lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『吉良忠臣蔵』を読んだ!



吉良忠臣蔵(著:森村誠一)を読んだ!

面白い本はないかなぁ・・・とブックオフを物色している時に見つけました。

私の忠臣蔵の知識は乏しいです。
年末になれば必ずドラマ放送がある日本人好みの話しであり、浅野の遺臣が主君の仇討ちを果たした事件である。という程度です。
なにしろ、歴史は好きですが、もっとも興味の薄い日本近代史なので・・・。

それでも、この本を手にして読んでみようと思ったのは、
『世間では悪者である吉良側の視点で忠臣蔵を書いた』本だったからである。
一方的な見方ではない歴史の見方は、私の好きな歴史の楽しみ方なので・・・。

 

『吉良忠臣蔵』のあらすじ

始まりは、吉良家の領地を豊かにするために奮闘する上野介と、赤穂浪士討ち入りの際に上野介を守り討ち死にする吉良方の忠臣達が、如何にして吉良の家来となり、彼を慕うようになったのかが描かれています。

事件の発端となったのは、塩を巡る確執でした。

吉良家が、領地で作っている饗庭塩から得る収入は、約4500石しかない吉良家にとっては貴重な財源でした。この塩の揚がりを拡充すべく上野介がとった施策が、播州浅野家が作っている赤穂塩の製法を学ぶことでした。

しかし、そう易々と秘伝の塩の製法を教えてもらえるはずもなく、断られてしまうのであった。

この両家の些細なイザコザを知った、5代将軍・綱吉の下で権勢を欲しいままにしていた柳沢吉保は、吉良と播州浅野を噛み合わせる事で、吉良のバック上杉家15万石と浅野宗家広島藩42万石を引っ張り出し悉く彼らを取り潰して将軍へ献上することで、さらに自分の権勢を強めることを画策するのであった。

 

幕府は毎年、朝廷に年賀の挨拶を行っており、朝廷もまた返礼として使者を幕府に遣わしていました。
この朝廷とのやり取りや接待を受け持っていたのが高家であり、高家筆頭でもあった吉良家は、諸般の礼儀に通じており、毎年の饗応役に選ばれた大名家に礼儀作法を指導する立場であった。

柳沢はこの点に目を付け、既に一度は大役を果たしてた浅野家を再度饗応役に抜擢し、吉良家と接点を持たせる様に仕組むのであった。

当時、指導役の家に対して、それ相応の貢物を供するのが慣例であった。

浅野家江戸藩邸では、貢物を賄賂と見なされないか危惧する声もあったが、まずはそれ相応の品を吉良家へ届けることで家中の意見はまとまっていた。
そこへ現れたのが、柳沢吉保の家中の者であった。
彼は、あたかも柳沢の言の如く、指導役への過度の貢物は不要であると伝える。これによって、まとまっていた浅野家の意見は覆り、吉良家へ挨拶程度の品を贈ることになるのであった。

一方、上野介も先日の塩の一件で気になる点はあるにせよ、高家の役目として礼儀作法を饗応約の浅野家の当主・内匠頭へ教えることに否やはなかった。

そんな、僅かなしこりを心に残す上野介に、柳沢は囁くのであった。
曰く『浅野への躾が必要なら、柳沢が後ろに控えているから遠慮なく躾けてやれ』と。

吉良家の財政にとって大切な指導役への礼品も持ってこない浅野家に対し、日々不満を募らせていく上野介は、ついつい厳しく、時に中途半端に対応していた。
内匠頭もまた、指導役である上野介の態度は、過日の塩の一件を根に持った行動と思え、まるで上野介が内匠頭の饗応役を失敗させようと企てていると不満を募らせていくのであった。

 

そして、事件は起きる。

1701年(元禄14年)3月14日(旧暦)、(現代なら4月21日)、朝廷からの使者への最後の接待の日に、江戸城内にて内匠頭が上野介に切り掛かるのであった。
その場で取り押さえられた内匠頭は、同日、切腹を命じられ、
播州浅野家は取り潰しとなった。

一方、切りつけられた上野介の吉良家であったが、当時一般的であった喧嘩両成敗ではなく、幕府からは『お咎めなし』と言い渡されるのであった。
この裁定は、大名から一般町人まで多くの人々の心に、幕府への反感と浅野贔屓を芽生えさせることになるのであった。

 

内匠頭が起こした事件のあと、柳沢、浅野、上杉、吉良それぞれの思惑がぶつかり合います。

自分の仕掛けた壮大な罠が動き始めたことにほくそ笑む柳沢は、最終目標の上杉家と浅野宗家を誘き出すために、さらに様々な仕掛けを施すのであった。
その一つが、吉良邸の引越しであった。
柳沢は上野介を支える素振りをみせつつ、浅野家の遺臣が吉良家を襲いやすくなるように様々な布石を裏で打つのであった。

