lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『三島由紀夫レター教室』を読んだ!



三島由紀夫レター教室(著:三島由紀夫)を読んだ!

湊かなえさんの「往復書簡」を読んでいる最中からこの本が気になっていました。

『往復書簡』を読んだ! - lands_end’s blog

手紙のやり取りを主題にした本と言えば「三島由紀夫のあの本だ!」と。

1968年に世に出たこの本ですが、私が始めて手にしたのは1991年にちくま文庫から刊行された文庫本でした。
正直、三島さんの他の本は好みに合わないのですが、この本だけは妙に気に入ってしまい、海外生活をしていた際にもわざわざ持って行った1冊です。

今回、最後に読んでから約20年ぶりに読み返しました。

感想をまとめてみます。

 

2分で読める『三島由紀夫レター教室』のあらすじ

筑摩書房のHPにある紹介以上に、簡潔にまとまっている内容はありえないので引用させて頂きます。

職業も年齢も異なる5人の登場人物が繰りひろげるさまざまな出来事をすべて手紙形式で表現した異色小説。恋したりフラレたり、金を借りたり断わられたり、あざけり合ったり、憎み合ったりと、もつれた糸がこんがらかって…。山本容子のオシヤレな挿画を添えて、手紙を書くのが苦手なあなたに贈る枠な文例集。

www.chikumashobo.co.jp

 

10分は掛かる『三島由紀夫レター教室』のあらすじ

5人の登場人物が互いの近況報告や恋愛相談、人生相談、果ては借金申込からプロポーズまで、それぞれ特色のある内容でやりとりした手紙が32編のエッセイでまとめられています。

32章を簡単に紹介します。

・第1章 登場人物紹介
5人の登場人物の紹介である。

氷ママ子・・・45歳の未亡人。2人の息子が大学生と高校生になり、子育てに一区切りしたところである。かつて数年間アメリカに滞在した際に身に付けた英語を活かし、英語塾を開いている。社交的で顔が広く、今回の登場人物達の手紙のやりとりの中心に位置することになる。尚、今も恋愛体質で、かつては美人だった。

山トビ夫・・・45歳のファッションデザイナー。痩身でちょび髭を生やし、自分がそれなりにイケテイルと思っている。文学的知識が豊富であり手紙の中でその知識をひけらかしたりする事がある。皮肉屋でもある。自分の店に客としてきたママ子と仲良くなり、男女ではあるが親友であると思っている。妻は元従業員の女性で夫の言うことには従順である。しかし、裏では着々と裏金を作っていた。

空ミツ子・・・20歳の商事会社勤めのOL。小柄で可愛らしく、この5人の中ではマドンナ的存在でもある。元はママ子の英語塾の生徒であったが、ママ子に気に入られたので塾を止めた後もママ子と交流がある。
尚、仕事は結婚するまでの腰掛けと割り切っている。

炎タケル・・・23歳の売れない劇団員。演出家になることを夢見て勉強しているが、実態は大道具係である。お使いでトビ夫の店に行くうちに懇意となり、その縁でママ子やミツ子を紹介してもらう。文才があり、かつ筆まめなために代筆を頼まれることも多い。

丸トラ一・・・25歳で大学留年中。ミツ子の従兄弟であるその縁でママ子と知り合う。空想家である幻の中ではいい男になっているが、実は出不精で肥えている。テレビの前でお菓子を食べながら過ごすことが幸せ。

 

