニングコミックス)

 

 

『チェーザレ 破壊の創造者 第7・8巻』をおススメする人

  • 歴史が好きな人
  • 特に西洋史が好きな人
  • 学生さんで中世ヨーロッパの勉強に煮詰まってる人
  • 時間を掛けてしっかりと描きこまれた絵が好きな人

勉強に詰まってしまい、世界史なんかくそ食らえ!
って思ってる人が読んだら、歴史をもっと知りたくなるかも知れません!

 

『チェーザレ 破壊の創造者 第7・8巻』をおススメしない人

  • 第7巻は、歴史に全く興味がない人は厳しい
  • 第8巻は、テルマエ・ロマエでもダメな人は止めたほうが無難

とにかう、テルマエ・ロマエが大丈夫なら、楽しめる・・・はず。

 

『チェーザレ 破壊の創造者 第7・8巻』のまとめ

第1・2巻で、15世紀末のヨーロッパの時代背景を把握し、
第3・4巻で、ボルジア家が目指していること、メディチ家が目指していること、さらに主役となる人々の様子が判るようになります。
第5巻では模擬騎馬戦で、後の激しい戦いを意識させられ、
第6巻ではボルジアの暗躍がいよいよ活発化しはじめます。
第7巻では中世における教会と皇帝の権力について学び、
第8巻では1492年を迎え、ヨーロッパが動き出します。

第9巻以降は、イタリアを支えてきたロレンツォが失われ、
三国同盟の元で均衡を保ってきたイタリアの平穏が揺れ出します!

 

 

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