お家取り潰しとなった浅野藩では、家老の大石内蔵助が、主君の恨みを晴らすべく不満を募らす家臣団を抑えて藩意をまとめ、抵抗することなく城と領地の引渡しを実行するのであった。

上杉家においては、江戸家老の色部が柳沢の狙いを見抜き、何としても謙信以来の上杉家を守るために、必死に策を巡らせるのであった。

吉良家においては、何も落ち度が無い当家がなにゆえに世間から疎んじられなくてはいけないのかと不満を募らせていた。

物語はクライマックスに向けて、一気に突き進んでいきます。

  • 吉良と播州浅野家を取り潰しただけでは、たいした揚がりにならないため、何としても上杉家15万石の取り潰しを行いたい柳沢
  • 藩主・上杉綱憲は上野介の実子なれど、上杉家の当主となったからには、実の親を見捨てさせてでも家を守ることを要求する上杉家江戸家老の色部
  • 内匠頭の弟、浅野大学のお家再興に一縷の望みを持ちつつ、藩主の無念を雪ぐ事も視野に入れて行動する大石内蔵助
  • 言い掛かりに等しい内匠頭の行動の被害者である上野介は、隠棲し息子に家禄を継がせることで世間の揶揄から逃れようとするのであった。しかし、当主の無念を知る吉良家家臣団の間には、浅野憎しの空気が強まっていくのであった。

そして、時は来た。

元禄15年12月14日(旧暦)、(現代の暦では1703年1月30日)、前夜から降り続いた雪が積もる中、浅野家の遺臣47名が吉良邸に討ち入るのである。

 

  • 武装した浅野側に対し、寝込みを襲われた吉良側は如何にして戦うのか?
  • 当主・上野介を守る吉良家の忠臣達の死に様とは如何に?
  • 柳沢の思惑と上杉家家老色部の対決の行方は?
  • 討ち入った47士の行く末と、討ち入られた吉良家の行く末は如何に?

是非、本書を読んでください。

 

『吉良忠臣蔵』のオススメ度はいくつ?

オススメ度は75点です!

読む前にイメージしていた、先入観を壊してくれる作品としては予想通りでした。
ただ、それならば何故に80点に届かないのかと言うと、いくつか理由はあります。 

吉良忠臣蔵 (上) (角川文庫)

吉良忠臣蔵 (上) (角川文庫)

 
吉良忠臣蔵 (下) (角川文庫)

吉良忠臣蔵 (下) (角川文庫)

 

 

評価が辛口の2つの理由

面白いし、読んでいて吉良家が『理不尽な!』と怒るのも納得と思いました。
ですが、少々、気になる点があったのです。

 

多すぎる登場人物

今までの忠臣蔵でスポットライトが当たらなかった、吉良側の人々を取り上げたい作者の意図は判るのですが。ですが、登場人物多すぎです!

多すぎるのに、十分に誰が誰だが理解したり感情移入するだけの紙面は取られておらず、その結果、最後のクライマックスのシーンで今ひとつ気持ちが入りませんでした。

作者は、多分、調べつくす間に吉良の家来達に感情移入していたのでしょうが、そこまで達していない私にとって、吉良家臣の最後を読んでいても盛り上がれなかったです。

だって、この人誰だっけ?何した人だっけ?とページを戻る必要があり、その行為はクライマックスの盛り上がりに水をさす事になってしまったのです。

 

数々のロマンスはいるのか?

これはあくまでも私個人の意見です。
私は、もっと、ロマンス抜きで、男達の激突を楽しみたかったです。

 

この本をオススメする人

歴史好きの人は是非読んでみてください。
または、『吉良って悪い人!』って思っている人も是非!

それから、公私で理不尽な思いを感じている人にもオススメです。
スカッ!とはしないかも知れませんが、
負けるものか!という気持ちは沸くかも、です。

 

この本をオススメしない人

いわゆる世間一般で知られている忠臣蔵の大ファンの方。
大石内蔵助及び、47士がこよなく好きな方。

もしも読むなら、その前にちょっと気持ちを落ち着けてから読んだほうが良いかも知れません。

 

さいごに

オススメ度の点数は低くなりましたが、吉良贔屓の気持ちは芽生えました。
機会を見つけ、吉良上野介の墓参りに行ってみたいと思いました。

彼は、西尾市吉良町の華蔵寺で静かに眠っているそうです。

www.240kanko.com

 

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