・第2章 古風なラブ・レター
ママ子がラブレターを貰い、それについてトビ夫に相談する手紙のやりとり。

・第3章 有名人へのファン・レター
ミツ子が有名人へのファンレターの出し方をタケルに相談する手紙のやりとり

・第4章 肉体的な愛の申し込み
トビ夫からミツ子への愛人契約のお誘いとそれをミツ子がタケルに相談する手紙のやりとり。

・第5章 借金の申し込み
トラ一からママ子へテレビを買うために金の無心をする手紙のやりとり。

・第6章 処女でないことを打ちあける手紙
トビ夫がデパートで声を掛けた女性からの手紙をミツ子へみせびらかす手紙のやりとり。

・第7章 同性への愛の告白
タケルが中年で肥満体の男からラブレターを貰ったことをママ子に相談する手紙のやりとり。

・第8章 愛を裏切った男への脅迫状
ママ子が数年前に捨てられた若いツバメへの恨みつらみをトビ夫に相談する手紙のやりとり。

・第9章 出産の通知
ママ子がトラ一へ手紙の書き方を最近貰った出産報告の手紙を見せて教授するやりとり。

・第10章 招待を断わる手紙
ママ子からミツ子へ、ママ子が招待した劇場への誘いを断った手紙の内容について指摘する手紙。

・第11章 結婚申し込みの手紙
タケルからミツ子へのプロポーズの手紙とミツ子からタケルへの返事。

・第12章 恋敵を中傷する手紙
トビ夫が、ミツ子がプロポーズされた事を知り、その愚痴と嫉妬をママ子にぶちまける手紙。

・第13章 心中を誘う手紙
トラ一からママ子へ、今度は心中を仄めかしつつ死の前に飯を奢れという手紙。

・第14章 旅先からの手紙
トビ夫からママ子、タケルからミツ子、かつて旅先から出した手紙。

・第15章 年賀状の中へ不吉な手紙
ミツ子からトビ夫へ脅迫状が来たという相談から始まり、トラ一がミツ子が犯人であることを白状する一連の手紙のやりとり。

・第16章 英文の手紙を書くコツ
ママ子からミツ子へ英文手紙の書き方を教授する手紙。

・第17章 真相をあばく探偵の手紙
タケルからミツ子へ犯人はトラ一ではなく真犯人が別にいることを告げる手紙。

・第18章 探偵解決編の手紙
タケルからミツ子へ捜査の結果真犯人はママ子だと告げる手紙のやりとり。

・第19章 身の上相談の手紙
トビ夫からママ子、トビ夫が女性から貰った人生相談の手紙をみせて相談する手紙のやりとり。

・第20章 病人へのお身舞い状
ミツ子からママ子へ病気快癒を願う皮肉の手紙とママ子からトビ夫へミツ子が気付いていることを相談する手紙。

・第21章 妊娠を知らせる手紙
ミツ子からタケルへ妊娠を告げる手紙。

・第22章 妊娠を知った男の愛の手紙
タケルからミツ子へ妊娠を知った男の喜びを伝える手紙。

・第23章 陰謀を打ち明ける手紙
ママ子からトビ夫へ何とかタケルとミツ子を破談に持ち込む相談の手紙とその返事。

・第24章 余計なお世話をやいた手紙
トビ夫からミツ子へママ子を裏切って貴方とタケルの結婚の手助けをしたことを告げる手紙。

・第25章 裏切られた女の激怒の手紙
ママ子を裏切ったトビ夫への恨みと絶好を告げる手紙

・第26章 閑な人の閑な手紙
トラ一からミツ子へ、ペンフレンドからの熱烈なラブレターを相談する手紙。

・第27章 結婚と新婚を告げる手紙
タケル&ミツ子からキューピット役を務めたトビ夫を結婚式に招待する手紙、トラ一からママ子へ招待されないママ子の為に式をスパイするから何か礼を催促する手紙、タケルからトビ夫へ式参列のお礼の手紙。

・第28章 すべてをあきらめた女の手紙
ママ子からトラ一へタケルを諦めたことを告げる手紙とそれを読んだトラ一がトビ夫にママ子が貴方を嫌っていますよと告げる手紙。

・第29章 家庭のゴタゴタをこぼす手紙
トビ夫からトラ一へ妻とギクシャクしていることを告げる手紙。

・第30章 離婚騒動をめぐる手紙
トラ一からママ子へ、トビ夫の離婚を告げ、彼がママ子と仲を戻したがっていると告げる手紙。

・第31章 悪男悪女の仲なおりの手紙
絶交したママ子とトビ夫の仲が元に戻る手紙のやりとり。

・第32章 作者から読者への手紙
三島から読者へ、手紙を書くときに気を付けるべき点を教授する手紙。

 

『三島由紀夫レター教室』のおススメ度はいくつ?

おススメ度は80点です。
私にとっては面白い一冊です。

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

 

解説の群ようこさんも書いていますが、この本の読後感は読み手の年齢とともに本当に変わります。
初めて読んだのは、ミツ子やタケルよりちょっと若い頃でした。
今、ママ子やトビ夫と同年代になりました。

次に読むのは還暦を迎える頃かなぁ。
今からけっこう楽しみです。

 

『三島由紀夫レター教室』をおススメする人!

おススメする人は以下の2パターンです。

  • 三島由紀夫って何だか難しそうと思い避けている方
  • 10代後半から20代の方

是非読んでください。
世界がちょっとだけ変わって見えると思います。
ただし、良い方向に変わるかは謎ですが・・・。

 

『三島由紀夫レター教室』をおススメしない人!

これは次の1点のみです、

  • 三島らしい作品(硬派)以外は死んでも読みたくない人

人の好みはそれぞれなのでイメージを壊したくない人はそれを大切にする権利はあると思うので無理におススメはしません。
私は逆に、三島さんの作品にどっぷり浸かる前にこの本を読んだので、むしろ他の三島作品が読みにくくなってしまいました。

 

『三島由紀夫レター教室』読後の感想

この変り種の小説・・・エッセイと言っていいのかな?を読んで感じたことをまとめてみます。
話の流れ的に無理かある!
とか・・・
設定に無理がある!
と思わないでもないシーンがありますが、まあ今から約50年前に書かれた本だし、そして小説でもあるので、細かいことは無視して気にしないことにしました。

 

手紙を書くエネルギーの源って何だろう?

