lands_end’s blog

未破裂脳動脈瘤との闘いをコーギーに癒され暮らしています。鹿島アントラーズの応援と読書に人生の全てを掛けている40代の徒然日記です。

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『城塞』を読んだ!



城塞(著:司馬遼太郎/新潮文庫を読んだ!

先日、出張のお供に選んだのがこの歴史小説だった。
忙しい師走と重なり、読み終わるまでほぼ1ヶ月。こうして文章に起こすまで1週間以上も。。。まずいですなぁ。。。

 

(粗筋)

1614年の大阪冬の陣から1615年の大阪夏の陣にかけて描いた小説である。

前半は、片桐且元と豊臣方の確執の広がり、そして大野治長という男について描いている。
中盤は、家康という男が仕掛ける、本当に姑息としか言いようの無い、豊臣方を嵌める智謀の数々を描いている。

そして後半。戦役直前からは、真田幸村をはじめ大阪に散りゆく男達を一人一人ピックアップして描いてゆく。

そして、冬の陣から休戦を経て夏の陣までは、1つは秀頼という男を描き、もう1つは、治長が総大将格としての限界点を迎えつつあるさまと、家康の智謀が更に悪知恵度を増していくさまを描いています。

最後は、落城へ。

 

(感想)

相変わらず、司馬歴史小説は奥深く、丹念な調査の元で緻密に描かれている。多分に作者の推測が込められているのだろうが、それにしても、凄いもんだなぁ~と素直に感心します。

この本の最初のくだりは結構好き。私は大阪に住んだ事はないし、数えるほどしか行った事ないけど、在りし日の大阪の情景が目の前に浮かんできます。

それと、大阪城に篭った男達を、セルバンテスのドンキホーテを用いて評しているところも面白かった。100%同意するわけではないが、面白い見方だと思った。

あとは、家康さん。。。可愛そうに、これでもかと叩きのめされている。姑息・悪知恵・小心者、、、言いたい放題だ。まあ確かに武将として惚れ惚れするような事は何一つしてないけど(関が原以降です)、それにしてもむごい扱われよのぉ。家康の、徹底した小心ぶりは、普通の人間には絶対に真似出来ないと思う。だって、人間てのは、必ずどこかで油断するし、増長するものだから。

・・・なんてね。

 

さて、歴史好きと言ってる割に、、、私はいまだに大阪城に登った事もないし、大阪の陣の跡を回った事ないし、幸村の足跡を追った事もない。

理由はある。幸村って格好いいなぁ~という小学生の頃の思いから脱却しないと、ただのミーハーな旅で終わってしまいそうで、、、そしたら勿体無いし、、、だから、もう少し冷静になるまでは敢えて行かないのもいいかなぁ。。。と思っているわけです。

でも、いつかはゆっくりと大阪の地を歩きたい。その時にこの本はきっと役に立ちはずだ。なぜなら、作者は当事の戦いの場面を描くにあたって、現代の地名でしっかりと案内をしてくれているからだ。小説として妄想にどっぷり浸かるには、いつも司馬遼太郎の薀蓄が邪魔になっているのだが、でもこの本に限っては、感謝感謝です。

 

小幡勘兵衛、人間臭くて私は好き

そして、大阪冬の陣のあと、完全に豊臣方に見切りを付けた後の彼の行動も面白い。小幡幕府を起こせるとまでに自信過剰だった男が、戦後の食い扶持を稼ぐために一兵卒になって戦いに望む。相手を倒す際のセリフ・・・「供養はするから許せ」。ふてぶてしさを失わず、でも、長い物に巻かれなくてはならない、、、彼の心の葛藤が、、、読んでいて、眉間に皺を寄せ、苦笑ともいえる笑みを浮かべている彼の顔が、会った事は当然無いのに、脳裏に浮かんだ。本当に浮かんだ。作者の作戦に完全に嵌ったのかな。

 

それから、小幡勘兵衛という準主役もイイ味を出している。家康の命(側近の本多に送り込まれる)を受け、大阪に潜入し、まんまと治長の家臣となる。かといって、完全に豊臣方を奈落の底に引きずりこむ訳でもなく、あわよくば、秀頼を担いで一旗上げようかなぁ、、、と考えている姿がふてぶてしくて、好きだ。

 

城塞(上中下) 合本版

城塞(上中下) 合本版

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