lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『沈まぬ大陽』を読んだ!



沈まぬ大陽(著:山崎豊子/新潮文庫)を読んだ!

全く他意は無いのだが、この人の本はドラマのシナリオであって、小説ではない。
・・・と「なぜか」「どこかで」「誰かに」思い込まされたらしく、生まれて以来ずーっと手にしないで今日まで過ごしてきた。

 

先日、テレビで沈まぬ大陽の映画を見る機会があり、その翌日に立ち寄った、自称「有料MY本棚屋」で5冊100円で、まさに叩き売られていたので、買ってみた。読んでみた。そして、感想を書く。

(粗筋)
国民航空に勤務する一人の男の人生を辿る物語である。
エリートとして入社し、順調に会社人生を歩んでいた恩地。彼が先輩から懇願され、労組の代表に就いた時、彼の苦難の人生が始まりを告げる。

労組のトップとして経営側との労働条件闘争で、給与アップ、ボーナスアップを勝ち取っていく過程で、首相フライトのスト実施など強硬な姿勢を取った事で、経営側との溝は修復不可能となっていく。

それゆえ、労組トップの任期を終え、本来の業務に邁進しようとした恩地を待っていたのは、想像を絶するような差別であった。パキスタン・イスラマバード支社からイラン・テヘラン支社へ、そしてケニア・ナイロビの一人事務所。。。10年に及ぶ僻地たらい回しの末、日本に帰国できたのは、会社側が許したのでは無く、単なる幸運でしかなかった。

1970年代に入り、何度も繰り返された国民航空の航空機墜落事故。多くの犠牲者を出しても一向に改善されないその体質に対し、マスコミや政界の一部、多くの国民が疑問を投げかけ始めた結果、国民航空の社長も引き出されていた「とある聴聞会」にて、かつて恩地が所属した労組の代表が、マスコミの前で恩地の処遇を暴露した事が、彼の帰還を促したに過ぎないのであった。

日本に戻っても、彼の扱いはまさに「窓際」。やる事も与えられず、飼い殺しの日々を送っていた恩地であった。

そして、国民航空最大の事故・ジャンボ機墜落が発生する。

第一陣として現場へ真っ先に駆けつけ、その後、遺族対応係として誠心誠意の対応に努めていた恩地に、本社から声が掛かる。声を掛けたのは、事故後、会社の再建の為に民間会社の会長から抜擢された新会長・国見だった。新会長の国見であるが、彼は再三に渡り、総理から国営企業の国民航空トップに就任するように頼まれていた。しかし、自らが会長についている紡績会社への責任感と、漏れ伝わってくる国民航空の体質では、例え自分がトップに就いても何も出来ないと考え、頑なに辞退し続けていたのであるが、度重なる招請に、ついには国への最後のご奉公とばかりに腰を上げたのであった。

国見が解決しなくてはならない最たるものが、複雑に絡み合ってしまった、経営側と4つの労組の関係であった。そのために、彼は恩地を自分の腹心として働かせる事で、風通しを良くしてゆく試みであった。

しかし、恩地の同期で友人で戦友でもあり、そして最大の障壁にもなっていた行天を始めとする旧経営陣や経営側労組・政財界の者共に悉く邪魔をされ、やがて辞任へと追い込まれ、恩地もまた、ケニアへの転勤を命じられる。

利権にまみれ、汚職がはびこり、人の命を預かる企業としての矜持も失ってゆく巨大企業に立ち向かう、一社員の会社人生を描いた小説である。

(感想)
人気のある理由が判ったよ。
確かに面白い。テンポもいいし、読んでいて楽しい。まあ、色々な評価が出るのも判る気がする。
私個人としては、小説としては素晴らしいと思う。読んで損したとは思わないはず。

ただ、、、ただね、、、

今回の題材がなぁ。。。私は別にJALで働いている訳ではないし、身内にもいないけど、、、正直ちょっと読んでいてツライ部分がありすぎた。フィクションとするならば、、、もう少しボカスべきだと思うし、告発本とするならば、正々堂々と喧嘩を売ればいいのに。

私がイヤだと感じる点を、上手く表現出来るか判らないけど。。。

私も社会人として働いている。色々日々思う事はあっても、そこに居る仲間と必死になって働き、物を生み出し、売り、稼ぎ、そして生活をしている。私には親兄弟以外には家族はいないが、家族を持ち子育てしている人もいる。会社ってのは、そこで働く人だけに関っているのではなく、周囲の人々にも大なり小なり影響を及ぼすものだ。

だからこそ、もし、自分の会社がこんな風に描かれていたら、親兄弟の会社がこんな風にかかれていたら、心が痛い。

もちろん、働いている人間がしっかりとした意識を持っていないからだ、とか、働いている以上、例え下っ端でも責任はあるんだ。という意見も判る。でも、、、私にはそこまで割り切れないよ。だって、小説として面白おかしく書かれているんだもの・・・。

企業として、正式に告発された形式であり、かつ、それが真実なら、様々な批判を受けるのも仕方ないし、受け入れざるを得ない、でも真実でははないのであれば、きっちりと公の場で反論できる。。。
そうだ、私が言いたいのは、これだ!
「こりゃ山崎さん卑怯だよ」と。

フィクションですから、と逃げられてしまっては、何にも出来ない。

あともう一点、フィクションといいながら、ほぼ正確な事故描写はどうなんだ?です。
実際に、事故に遭われた方やご遺族が多く居るので、多くは書きませんが。
やっぱり、そこまで書くんであれば、ノンフィクションでいけばいいのに。

うーん。感想が感想でなくなってしまった。。。

小説して、読み物として、であれば私は本当に素敵な文章であり、作家だなぁと思います。

 

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