「往復書簡」やこの「三島由紀夫のレター教室」を読み思うことがあります。
手紙を書くエネルギーの源って何だろう?

こうやって感想文をブログに書く行為は、自分で言うのは何だけどかなりのエネルギーを使います。そのエネルギー源は何かと言われれば、書く人それぞれに色んなエネルギーの源があると思います。
単に書きたい・・・
備忘録として遺したい・・・
作家になる準備・・・
金儲け・・・

ブログと手紙では書くと言う行為は同じです。
ですが、ブログと手紙では決定的に違うことがあります。
それは、「読ませたい相手が決まっている」と言う点です。

不特定多数に広く知らしめたいのではなく、特定の人に伝えたい、判って欲しい、知って欲しい、助けて欲しい・・・などなど理由はあります。
ですが・・・
何故に電話ではダメなのだろう?
何故に手紙という手段を選ぶのだろう?

色々と考え始めたら悩みが尽きません。

私が思うに、おそらく人間にとって、誰かに手紙を出すと言う行為事態がとても重要なのではないかと思います。

会って話すのではなく、声を聞く(聞かせる)のではなく、手紙と言う手段が重要。

それゆえ、これだけネットが普及した時代においても、手紙を書くと言う行為は完全には廃れないのだと思います。

では、その「重要」とは具体的に何なのか???
今の私には見当つきません。
もう少し歳を重ねたら見えてくるのでしょうかねぇ。

 

タイトルに「レター教室」と書かれているが教材になるのか?

タイトルにレター教室と書かれているこの本は、あらすじでも紹介したように年齢も性別も異なる5人の男女の手紙を一まとめにした手紙集の形式となっています。

そのため・・・

  • こういう場面ではこのように書け
  • こういう内容の時にはこのように書け

などと三島が文章の書き方をレクチャーしている本ではありません。
(最後の章は三島からのレクチャー)

それから、収められている5人の手紙も良い手紙の見本には程遠いです。
何が一番酷いかと言うと・・・言葉遣いです。
「頭が悪い」
「恥知らず」
と言った言葉から始まる手紙の多いこと・・・。
そのため、読んでいて「なるほど、使えるかも」と思ったのは次の2章です。
ちょっと長いけど引用します。

 

『英文の手紙を書くコツ』本書109~114

1.手紙はなるべくなら、I「アイ」ではじまらぬようにすることです。
2.物喜びをなさい。
3.日常の些事をユーモアを混ぜて入れなさい。
4.文法や構文に凝るよりも、形容詞に凝りなさい。
5.ときどきちょっと文法や綴「スペリング」をまちがえなさい。
6.英語の手紙ということを忘れて書きなさい。
追加1:返事はなるたけすぐ出すように。私は世界中で、日本人ほど筆不精な国民はないのではないかと思います。
追加2:めんどうなら二、三行でいいのです。
追加3:あなたの勝手放題な英語でひとつ書いてごらんなさい。

現代でも英語の勉強をする人に役立ちそうな内容だと思いませんか?

 

『作者から読者への手紙』本書216~221

当て名をまちがいなく書くこと。
•手紙を書くときには、相手は全くこちらに関心がない、という前提で書きはじめなければいけません。
•手紙の受取人が受け取った手紙を重要視する理由は、
一、大金
二、名誉
三、性欲
四、感情
以外には、一つもないと考えてよろしい。
・世の中の人間は、みんな自分勝手の目的へ向かって邁進しており、他人に関心を持つのはよほど例外的だ、とわかったときに、はじめてあなたの書く手紙にはいきいきとした力がそなわり、人の心をゆすぶる手紙が書けるようになるのです。

文章の書き方のちょっとしたヒントになると思いませんか?
三島がこの文章を書いた時代にはネットは存在しないけど、書く媒体によって書き方や内容を変えるべきだと言われている気がします。


今も昔も人の事を晒すのは一緒

5人の手紙のやり取りの中に次のような文章が頻繁に出てきます。
「・・・●●からの手紙を同封しますので・・・」
彼らは人からの手紙を平気で他人に晒してしまいます。

この本が書かれてから約50年経ちますが、人間の人の何かを他人に晒すことに喜びを感じる本性は変わらないと思います。
ただし、現代では人の何かを晒す時には写真に撮って、それをネットで拡散する方法を取るのでえげつなさは現代の方が強いですね。

 

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